老後のことが不安になって、資格の取得や転職で収入アップを図ろうとする人は多くいますが、資格を取得してもすぐに独立開業して収入が得られるわけではなく、転職して年収が上がってもそれにともなって出費も増えてしまい結局手残りは増えないことも多いので、給料を増やすことは将来への不安の解消にはつながりません。
給料が増えても、その分多く貯めなければ意味がない
実際、たとえ年収1000万円を得ていたとしても将来が不安だという人はかなり多く、FPのもとに相談を寄せる人は多いようです(「老後不安に年収は関係ない 生活水準を見直して「老後の生活設計」を考える」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00010001-manetatsun-bus_all))。
働いていい給料をもらうようになると、定期的にもらえることをあてにして、もっといいものを食べて・もっといいものを着て・もっといい炉ことに住み…、とついつい支出を増やしてしまいがちです。
そうすると当然心配にもなるでしょう。なにせ今のご時世、その給料をいつまでもらえるかは全く分かりません。多くの企業が、将来の高齢者雇用義務(*まずは努力義務りされ、そのうち義務化するらしく)の負担を財務的に余力がある今のうちに減らしておくために、昨年くらいから40歳以上の社員を大量に切り始めています。
こういう状況を見ると、よく時々FPたちから家計の防衛策・将来の備えとして提案される「転職や共働きなどで、世帯収入アップを図りましょう」を実行したとしてもほとんどの場合それは貯蓄アップにはつながらないので間違いと言って良さそうです。
また、働いて稼ぎ続けていこうにも、年初に発生した新型コロナウィルスのようなものが出回ると、しばらく給料が発生しない、それどころか最悪の場合は勤め先が倒産して稼ぎが完全になくなってしまうといったことも起こります。将来どころか今を食つなぐのが難しくなります。今回の場合は自粛要請の対価として補償もあるようですが、それにしても受け取れるのは少し先になるでしょう。
給料が倍になっても年金の受給額は倍にならない?
たまに、給料アップor共働きすれば年金受給額アップが見込めます的なアドバイスを目にしますが、世帯収入が増えても年金の受給額はそれほど大きくは増えません。
例えば年収400万円の人と年収900万円の人のそれぞれの毎月の受給額を比較すると差額は約9万円くらいにしかならず、年収がそれほど高くなくても20万円くらいはもらえるので、所得代替率だけを見れば、あまり稼がない人のほうが少し得をしているとも言えます。このように年金制度はどちらかというと給料の多くない人にとって手厚くて多く稼げば保険料も多く取られるだけなので、効率は良くありません。
ではどうすれば? 支出を削る+働く以外の収入を増やす
老後への不安を少しでも減らすには、まずは先程の記事にもありますが、今の段階から支出を削れるだけ削ることが大事です。支出の中でわりと大きな割合を占めるローンは定年前の完済を目指し、賃貸であればなるべく住居費が掛からないようにしておくと少しでも安心です。
運よく給料が上がったら、支出を増やして生活水準を上げるようなことはせず、その分は使わずにおいたほうが良いでしょう。
40歳以降になるとクビになるリスクは一気に高まるので、再就職しようにも雇ってくれるところがない…といった状況に備えるためにも、働く以外の手段で稼げるようにしておくことも重要です。
オーナーがどのような状況にあろうとも稼ぎ続けてくれる不動産や株式やデジタル資産などは、苦しい時に頼れる非常に心強い味方です。