今でもときどき、「いざというときに備えてお金を貯めておきましょう」とか言われていたりするのですが、はっきり言って「貯める」だけでは備えとしては不十分です。
「いざというとき」が人生で何度来るか・どれだけ深刻でどれだけ続くかは誰にも分からないので、危機に備えるのであれば、取り崩して何とかするためのお金を貯めるよりも、お金を生んでくれるもの自体を持って増やすほうがもっと効果的です。
「価値が下がるから」ではなく、「使ったら消えて無くなるから」良くない
withonlineの「1万円が1万円の価値じゃなくなる!?地道に貯金しかしていない人の末路」によると、将来や何か危機への備えとしてただお金を貯めることにはあまり意味が無いとあります。理由としては、お金の価値が変わってしまうから。
もしも物価が大きく上がれば、貯めたお金の価値が下がってしまうから、危機が来た時のために貯めておいたそのお金が助けになってくれないことがあるからだそうです。
一理あります。ただ、ここ20~30年成長がほど止まっていて残念ながらこの先も経済が劇的に成長しそうな気配は見られないので、この点はそれほど心配しなくてもいいかもしれません。いいこととは思いませんが、今の1万円は、将来も1万円分の力を発揮してくれるんじゃないでしょうか。
貯金だけで危機や将来に備えようとするのがなぜダメなのかには、別のもっと大きな理由があります。それはお金というものの特性そのものにあります。
もしお金がたくさんあれば、たとえば突然仕事をクビになる等の大きな危機を迎えても、これにもあるとおり、貯め込んでおいたお金を取り崩すことで、しばらくはやり過ごすことが出来ます。餓死は免れるので効果があるのは確かです。だからこそ「生活費の○か月分~○年分を貯めておきなさい」と言うのでしょう。
ところがです。お金は一度使ったら消えて無くなります。当然消えたらもう助けてはくれません。
6か月~1年あるいは数年間それでしのいだ後、何とか無事に次の職に就けたとしてます。危機は乗り越えることが出来ましたが、まずは次の危機に備えてまた取り崩し用の貯金をするところからの再スタートです。
大きな経済的な危機は大雑把に見て約10年くらいの周期でやってきますが、10年あれば貯め直しは可能です。でも働き手というのは勤め先の都合や環境次第で簡単に切られてしまうので、そのときまた同じように職を失ってしまうようなこともよくあります。そのときはまた貯めたお金で何とかする…。
ずっと若く居られるのであれば、その繰り返しても良いでしょう。でも誰でも必ず歳を取ります。歳を取れば取るほど職を見つけるのは難しくなるので、さいごはその繰り返しも出来なくなります。
この「再利用が効かない」というのが、貯金の大きな欠点です。 むかしのように利子を稼いでくれるのは、ほとんど期待できません。「貯める」だけだとこのように、同じ苦労を繰り返すだけです。なので、歳を取ったときには老後のための蓄えが無い状態になってしまいがちです。
だから「貯める」だけでは不十分なのです。
貯める・取り崩すという発想が、安心を遠ざけてしまう
ファンドなどを買って積み立てて大きなお金の塊を作るとしてもあまり安心を得られないのは同じです。一度使ったら消えて無くなるものは、いくら大きく積んでもそれが少しでも減ったら不安を感じるので、それだけではあまり結果は変わりません。
投資の基礎を学ぶという意味では、いい出発点かもしれません。ファンドが何に投資をしてリターンを得ようとしているのかをよく調べれば、自分自身で個別の案件を選ぶ場合はどういうものを選べばよいのかある程度参考になります。
実際に自分で不動産なり株式なりwebメディアなり個別の対象を選んで投資をすれば、給料とは別の収入源を持ってそこからお金を得ることでどういった安心を得られるのかが良く分かります。
これらの収入源は、持ち主の雇用や健康状態と関係なくお金を稼いでくれるし、何度使っても消えて無くなることはありません。
無くなるたびに自分でつぎ足そうとするよりも、供給し続けてくれるもの自体を持ってそれを増やしていくほうがはるかに安心です。