協力者を探して、実作業をお願いして任せること自体は規模の拡大に必要なので悪いことではありません。ですが「選ぶ・決める」まで人に任せてしまうのは良くありません。全てを任せて上手くいってもそれがなぜ上手くいったかが分からないままですし、もし失敗してもなぜ失敗したのかを学べません。それにもし自分で選んだ結果であれば、失敗して腹が立ったとしても納得はいくはずです。
勧められるがままに買うと損をしやすいし、学ぶことができない
以前ここでも、医師でも将来への不安を感じて不動産投資を始めて老後に備えている人に付いて触れたかと思いますが、その医師が「選んだ」物件は一戸当たり1,000万円する都内のワンルームマンション二つだったかと思いますが、家賃収入がそれぞれ9万円ずつと大きいながらも借金で投資をしているため、修繕積立金+建物管理費や元金と利息の支払いを差し引いたら、2戸合わせても手残りは毎月たったの数千円でしかありません。返済も十数年掛かるという、ただ仲介業者と金融機関に仲介手数料や高い利息分を儲けさせるだけのプランでした。
投資をしているとはいっても、2,000万円もリスクを背負って毎月の上りがたったの数千円ではあまりにも実質利回りが低すぎます。同じ借金であったとしても、これだけの資金があれば、年間200万円稼いでくれる集合住宅を二つ持つといったオプションもあります。それだけの稼ぎがあれば、ローンの返済を差し引いた後でもどちらか1棟分の家賃収入分くらいは毎月手元に残るはずです。
何に投資をするか「選ぶ・決める」を不動産会社に委ねてしまうと、このように儲けに大きな差が出てしまいます。知らないことについてプロに助言を求めることは全然悪くありませんが、最終的な判断は自分でするようにしないと、本当はあまり儲からないものに大きなお金を使わされたりします。
ファンドは買うけれど個別株には絶対投資をしないという人も、自分で選ぶ・決めるを丸投げしてしまっている状態と言っていいのかもしれません。しかもそれでいて、自分は長期的な投資をしているというのですが、たしかに長期での投資ではあるかもしませんが、大抵はよく聞くと「配当を得る」とか「毎年の利回りがいくらなのかを計算する」といった意識はほとんどないようなので、投資というよりもどちらかというと自分では気づかずに投機をしてしまっているようです。売却益を得られるかどうかもファンドマネージャーの腕次第です。
問題はもうひとつあり、それはファンドはすでにいくつか異なる業種の銘柄を組み合わせて構成されているため、ある程度リスクの分散が図られてはいますが、「自分で調べる」を経ていないので、企業や業種について深い知識を得ることができないという点です。
自分で情報を集め調べるとなると、時間も手間も掛かりますが、そうやって苦労をする分、企業や業界自体について調べたことは自分の知識として残ってくれます。詳しくなれば、その企業あるいは業界全体がどう動くかとか、同じ業界にもっと有望なところがないかといったことが少しでも見えてくるようになります。
メディアについても同じです。コンテンツの制作自体は誰かにお願いしてもいいと思います。ですが例えばどういう作品についてレビューを書いてもらう/語ってもらうか等についてはある程度細かく指定をしておかないと、どうすれば反応が出るか・閲覧数が増えるかといった傾向をつかむのも難しくなってしまいます。
サイトの制作も全体的な構成ぐらいは自分で決めないと、どういう機能が気に入ってもらえて、何が気に入ってもらえなかったのか・使いにくいと思われたのかといった傾向がつかめません。
作業を委託したり助言を求めること自体は、知識を得たり効率化するために必要なこと
分からないことをだれかに聞く、実作業を代わりにしてもらうといったことは、知識を得たり効率化するために必要なことなので、そういう助けを得るといったことはしても全然構わないと思います。自分一人だけで考えても上手くいかないことも多いので、むしろ積極的にそうすべきかもしれません。
ですが、あまり十分に検証せずに誰かに勧められるがままに買ったり進めて損をしたとしても、勧めた人は責任を取ってくれるわけではありません。最終的に自分で選んで決めて学び続けないと、なかなか自分の考えに合ったいいものには巡り合うことができません。