収入が増えてもお金に余裕が持てるわけではありません。多くの場合、収入が増えるとともに自然と出費も増えてしまうからです。
稼ぎが増えるたびに生活水準を上げ続けてしまったらいくら稼いでも生活は楽にはならないし余裕も持てないので、スタート地点の暮らしぶりを忘れないようにしておきましょう。当たり前ではあるもののなかなか出来ないようなのですが、そこを基準にして差額を増やしていけば、お金の余裕を実感できます。
「収入-支出」の差額を大きくしなければ意味がない
お金に余裕を持ちたければ、とりあえず働き手を増やして収入を増やそう!的なアドバイスを見掛けることがありますが、少し安易すぎるかもしれません。
一家の働き手を一人から二人に増やせば、景気次第のところはありますがたしかに収入の額自体はわりとすぐに増やせます。でも、まいなびニュースの「「共働きなのに」「贅沢をしていないのに」…家計に余裕がないのはなぜ? 確認したい5つの「落とし穴」」 などにもありますが、お金が多く入ればそのぶん「お金が増えた」と安心してもっと使ってしまうようです。入った分だけ使い切ってしまうというパーキンソンの法則通りですね。
給料の場合は特にそうなってしまう傾向が強いようにも見えます。たぶん次の月ももらえるからと安心しきってしまうからかもしれません。
でもこれが危険なのです。単に給料もそれなりに高いのだけれど何故か働けど働けど生活に余裕を感じられない…くらいで済めば、それでも雇用が続いてくれれば何とか生活はして行けるのでまだマシですが、ある程度の年齢に達してもなおその生活スタイルを続けていったら大変です。今は早ければ30代、40代・50代で突然クビになるのも普通です。たとえ一家に働き手が二人いたとしても、ある程度の年齢になったら夫婦そろって給料が激減することもあり得るので、そうなると1人であっても2人であってもその後の生活が苦しくなる・助からないのは同じです。
今までよく間近で、入社して数年経つと夫婦二人で高額なローンを組みマンションを買ってしまい、子どもたちは私学に通わせ、着るもの・食べるものについてもあまりお金を気にせず使い続けた結果、ここ最近になり勤め先の都合で突然クビになって、ローンの支払いに困っているといった例を多く見てきました。その後どうなったかを聞いてもはっきりは行ってくれませんが、おそらく困った程度では済んだわけがなく結局手放すことになり、売却しても返しきれない部分の残債を今でも抱えていると見られます。
また彼ら自身によると、40歳前後ではもう同じような高給をくれるところはほぼ無くて次を見つけるには何年も苦労するらしく、結局無いままの人もいるため、勤めで増えた稼ぎをあてにして生活水準を上げていくことが如何にキケンかが良く分かります。最後に何も残らないのです。
正確に言うと残るのは借金と思い出だけです。でも借金はただの重荷ですし、贅沢をした思い出も、困窮した際に何かの助けになってくれることはまずありません。
働き手を増やしてお金を余裕を感じたいのであれば、元々の生活水準を保ちつつ全てを支払い終えた後の手残りを増やしていくしかないのですが…。
投資でも同じことは言えるが…
一家の稼ぎ手が一人のままで、例えば投資をすることで収入を増やしているケースでも、同じように元々の生活水準を保ち続けておかないと、いくら収入が増えたところで余裕を感じることは出来ません。
それにいくら「現金とは違って収入源は何度でも使える」とはいっても、上がる収益を使い続けてしまったら、収入額をそれ以上増やすことが出来ません。必要が無ければ変な贅沢は避けるべきで、本当に必要となるまでは、なるべく上がってくるものは再投資に回して収入額をさらに増やすべきです。
でもそんなことは投資で上手くやっている人たちはそんなこと言われなくても分かっているかもしれませんね。
サラリーマンと同じような感覚で、稼ぎが増えるごとに生活の質を上げてしまっている人もいますが、それをやり過ぎて破産した人がいるのもよく知られているので、投資家の多くは、「収入-支出」の幅を広げないと意味がない・稼ぎが増えてもいい気にならずにちょっとの贅沢は楽しんだとしても他では締めたりとメリハリをつけて不必要な支出は増やさないようにしているという印象です。
実需の堅い事業・投資先から上がってくる収益は堅いものの、それでも油断はせず、必要とされる時まで無駄にはしない、という感じです。
「収入-支出」の幅を大きく広げられる人は、元々の収入がそれほど大きくなくても、差額の積み上げを大きくすることが出来ます。その差額の積み上げを上手く使って収入源を増やしていけば、さらに「収入-支出」の幅を広げられます。
ただ収入を大きくすればいいわけではありません。余裕を得るためには必要なもの・ことには大きなお金をしっかり使いつつも、如何に無駄な消費を抑えるかがポイントのようです。