昨年6月の暗号通貨界隈ではサイバー攻撃、ハッキング事件、ブロックチェーンの問題といったクリティカルな事件が立て続けに起こっていました。
少し古い話になりますが、こうした事件が過去にあり、今後も同様の事件が起こりうるのか判断するためにもまとめてみたいと思います。
<Bitfinexへのサイバー攻撃>
まずは6月に入ってまもなく、世界的な大手暗号通貨取引所である「Bitfinex(ビットフィネックス)」がDDoS(分散型サービス拒否)攻撃を受けてサービスが一部停止しました。
6月5日にサイバー攻撃を受けて暗号通貨トレード業務を一時停止したのは、暗号通貨取引所は、中国・香港に拠点があり、現時点で世界最大といわれる「Bitfinex(ビットフィネックス)」です。
サイバー攻撃の種類は、大きな処理負荷で強引にサービスを停止に追い込むDDoS(分散型サービス拒否)攻撃だと見られます。
Bitfinexの広報担当者はメディアのインタビューに対して、「今回のサイバー攻撃ではトレードの業務のみが影響を受けたのみで、顧客情報等な顧客アカウントの残高などについては影響がありませんでした」と語っています。
Bitfinex(ビットフィネックス)のサイバー攻撃事件がネットのメディアで報道されるや否や、ビットコイン相場は急落し、2%下げてUSD7374まで落ちました。
ビットフィネックスは、最大手であるが故に目立つのか、ハッキングにあいやすく、2015年、2016年夏、2017年6月にも、ほぼ毎年ハッキング被害に遭っています。
2015年の被害は1500BTC程度でしたが、2016年には約12万9千BTCが盗まれており、フィアット被害額では約70億円に相当するものでした。
2016年のハッキングでは、連帯責任であるかのようにBitfinex(ビットフィネックス)のユーザ全員が総資産の36%を減らされ、同社が発行するBFXコインなるトークンで補償を強制的に受けるという珍事が発生しています。
<Coinrailへのサイバー攻撃>
またその5日後には、今度は韓国にある暗号通貨取引所であるCoinrail(コインレール)が、2018年6月10日に何者かのハッキング攻撃を受けています。
報道によれば、このハッキングにより日本円にして44億円もの暗号通貨が盗まれたとのことです。
ハッキング事件後、同社は同日中にサイバー侵入の発生を認識し、すぐにサーバをサービス停止とし、対応を行なっています。
韓国コインレールの発表によれば、ハッキングで持ち出されたトークンは、ERC20型トークン数種類が含まれたとのことです。
この問題とほぼ同時にビットコイン相場が下落したため、一部のブログなどではこの事件(コインレールのハッキング事件)のニュースを受けて暗号通貨市場が下げに転じたと書いていました。
ただ、コインレール自体は世界的に見れば大き取引所ではなく(当日時点で世界で90番目)、取引高も大きくないため、実際の下落の要因とは言い難いでしょう。
また仮想通貨のバグによるものではなく、単にコインレールのセキュリティの問題であったことで、影響も限定的でした。
もともとベアな弱気の相場だっただけに、このニュースでの投げ売りは確かにに発生したともいえます。
いわゆるガチホ勢(長期ホールドで何があっても売らない人達)にとっては、取るに足らないニュースかもしれませんが。
むしろ、買い増しをしようとしている人には、このような突発の事件による下落は安く買い込めるチャンスとなります。
この事件に関連があるとみられるウォレットアドレス(おそらくは犯人のもの)から、ATX、DENTなど数種のトークンやコインが動いていると報道されています。
ただし、コインレールではいくつかのERC-20トークンは盗まれた分を凍結し、トランザクションを無効にしています。(Pundi X報告より)
コインレールの発表によれば、同社は70%の扱いコインをコールドウォレットで管理しているため、今回の事件ではこちらについては安全だったとのことです。
残り30%については外部の協力により、盗まれたトークン等の一部を凍結・回収できたとのことです。
かつても多くの取引所等がハッキング被害に遭っており、オンラインでの暗号通貨のセキュリティは喫緊の問題であると言えます。
<少し前の事件ですが改めて・・・>
日本人の記憶に新しいものは2018年1月の「Coincheck(コインチェック)」でのXEM盗難事件、そして韓国で発生したYoubitのハッキングと親会社の倒産事件(2017年12月)ではないでしょうか?
Coincheck事件では当時の相場で約580億円相当のXEMが盗まれ、ハッカーはこれらをDASHとうい匿名性の高い暗号通貨に交換してマネーロンダリングを行ったと報道されています。これにより「DASH」の悪名も一気に高まりました。
一方の韓国Youbitはハッキング被害で総資産の17%ほどが盗まれ、運営会社が倒産するという事態に発展しました。
ユーザは倒産手続きが完了するまで、保持資産の75%までしか引き出せなくなるという事態になりました。