ただ色々ガマンしてお金を貯め込んで大きな塊を作れたとしても、安心を得るのはほぼ不可能なようです。少しでも減れば恐怖を感じるからです。
お金が減る⇒無くなる⇒生きられない、という恐怖を感じずに済むようにするには、お金を生んでくれるもの=お金を稼ぎ続けてくれるものを持つしかありません。
いくらため込んでも安心は得られない
正確にはいつ頃のものなのかが分からないものの、悩みとしては普遍的なものではあるのですが、All Aboutマネーの「56歳専業主婦、貯金7700万円。年金生活で貯金が底をつくのが不安で仕方ありません」などをみると、ただ貯金額を大きくしておくことにはあまり意味が無いのが良く分かります。
定年時の退職金がこの中には含まれているとはいえ、貯金額として7,000万円もあれば立派です。とはいえ年金だけでは生活費をカバーしきれない部分が毎月10万円近く発生してしまうことから、貯金の取り崩しだけで最後まで生きていけるかどうか心配で仕方が無いのだとか。心配だからこそさらに切り詰めた生活を強いられるので、生きている意味も感じられないそうです。
物事がそこそこ順当に進むと仮定して単純計算すると、
この夫婦の年金収入毎月約15万円-毎月の支出約25万円×12か月×余命約30年
とすると、貯金が7,000万円もあればたとえこのほかに大きな出費が発生したとしても十分に足りることにはなりますが、減るごとに一生懸命頑張って高く厚く築いた防護壁が少しずつ削られていく感覚になるのでしょうか。「いつまで生きられるだろう」という恐怖からは逃れられないようです。
2~3年ほど前に行われた別の意識調査などでも「たとえ億単位で貯金ができたとしても、お金についても心配が消えない…」と答えた人が約半数近くいたという結果どおりで、この夫婦のように貯金だけでは安心を得ることが出来ないというのは本当のようですね。
もうすぐ来る老後生活が心配でたまらないというこの夫婦に対し、FPとしては今以上に節約するとことは難しい・貯金の取り崩しは仕方がないものと思うしかない、としか助言のしようがないようなので、如何に貯金が頼りないものかがこの事例からよく分かります。
心配かもしれないけど、よくよく考えれば十分なたくわえがあるので生きていけると分かるはずなのに、お金の塊に助けてもらおうとすると、逆にこのように判断力も鈍ってしまうので、これも「ただお金を貯める」の良くないところです。
お金を生んでくれるもの自体を持てばよい
お金は一度使ったら手元から消えて無くなります。使えば消えて無くなるものは、いくらため込んでも安心は得られません。
でも代わりにお金を生んでくれるものを持つと、お金が減る・無くなる⇒生きられない、という不安をあまり感じずに済みます。年金だけでは毎月10万円の赤字になってしまうというのであれば、お金を稼いでくれるものを少し持って、その分稼げばよいだけです。
毎月10万円なら中古の戸建てなどの不動産を3つくらいもしくは高配当が付く株式で2,000~3,000万円分くらい。持っている現金の塊の一部をそれらに振り分けるだけで解決です。しかもそれらから上がってくる収益を使い続けても、お金を生んでくれるそれら自体は消えて無くなったりはしません。ただのお金の塊を持つのとは、安心感がちがいます。この7,000万円の半分でも運用に回せれば、毎月の不足分10万円をカバーするどころか、少し黒字が出てそれを再投資に回すことで収入をさらに増やすこともできます。
お金の心配が無くなれば、やりたいことをガマンをしすぎて生きる必要もありません。せっかくの一度きりの人生を、ただお金を貯め込むことを頑張るだけで終わらせたらくはないですよね。
色々楽しむためにも、「減る」「無くなる」を気にしなくてもいい体制づくりを進めておきましょう。