肥満が大きな原因
いびきは、鼻や喉などの軌道が狭くなったところを、
空気が無理に通り抜けようとして音が鳴る物理的な現象です。
全開の窓に風が吹き込んでも音はしませんが、窓が少しだけ開いている状態だと
ぴゅーぴゅーと音がするようなものです。
太っている人が、いびきをかきやすいイメージはありませんか?
もちろん、痩せている人にも無関係ではありませんが、
特に首回りの肥満は、いびきの大きな原因になります。
いびきをかく人の約7割は体格指数(BMI)が25以上というデータもあります。
コロナ禍の生活様式の変化で、
昼夜を問わず電子機器の画面を見る時間が長くなると
メラトニンという眠りに関連するホルモンの働きが悪くなります。
眠りが浅くなるといびきをかきやすく、
いびきをかいているとより眠りが浅くなるという悪循環になるのです。
また、副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症など、鼻の病気があり、
口呼吸が主体になりやすい人も
睡眠時に気道が狭くなり、いびきをかきがちです。
さらに、気道が狭くなる要因の一つに骨格があげられます。
日本人を含めた東アジア人は、体に対しての骨が小さかったり、
少し後退していたりする特徴があり、
いびきを誘発しやすいと考えられています。
舌根沈下の予防がカギ
いびきと関連する病気に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)があります。
いびきをかく人の7~8割は低呼吸・無呼吸状態を伴っています。
特に「飲酒していない」「疲労困憊ではない」
状況なのに、週3日以上、いびきをかく場合は注意してください。
日中の眠気や集中力の低下だけでなく、糖尿病、脳卒中、心臓の病気など
あらゆる生活習慣病につながっていく危険があるので、
放置しないほうが良いでしょう。
睡眠時に誰にでも起こりうるのが、舌根沈下です。舌の筋肉が弱くなり、
喉の奥に落ちてしまう現象で、筋肉が緩む睡眠時によく起こり、
いびきの要因になります。
舌根沈下を予防する方法は、舌を前後・上下に動かしたり、
回転させるのがいいでしょう。
また、睡眠の質をよくするためにお勧めしたいのは、
朝ごはんに味噌汁を一杯飲むこと。
味噌などの発酵食品に含まれるトリプトファンは、約14~15時間かけ、
睡眠ホルモンのメラトニンへと変化します。
同様の理由で、豆腐や納豆、牛乳、ピーナッツ、バナナもお勧めです。
これらの対処を続けても改善が見られなかったり、
いびきの合間に呼吸ををしていない状態があったりする場合は、
専門医に診てもらいましょう。
日本睡眠学会のホームページを見れば、睡眠専門医や専門施設が分かるので、
気軽に相談してみてください。
自分の睡眠に興味を持つ
人が寝ているとき、いびきや寝言、
歯ぎしりなどの異変に気づいたら伝えてあげましょう。
本人が気づいていないことも多くあります。
相手のいびきで寝られない場合、一緒に寝ている人も
生活習慣病を発症しやすいので伝えることがお互いのためになります。
1人暮らしだと、いびきを指摘される機会がないかもしれません。
”自分は大丈夫だろう”と思うかもしれませんが、指摘されない分、
より深刻な状態になってしまうことも。
例えば、朝起きたときに喉がカラカラに渇いていたり、
十分な睡眠時間をとっているはずなのに日中に強い眠気があったりする場合は、
いびきを疑ってみましょう。
スマホのアプリで、睡眠時のいびきや呼吸状態を確認できるものもあります。
まずは、自分の睡眠に興味を持つことから始めてみましょう。
ドラマや漫画でも、寝ていることをいびきで表現するほど、
いびきは身近な存在です。
しかし”たかがいびき”ではなく、
無呼吸症候群やその先にある病気を発見する一つの手がかりだと思って、
ぜひ積極的に改善に努めてみてください。