現在それほど株数は持っていないのですが、9月に大きく落ちてから少し回復しているので、この先もJTを持ち続けるべきか検証したいと思います。
JT株があまりパッとしない理由はいくつかあり、世界的な市場自体の縮小、その他、いつかはわからないけどいずれ行われる「のれん」の償却、加熱式たばこでのシェアが低いこと、たばこ事業の割合が高いことなどが挙げられます。
健康ブーム・新しい製品分野でも押され気味
世界的に見ると、どの国も喫煙に対しての規制が強まっています。JTは今のところこれに対して、値上げをすることによって売り上げを維持しているようですが、いくら喫煙者がたばこを消費し続けてくれるとは言え、あまりに価格が上がり過ぎれば、禁煙し始める人も増えていずれは売り上げも下がる可能性があります。JTは、国内においてはたばこ事業で独占的な地位にあるため、ある程度の売上が担保されていますが、縮小傾向の流れ自体は止めようがないので、おそらくこれが徐々に株価を下げている一番大きな原因かもしれません。
次に、紙たばこを補う分野である加熱式たばこについては、現在はフィリップモリスのアイコスやブリティッシュアメリカンのグローに先行されていて、JTのブランドのプルームは、これから追い上げていく立場にあります。今はシェア獲得では出遅れていますが、喫煙時のニオイをおさえるという点においてはプルームが優れているようなので、今後の伸びに期待したいところですね…。
たばこ事業への依存度そのものが下がっていない部分も、投資家にとっては大きな懸念材料になります。売上構成の中で、医療事業と加工食品の事業の割合がそれぞれ5%、7%ずつとまだ小さいという点は気になります。以前も確かに医療に関しては、長期で成果を見る必要があって、三十年近くかけてようやく収益化を実現出来たりと、時間が掛かるものではありますが、たばこ事業だけに頼れないことは明白ですから、これらの分野はさらに強化してもらいたいところです。
もうひとつ大きな懸念材料としては、買収してきた企業ののれん代の償却がいつかは発生することになるので、この総額が大きい点です。実際に外に出るコストではありませんが、償却は価値を下げるのは確かです。IFRSの基準では、回収見込みがないと確定したら償却をしなければならないようが、日本の会計基準のように無条件に毎年決められた額を償却(損金に算入)しなくても良いようですが、いつかは発生しうるので、これもリスクになりそうです。
このように、JT(日本たばこ)の株価を下げる要因はいくつかあるわけですが、縮小傾向にあるとはいっても、たばこの需要は国内外であり続けるわけですし、JTもその分は稼ぎ続けると思います。出遅れた加熱式たばこの分野でも徐々にシェアを伸ばしてはいるので、古い産業ではありますが長期的にも今の配当額を出し続けれくれるのではないかと見ています。