雇われの中でも「上のほう」にいれば安泰なのかというとそうでもありません。下のほうにいても「必要な時だけ居てくれればいい」とされてしまいがちですが、上のほうにいたとしても今度はコスパに見合っているのかをより厳しく見られます。
雇われている限りは、自分がどうなるかはどういう肩書があろうが結局は環境や雇う側の都合次第。少しでも安定した人生を送りたければ、外からの影響や変化に左右されにくいものを持ち、それを増やしていくしかありません。
勤め先や環境次第で吹き飛ばされるのは同じ
雇われて働く人たちの中には、肩書がある人のほうが何かと有利と思われているところもあるようです。現代ビジネスの「転職は厳しい、出世もムリそう…管理職になれなかった「おじさん社員」の末路」などでも、もしも40・50代くらいで勤め先を追い出されて職探しをしなければならない状況に陥ったときには、管理職の経験がある人のほうが有利とあります。年齢的にまとめ・つなぎ役のポジションが多いからというのもあるのでしょう。
でもそれくらいの年齢であれば、管理職の経験があろうがなかろうが、次の仕事を見つけるのが難しいのはあまり変わらないそうです。数年前に出されてしまい、今でも職探しに苦労している人たちによると、業種や職種に関わらず全体的な傾向として40を過ぎれば紹介してもらえる案件の数自体が30代と比べると極端に少ないそうです。それが嘘でない証拠に、彼らの中には数年経っても今でもいい仕事に巡り会えない人も多く、希望する給料を半減以下に下げてもまだ見つからないと言います。その中には当然、30代のうちから管理職としての経験を積んできた人たちも入っています。
先程の記事によると、専門職の仕事こそAIや機械の取って替わられてしまいポジションが無くなってしまうため、管理業務をしてきた人のほうが有利らしいのですが、リモートワークが推奨されて以降は逆に管理をするとかつなぐだけの人が要らなくなって出されているように見えます。残されているのはどちらかというと、実務をやっている人たちのようです。
もちろん彼らの業務も機械で代替えされるようになれば、同じように出されてしまいますが、まとめる・つなぎ合わせる人はそれほど多くの数は要りません。事務系だけでなくこの部分でももっと人件費を削れたら助かる・削れた分を実務で足りない人数の確保に回せると見られているらしく、代わりに機械が調整・管理をしてくれるようにもなってきているので、マネージメントやデスクとして必要とされる数は減っています。実務ができる人のほうが、安いことさえガマンすれば、次が見つかっているようです。
コスパに見合ったものには見えない
仮にもし管理職であることが職探しに有利であるとしても、それが在職中に働き手本人にとってコスパに見合ったものなのかどうかは疑問です。少し前から管理職になりたいという人が減ってきているようですが、大きな理由の一つは給料が大して上がらないからだそうです。せいぜい上がっても数万円くらいでしょう。
働き方改革関連の法が整備されたことにより、ますます部下の面倒見の責任が重くなり、任される範囲も広くなってより忙しくなっているにもかかわらず、給料がそれほど多くは上がらず心労で身体を壊すリスクが高くなるし、なったところでクビにならない保証がもらえるわけでもなく、雇う側の財務状況が厳しくなれば逆に切られやすくなるとなると、進んでなるべきものには見えません。
雇われている限りは結局、下のほうに居ようが上のほうに居ようが簡単に吹っ飛ぶのは同じです。
それに、○○という組織の○○というポジションである、というのはあくまで勤め先からの借り物なので、そこに属している間に、業務にかかわる人たち周辺でしか使えません。昔○○だった、は何も生んではくれません。勤めていた先を出されてしまった後は、それを再利用して半自動でお金を稼ぐといったことが出来ないところが、「勤め仕事を頑張り過ぎる」の難点です。
それに対して、勤め仕事はもらった分までしっかりこなすだけのものと割り切って、給料の一部を毎月先取りで貯金をして、ある程度の額に貯まる度に給料以外のお金を生んでくれる実需の堅いものに持ち替え、それを増やしていった場合はちがいます。自分が属していた組織を離れた後でも、それらはお金を稼ぎ続けて持ち主をずっと助けてくれます。
雇われている限りは結局、下のほうに居ようが上のほうに居ようが簡単に吹っ飛ぶのは同じです。追い出された後にはもらった手切れ金以外には何もないので途方に暮れる、とならないためにもずっと自分と共に在り自分のためにお金を稼いでくれるものを増やしていきましょう。