暗号通貨投資をしていると、耳にする事もある「GOXする」というようなスラング。
これは、かつて暗号通貨業界で発生した伝説的な大事件からきています。
それはマウントゴックスという取引所の突然閉鎖、そして破綻というレジェンド的な大事件です。
「マウントゴックス(株式会社MTGOX)という会社は、日本の東京都に本社のあったビットコイン交換所である。
もともと暗号通貨とは関係のない、トレーディングカードを扱う会社として設立されたものの、事業転換でビットコインを扱うようになり、2013年の時点では世界最大の取引量を誇っている交換所でした。
それが、2014年に大きな事件を起こします。
いわゆる「マウントゴックス事件」という、巨額暗号通貨(750,000BTC)および顧客資金28億円消失事件です。
当時の時価で約115億円とされています。
<マウント・ゴックス事件の概要>
2014年の3月上旬、日本にあるビットコイン取引所「マウントゴックス」がハッキングが原因(?)で約115億円相当が失われました。
損失額:750,000BTCと28億円の預り金、総額約115億円(当時)
注意点:
*現在でもすべての真相が明らかになったわけではない。
*真犯人は見つかっていない
*4年経ってもいまだに多くの憶測が飛び交っている。
同社の責任者はハッキングの被害にあったとしているが、捜査当局(警視庁)では同社の内部の者が横領した点も視野に入れて捜査を行った。
しかし、当時の警視庁の捜査能力ではハッキングされたビットコインがどこへ行ったのかトレースすることはできなかった。
経緯:
マウントゴックスのユーザは、2013年秋口からすでに、ユーザが出金に長い時間を要することに不満を漏らしていました。
この時点で、マウントゴックスはユーザのキャッシュアウトリクエストを引き伸ばし、数週間~数ヶ月もの時間がかかっていたことが報道されています。
この状態はどんどん悪化し、事件発生の直前の2014年2月前半に、Githubなどでの英語圏のネット掲示板に見られるマウントゴックスへの苦情、不満は数千個に登っていたと報道されています。
2月7日、マウントゴックスが完全にビットコインの出金を停止させましたが、そにお原因については歯切れの悪い発表しか行わず、取引が正常に行われないなか、同社への不満がネット上で噴出しました。
2月中旬、同社のカルプレスCEOは明確な原因説明等を拒否し、ユーザの不満を増大させました。
この時点で他の取引所は通常運営されており、ビットコインに問題があるという発言をしていた同社の説明は虚偽であった可能性が高いと見られます。
下旬に入ると海外からやって来たユーザ2名が、日本のマウントゴックスの本社のある都内のビル前で抗議行動も展開。
英国人のユーザーの抗議
最後に2月25日、同社は公式ウェブサイトに突然「当面全ての取引を停止する」という内容の声明を発表しました。
翌日には一部報道で、「東京に本部のあるビットコイン取引所マウントゴックスのサイトがアクセスできなくなり、この取引所では長期間でのべ3億6500万米ドル相当の暗号通貨(ビットコイン)が盗まれた」と伝えられました。
そして2014年2月28日、マウントゴックスのマルク・カルプレス代表は東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。
当時のTVニュースクリップ
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000022330.html
マウントゴックスの代表の2月28日の会見内容は、申し訳ないこと、システムに弱いところがあり、ビットコインが無くなってしまったとの内容でした。
また何者からの不正アクセスにより、同社が違法にビットコインを取られた可能性があるとして、刑事告訴を検討しているとの発表もありました。
最終的に、マウントゴックスの民事再生法適用申請は4月中旬に東京地裁により、今回の事件での債権者の多くが海外にいること(当時日本人でビットコインを買っている人は少なかった)、また事件の実態の調査がほとんど進んでいなかったことから、マウントゴックスの民事再生法適用申請が棄却され、地裁より資産保全命令が出され、破産手続きに入りました。
その後管財人が粛々と破産手続きを進めていたのですが、ところが皮肉なことに、ビットコインは2017年に高騰し、事件当時の数倍以上の価値となりました。
ここで2017年秋、債権者は東京地方裁判所に民事再生手続きを申し立てました。
曰く、ビットコイン相場の急騰により、「マウントゴックスのウォレットに残っていた」とされる約20万btcが、あっという間に事件当時の日本円建ての負債額を上回り、全額の配当が実現できる金額になったとのことです。
民事再生手続きの申請代理人は、債権者がかねてより要求してきた、日本円ではなくビットコインでの配当ができるようになったと主張しました。
2018年3月上旬に、同社の破産管財人は、東京地裁の許可のもと、ビットコインおよびビットコインキャッシュを売却し、報告書を東京地裁に提出。
これにより、本事件での債権額(最終的な必要額が460億円)を支払えるようになりました。
その後2018年6月22日、民事再生手続が認められ、同社同時に破産手続は中止されました。
マウントゴックスからの教訓は、この事件も含め、ビットコインでの被害はすべてがそれを扱うもののケアレスミスや粗忽によるもので、ビットコインのブロックチェーンが破壊されたわけではないこと、つまり暗号通貨が危険というのは、暗号通貨の問題ではなくそれを扱う人間に問題があるケースもあるということです。
第三者リスクもあるということを頭に入れた上で、考えられる限りの安全対策を取れば、暗号通貨は十分に安全な投資対象であると言えるでしょう。