頑張って働いてかせいでもかせいでも、暮らしが楽にならないのはなぜなのか。たぶん、消えてしまうものに多く使っているからかもしれません。
「充実」しているものの基本的には自転車状態
サライの「日本人の10人に1人が年収800万円以上!高所得者の知らざれる趣味とお金事情」(https://serai.jp/living/395022)によると、給与所得者の中で年収800万円以上稼ぐ人は全体の約9.8%ほどだそうで、約10人に1人居ることになりますが、コメント欄も見てみると、個人事業主も含めて国全体で見ると大雑把に5%くらいしかいないとあります。勤め先でのポジションも高めで管理職などに就き、趣味もプライベートも充実している傾向が見られるようです。
ただ、収入が多いからといって資産の積み上げが大きいかというと、必ずしもそうではありません。入ったらそのぶん全て出てしまう(使い切ってしまう)というパーキンソンの法則通りに、頑張っていくら稼ごうが結局手残りは変わらないようです。
なぜそうなってしまうのか。この記事内にヒントがあります。
まず年収800万円以上の人たちの趣味を見てみると、代表的なものとしては旅行行、スポーツ、文化、車、美容などが挙げられています。そして、それらに毎月費やす時間も12~24時間とそれなりに多めで、中には年に2~3回くらい海外旅行をするのが生きがいという人もいるようです。意外にも金銭的にはとてつもなく負担が重いというわけではなさそうで、大雑把にならして見ると全体的には月額で5万円くらいというところでしょうか。
これを見て、何となく気づいた方も居るかと思います。そうです。どれも「消費」ばかりで、お金を生んでくれるものではありません。
もちろん生きていく上で余暇も必要なので、これらの趣味が悪いなんて言いません。ただ、これを見た限りでは「他に収入源を増やす」とか「「働いてお金を得る」の代わりを探す」といった意思は見られません。ほぼ完全に給料に頼り切った状態のように見えます。
国内企業でどうかは分からないのですが、外資ではよく家賃や配当や広告料を稼ぐとったことについて、「?」という顔しかしない人が多く、クビ宣告を受けてから慌てて駆け寄ってきて「どうしたらいい?」とアドバイスを求めてきた人たちを見ると、演技ではなく本当に働く以外何もしていなかったということなのでしょう。
高給を得ているがゆえに責任もストレスも多く、イメージとは異なり実際には時間も曜日も関係なく働かされるケースは多いため、なかなか「他のこと」を始める+やれる余裕が無いようです。きちんと届け出をして、勤め先と競合する業種でなければわりと許可は出るのですが、それさえも知らない人が多く居たりします。投資に慣れていそうなイメージを持たれている外国企業の勤め人でもそうなので、国内企業に勤めている人の多くもそうなんじゃないでしょうか。
多趣味でプライベートも人生が充実しているのはとても良いことだとは思います。ですがひとつだけ問題となるのは、苦しくなった時にそうした趣味や思い出が経済的な助けになってくれる可能性が低いという点です。今いるところに続けて雇ってもらえているうちはそのままでも何とかなりますが、歳を重ねるにつれてクビのリスクも高まり、その生活スタイルを維持していくのも難しくなります。
それなのになぜか、自分は絶対クビにならないと自信を持っている人が多いように感じます。代わりがいないほどの人というのは滅多にいないのに、高給を得ていることが、自分は選ばれし者という勘違いをさせてしまうのかもしれません。
少しでも余裕を持つためには?
「働く」が唯一の収入源である間は、基本的にいくら稼いでも安心はできません。雇う側の都合や経済の動向次第で、生活基盤はいつでも崩れてしまう可能性があります。
趣味を深く楽しむためにはお金が掛かりますが、長く楽しんでいくためには、まず経済基盤を安定させるほうがよいので、使うお金は少し我慢するほうが得策です。
先程の記事中には毎月の趣味にかかるコストは大雑把に見て5万円くらいとありましたが、この中の3万円だけでもよいので不動産や株式など、自分の代わりにお金を稼いでくれるものを持つことに向ければ、基盤はかなり安定します。
中古の不動産は200万円くらいから買えて、これを最初6年、次に3年、その次は2年半くらい…と時間を掛けて増やして5件くらい持ったところで、今度は高配当が付く銘柄の株式への投資に切り替えれば、計十数年~20年くらい掛ければ、毎月の趣味に掛かるコストを全部カバーしつつ、さらに貯金をしていくだけの収入源を作ることができます。
趣味やプライベートの充実は人生を豊かなものにしてくれますが、お金の使い方には注意が必要です。雇用はいつ途切れてしまうか分からないので、消えて無くなってしまうものにはお金を掛け過ぎず、長く趣味などを続けて楽しむためにも、お金を「消費」だけではなく「投資」に向けることを意識しておくことが重要です。