頭痛を訴えて受診する方が、コロナ禍以前と比べて約2倍近くに増加しています。
頭痛持ちの人が、痛みの強さが増す、頻度が高まるケースと、
頭痛のなかった人が新たに症状を自覚するケースがあります。
増えている頭痛は大きく分けて、血管の拡張によっておこる片頭痛と、
筋肉が凝ることで血流が悪くなって起こる緊張型頭痛の二つです。
もともと日本では片頭痛の患者は約1000万人いるとされ、そのうち約8割が女性です。
生理の前に、エストロゲンというホルモンの分泌量が減ることによって、
頭痛が起こりやすくなるためです。
また、緊張型頭痛の患者は約3000万人とされています。
人間の頭は5㌔程度の重さがあり、それを支えている首はとても凝りやすく、
緊張型頭痛の要因になるのです。
頭の重さは性別による違いは、ほとんどありません。
ただ、女性は支える筋肉が少ないので、
緊張型頭痛も基本的には女性のほうがやや多いといえます。
片頭痛と緊張型頭痛は、どちらかの場合もあれば、両方持っている人もいます。
対処法を間違えると、逆効果になることもあるので、注意が必要です。
ひとりの時間をつくることも大切
コロナ禍ならではのストレスも頭痛につながることがあります。
外出自粛やオンライン授業、テレワークで家族が一緒にいることが増え、
些細なことで喧嘩になることもあるのではないでしょうか
テレワークは仕事と日常生活の切れ目がなく、生活にメリハリがない状態になることも。
それにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
自律神経が乱れると、セロトニンという幸せホルモンが急速に減少します。
セロトニンは痛みを抑制したり、血管を収縮したりする機能があるのですが、
それが減少することで片頭痛を起こしやすくなるのです。
お風呂に入る時刻を決めて、それ以降は仕事をしないと”自分ルール”を定めたり、
家族の中であっても、
お互いに一人の時間を作れるように配慮したりすることが大切です。
一方で、人と話すことによってストレスが軽減され、頭痛が和らぐこともあります。
これは猿などの
「グルーミング(毛づくろい)」
と似た行動で、愛情を確かめ合い、リラックスできるからです。
たとえ友人に直接会えなくても、
電話やオンライン通話を使っておしゃべりをするなど
人とのつながりを保つことが頭痛の改善にもなるのです。
50代以降の激痛は要注意
頭痛が起きたとき、市販薬を飲むことで症状を緩和させる場合もあるでしょう。
しかし、飲みすぎには注意が必要です。
月に10日以上、薬を飲むようであれば医療機関の受診を検討しましょう。
片頭痛が、50代以降から発症するケースはまれです。
今まで頭痛の経験がなくて、50代過ぎてから激しい頭痛が起きた場合は
くも膜下出血や慢性硬膜下血腫、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れている
可能性があるので、すぐに受診をしてください。
どんなに地位・名声・収入を得たとしても、
健康を害してしまっては元も子もありません。
ちょっとした異変にすぐさまに気づき、治療・対処法を考えていきたいものですね。