80歳以上で3割近くとの報告も
人間の頭の重さは体重の約10%ともいわれています。
その重さを受け止めるため、
背骨は側面からみるとS字状にカーブをしており、
頚椎(首の骨)も前方に向かって凸になるように緩やかに湾曲していま
す。
このカーブが失われ、まっすぐになった状態を
「ストレートネック」
と言います。
頚椎のクッション機能が低下するので、大きな負荷がかかり、
コリなどを感じるようになるのです。
一方、首の痛みを生じる病気として最も多いのが
「頚椎症性脊髄症」
です。
これは、背骨の中にある脊柱管という管を通っている脊髄が、
骨や地位看板の変化によって圧迫されることで起こるものです。
また、脊髄から枝分かれした神経が障害されるものは
「頚椎症精神軽症」
と言います。
その他、椎間板が飛び出して脊髄を圧迫する
「椎間板ヘルニア」
あるいは、難病に指定されている
「後縦靭帯骨化症」
などの疾患もあります。
「頚椎症性脊髄症」
は高齢になるほど発症率が高くなり、80歳以上では3割近くの人が、
頚椎の変形により、脊髄が圧迫されているとの報告もあります。
生活習慣病の側面もある
椎間板は加齢とともに水分を失っていき、徐々に押しつぶされていきます。
その結果、椎体は不安定になり、骨の変形が生じます。
このようにして飛び出した骨を骨棘と言います。
この骨棘が脊髄や神経を圧迫することで症状が起こるのです。
長年の偏った姿勢のほか、遺伝的な素因を挙げることができます。
すなわち、生まれつきの脊柱管の狭い人が発症しやすいとされ、
特に日本人は、海外の人に比べると、
生まれつき狭い人が多いといわれています。
加えて、骨の変形は、骨の強さに影響されるので、
運動不足やバランスの悪い食生活なども関係するとされており、
ある意味では生活習慣病の側面もあるといえるでしょう。
神経症状がなければ保存療法を
一般的には、薬物療法として、
以前から使用されている非ステロイド性消炎鎮痛薬に加えて、
最近では神経に作用する鎮痛薬を使って痛みを抑えます。
その他、温熱療法、光線療法、けん引療法などがあります。
ある一定の効果が認められていますが、根本的な治療ではありません。
保存療法を行う際に大切なのが、生活習慣の改善です。
日常の姿勢を改善することだけで、
進行が止まるばかりでなく症状が改善することもあります。
また、症状が長時間持続する場合には、
適度な運動を行うことで血流が改善し、症状の緩和が期待できます。
一般的に推奨される運動は、体幹を鍛えることで、腕立て伏せ、
腹筋運動、スクワット、鉄棒などからのぶら下がりなどです。
血流を改善させるという観点からは、温浴にも効果があります。
併せて、冷房を避けたり、
温かい飲み物や食べ物を摂取したりすることなども推奨されます。
就眠時には、頚椎と腰椎の湾曲の部分に、
タオルを巻いてロール状にした枕を10分間程度当て、
背骨を伸ばすようにするとよいでしょう。
日常生活に支障を来すような痛みがあれば、決して我慢をせず、一度
整形外科、脊髄外科などの診断を受けてみるのがいいかもしれませんね。