なかなか正規雇用での仕事に就けないため、将来ももらえるであろう年金の額の少なくなるということで、今から老後が心配だという方も多く居ると思います。
もし正規雇用であったなら…と思うかもしれませんが、変な言い方になりますが、そこはあまり気にせずとも大丈夫です。正規雇用で働けたとしても将来への不安は同じくらい残るからです。
将来が危ういかどうかは、雇用形態がどうのではなく、雇用から上がる収入=給料、以外の収入源を持っているか否かで決まります。
非正規雇用の場合、将来受給できる年金が少ないのは確かだけど…
幻冬舎ゴールドオンラインの「年金15万円など「やはりもらえない」就職氷河期世代の深刻度」 によると、1990年代後半~2000年代初めに掛けて就職難で正規雇用の仕事に就けなかった人たちは、サラリーマンの平均的な年金受給額とされる毎月約15万円を得るのはかなり絶望的とあります。それにいまはコロナ禍が続いていることもあり、この状態が今後も年単位で続いたら、また同じように就職氷河期世代が再生産されるのではないかという懸念もあるそうです。
毎月15万円の年金があれば、すでに引退している単身の高齢者の人の平均的な生活費月額14~16万円の大部分をカバーできることになるため、多少足りないのは事実としても、働くなり貯金を取り崩して充てるなりしなければならない部分は少なくて済む、ということになります。
でもファイナンシャルフィールドの「非正規雇用労働者、もらえる年金はどれくらい?」 にもありますが、もし40年間仕事になかなか恵まれず非正規雇用でずっと働き続けざる得ない場合は、厚生年金に加入できていたとしても基礎となる国民年金に加えて多少上乗せが付くくらいとなり、おそらく現実には毎月10万円以下となるケースが多いのではとあります。
そう聞くと将来がかなり暗いものと思えてしまうかもしれませんが、取りようによっては、それでも働ける機会があるうちは頑張って保険料を支払っておけば、毎月10万円近く=将来掛かるであろう単身者の生活費の大半は何とかカバーができるということにはなります。
ただそれでも毎月足りない部分がケースによっては毎月6~10万円近く必要になることから、正規でずっと働けた人と比べると不利なのは確かです。ですがそれはあくまでそれぞれの働き手が、ずっと「非正規」「正規」で分かれて固定してしまったらの話です。
20年くらい前までは、もしも景気がそこそこ良い状態が続いたとしたら、正規雇用で働いている人は、そのままの雇用形態で働き続けられるであろうと考えられていました。
ところが今は状況が大きく変わっています。最近よく聞く「○○社で○○人の大量解雇」というニュース等は、一見するとコロナ禍の影響のせいで起きているかのように見えますが、実はコロナ禍とは関係なく進められていたりします。40代・50代以上の人たちの大量整理というのは2~3年くらい前から始まっており、理由としては、競争環境が厳しくなってきているので本当に必要な人材だけにしぼっておいて経費を削る必要があることや、生身の人間を機械に置き換えたほうが効率的で安く済む部分が増えてきたこと、それと歳を取った人員の雇用負担義務を今のうちにできるかぎり減らしておきたい事などが挙げられます。
いまはだいぶ減りましたがそれでもときどき耳にする「生涯賃金」とかいうものもそうですが、この将来受け取れるであろう年金の支給額などと同じで、「もしも40年以上、正規雇用で勤め続けることが出来たとしたら…」が前提となっています。ある意味、奇跡を前提として試算されているだけの数字なので、先程も触れたように40代・50代もしくははやければ30代後半でわりと普通にクビになってしまう今の世の中においては、指標としてはほとんど機能せず頼りになりません。
つまり「働く」しか収入を得る方法が無い限りは、正規雇用で働いていようが非正規であろうが、将来への不安は消えません。働き方改革も進んでいることから、正規雇用だけにある優遇措置のようなものを徐々に剥ぎ取っていくことで、働き手を実質みんな非正規としてしまい、低いところで平等に…といった形で同一労働同一賃金を「法律どおりに」実現しようとしているところもあります。そうなると非正規の人たちだけでなく正規雇用の人たちであっても年金がどうなるか心配になるのは同じです。
「働く⇒貯める」のもう一歩先へ行く
「働く」「お金を貯めておく」だけを基準に考えると、このようになかなか将来や老後に希望を見出すことができません。現金は一度使えば手元から消えて無くなってしまうので、「働く⇒貯める⇒取り崩す」ということしかしない場合、いくら現金の積み上げがあったとしても、それが少しでも減れば不安を感じます。
繰り返しずっとお金を稼ぎ続けられるものを持たない限り、心配は消えて無くなりはしません。歳を取って働くのが難しくなってくれば、その不安はさらに大きくなります。
でも「働く⇒貯める⇒お金を生んでくれるものを買って持つ」に切り替えれば、今の雇用形態がどうであるかに関係なく、将来に関してもっと安心を得ることが出来ます。「お金を生んでくれるもの」からの収入と、持ち主の雇用や健康状態や年齢には特に関係が無いからです。
非正規雇用であったとしても、まずは働けている間に毎月数万円を必ず先取りで貯金をして、それがある程度の額になったところで、お金を生んでくれるものに持ち替えます。そこから新たに上がる収益と毎月の貯金を合わせることで、お金を生んでくれるものをさらに増やせます。その数が増えていけば、労働への依存度を下げられますし、将来は年金の代わりとしても機能してくれるので、生身の人間が働くよりも頼りになります。
早くから始めればもっと積み上げられて有利になるので、「働く」の世界だけにとらわれる必要はありません。40代・50代になれば、正規雇用で働いていてもクビが近くなるので将来や老後が怖くなるようです。
ですが他の世界にも目を向けてそちらの方向に進んでおけば、クビも老後も怖くはありません。