その昔、「まずは3年やってみろ」なんて言葉が流行っていました。勤め始めたらまずは3年やってから続ける価値があるかどうかを見極めろということのようですが、今はもっと早く見切りをつけて次に移るのもわりと普通なようです。でもそれは全然悪いことではありません。
人生100年時代とか適当なことを言っておきながら実は最後まで責任をもって面倒を見てくれるものなどどこにもないので、そんな中でじぶんに合わないものを無理に続ける義務もないし時間も無駄になってしまうだけなので、もしもっと良さそうなものがあるのであれば、早めにそちらに切り替えるほうがいいかもしれません。
合わなければ出ればよい
現代ビジネスの「「3年でやめる若者」は相変わらず3割…それはオジサンが思うような「深刻な事態」なのか?」によると、 新しい世代の人たちが最初に勤め始めたところを離れる割合は景気や社会情勢等とあまり関係なくわりと一定して常に3割程度いるようです。
雇う側の人たちにしてみればかなり多いと見ているようなのですが、でも雇う側が働き手を選ぶのと同じように、働く側だって仕事を選ぶのも当然のことですから、辞めたいと思う人が3割程度あるいはもっと出てきても不思議ではありません。 以前採用を手伝ったことがありますが、最初の年に3人に1人くらいの割合で辞めていき、数年残っているのは6~7割程度ですから、大体この統計通りで、残ってもらえるための環境づくりもなかなか大変です。
人を雇って事業をやっている人たちにとって、それが大きな悩みでもあり痛手にもなるのは分かります。人を採用するにあたって掛かる手間や時間とコストはかなりのものです。辞められてしまえばそれがすべて無駄になってしまうし、どうせ無駄になるからと言ってあまり手間やコストを掛けなければ来てほしい人を雇える可能性は消えてしまい、人が足りなければ事業規模も拡大できません。それに「雇ってみないと分からない」ところもあって、ある意味ギャンブルみたいなものでもあるので、できればあまりリソースを割きたくないと思ってしまうのも分かります。
ですが「信用できない」と思っているのは、働く側だって同じです。競争環境が厳しくなっていることが要因なので雇う人たちのせいではないのですが、一生雇い続けてくれる保証は無くなりつつあります。
それに先程の記事中にもあるとおり、新しい世代の人たちは、自分たちの親世代が一生懸命尽くしてきた先からわりと簡単に途中で捨てられてその後経済的な苦境に陥るのを見てきているので、長く居続けて尽くしたところである日突然無駄になるかも知れないので、もちろん自分の価値を高める努力をしながら、自分の都合を優先してどう働くかを決めたいと考えるのもある意味当然です。出ていかれたくない・もっといい人に来てほしいというのであれば、通常より高く支払うしかないでしょう。ただそれでも居続けてくれるかは働き手の都合次第です。
じぶんの人生なのだから
結局のところ、もしずっと居てくれる人が欲しかったとしても、基本的に働き手は払った分だけ働いてくれる+ずっとは居てくれないものと、少しドライに考えておくくらいがいいのかもしれません。特定の人への依存度が高すぎると、居なくなった時にとても困ります。
大きな事業をやりたい人は、面倒でもこの働き手・雇い主の関係をどう良く維持していくかが大事にはなっていきますが、かなり苦労が大きそうです。そういったことで神経をすり減らすくらいなら、もう少し気軽に稼げる方法もあるのに…、と人手が必要な時は雇わず業務委託で任せて基本的にはあまりじぶんが前面に立たなくても良い投資業をやっているとそう感じる時があります。でも同時に、そんな苦労を進んでしてでも雇用を生んで事業をしている人はある意味偉いとも思うのです。大きな責任を持たなくてもそこそこ稼げるようになると、そのあとわざわざ苦労する方向には行きにくくなります。
もう誰かが最後まで面倒見てくれるような世の中ではなくなってしまったので、 働き手の人たちも、もちろん不義理なことはせずにですが、自分の都合を優先で動いていくと良いでしょう。一度きりの人生ですから、望みもしないのに誰かに尽くすだけで終わってしまったらあまりに勿体なさすぎます。