高齢になるにつれ、できていたことが、できなくなります。
健康やお金のことで不安に思うこともあるでしょう。
そうした気持ちを少しでも解消し、幸せに年を重ねていくために、
国際医療福祉大学大学院教授である精神科医の和田秀樹さんの話をまとめてみました。
60歳以上のアンケート調査によると、約8割の人が老後に大きな不安を抱えています。
漠然とした不安があるのは、無理もないことです。
ただ、不安というのは、実際は
「こうなるかもしれない」
という幻想であり、精神医学でいう予期不安です。
つまり、実際には起きない可能性もあるのです。
できることに目を向ける
「老い」への不安の一つに、認知症になるかもしれないとの思いがあるようです。
認知症と聞くと
「いろいろなことができなくなる」
と考えがちです。
しかし、実際には、軽度と重度とでは症状が全く異なります。
アメリカのレーガン元大統領やイギリスのサッチャー元首相も後年、認知症だったことが公になりました。
両名とも、在任中に物忘れくらいはあったと考えられます。
見方を変えれば、発症したとしても、軽いうちは仕事が務まり、普段の生活を送れるということでもあるのです。
適切な治療を早めに施せば、進行をある程度、遅らせることもできます。
また、これまでの臨床経験から、
「興味があることをやり続ける」
「日常的な習慣をやめない」
ことで、進行が緩やかになる可能性もあります。
医学と科学の進歩を楽しむ
少し先の未来への希望として、医学の進歩を信じてもいいと思います。
これからはAIの時代です。
ITはAIと異なり、ITは情報技術のことで、自分で学ばなければ上手に使いこなすことができません。
インターネットやスマートフォン、SNS、昨今では、ZOOMのようなビデオ会議システムの活用などが例です。
ITを使えないと不便を感じ、置き去りにされてしまうのです。
AIは逆です。
AIの人工知能によって、車の自動運転の道が開かれたり、見守りロボットなど自動的に生活をサポートしてくれたりします。
高齢者が生活しやすい社会になると思うのです。
コミュニケーションこそ老化防止
老化を防ぐための秘訣は、人とのコミュニケーションです。
親しい人や共通の趣味の人と会話する時間は、心がリラックスするので、不安を忘れさせてくれます。
その上、相手の気持ちを理解しようと努めたり、自分の考えを言葉にしたりすることで、
社会性をつかさどる脳の一部、前頭葉が刺激されます。
前頭葉は脳の老化が最初に始まる部分と言われ、コミュニケーションは老化を防ぐポイントであるといえるのです。
コロナ禍での自粛生活が続き、人とのコミュニケーションも自粛してしまった結果、
認知機能が落ちた高齢者が続出しました。
そのため、たとえ、人と会うのが難しくても、電話でもいいので、
人と接すること、会話をすることを欠かさないようにしてください。
しがらみや孤独、不安を乗り越えるために、一歩ずつ進んでいきたいですね。