今思えば10~11歳の頃にはすでに将来何を持つことになるのか・それらをどう使えばどういうお金が入ってくるのかについて、時々聞かされていました。そのおかげで、ピケティの「r>g」(労働よりも投資からの上がりのほうが大きくて効率的である)の法則に何とか早いうちに気付くことが出来ました。
息子もどれだけ理解できているのかはまだ分かりませんが、今の段階から、何があってそれらを使ってどうお金を稼げるかについて教えています。ただ普通に働くだけでは経済的にそこそこ幸せに生きていくのはほぼ不可能だからです。
お金について教える大切さ
ABEMA TIMESの「高校生に“投資信託”の授業は必要か? ひろゆき氏「“貧乏人に儲かる話は来ない”とちゃんと書くべきだ」」によると、 学校などで子供向けにも来年からマネー教育とやらが始まるそうですが、どうお金をもうけるかよりも、まずは働くこと、悪い借金をしないこと、困った時には公的な支援を受けて生きられることを知るべきとあります。
もっともなことです。ぜんぜん元手もないのにどうやってお金をもうけるかを考えてもあまり意味はないし、悪い借金をすればそれは長期でその子にとって足枷にしかならないし、生活が苦しくどうしようもなくなった時には公的な支援を申請すれば生きられるので絶望しなくて良いといったことを知るのは、とても大事なことです。ですがそうアドバイスする彼らの中でも全体的に資産運用や投資についてはあまり良くないイメージを持っている(あるいは素人がやるべきではないと言いたいだけかもしれませんが…)ところが少し気にはなりました。
これによると、子どもたちにマネー教育を始めることになったウラには金融業界の影が見え隠れるするとありますが、「貯蓄から投資へ」とか一昨年騒がれた「老後2,000万円問題」報告書なども、おそらくそうです。子どもたちに将来ファンドを買わせて手数料を取りたいからという意向はかなり強く組み込まれていると見えます。子どもに対してだけでなく大人にも、特に必要もないのに何かと理由を付けてファンドを買い替えさせて高い手数料をもう一回儲けようとするところなどを見ると、そう思えて仕方ありません。
でもそうした業界の欲や悪意を差し引いてもそれとは別に、それでも投資をすべきなのは確かです。なぜなら、昔のようにあまり深くあれこれ考えずともただ働く+お金を銀行に預けるだけでもそこそこ幸せになれる環境があれば、わざわざリスクを取ってする必要はありませんが、そんな時代はとっくに過ぎ去ってしまい、普通に働く人たちが輝いていた時代はもう戻っては来なさそうだからです。
それに、まだそれほど大きな元手が無いうちは、あまり投資について考えるべきではないともあるのですが、歳を重ねてから初めていきなり大きな投資をして失敗した例はいくらでもあります。単に自己資金をたくさん入れたからというだけでは上手く行きません。やり方をよく知っている人であれば、借金でも上手くやれます(*だからと言って、借りてやれというわけではありません)。
投資は若い時から小さく始めることが出来ますし、小さく始めてやり方を学んでいくほうが、やり直しが難しい年齢になってからいきなり大きな資金を投じて始めるよりも、失敗するリスクを減らせます。
また、これだけを読むと「借金はダメ」という印象だけが残ってしまいそうなので少しこれについても触れておくと、お金を借りることは別に悪いことではありません。誰かがお金を借りてビジネスをやるからこそ雇用も生まれるし経済が成長します。絶対必ずもうかる案件なんてこの世にはありませんが、やれば誰かのためになり、結果それがお金を生んでくれる確率が高いという案件はあります。そういったものに掛ける・足りない資金を借りてやることは決して悪いことではないと思います。いい借金と悪い借金にちがいがあることを教えるのも金融教育で大事なことのひとつのはずです。
まじめに働くだけではダメなワケ
簡単にお金がもうかる投資案件なんて無いのは確かです。そうしたことやギャンブル的な手法では勝てる確率が低いといったことをしっかり教えるべきというのはその通りです。
でもだからと言って、記事中にある「普通の人間はただ普通に働くしかないと覚悟すべきかも…」というのも考えものです。働き手になって活躍するべく準備をしたところで、機械に置き換えられてしまってその機会をもらえない=働き手にもなれない可能性は高くなってきています。なったところで、働くだけでは稼ぎにくくもなっています。
リスクを取って投資をするよりも、アルバイト的な仕事をするほうがすぐに収入を増やせるのも確かですが、それにずっとは頼れません。本職と同じように、年齢を重ねれば「もうひとつの仕事」を探す・取ってくるのも簡単ではなくなります。
働く機会が得られなければ無収入になるので、その時に他の収入源が無ければ生活は成り立たなくなります。公的な支援で生きていけるとはいえ、助けられる代わりにその後やれることに色々制限が掛かります。
ただ普通に働いてもほぼ幸せにはなれない社会で必要なのは、原資を持つこととそれを生かす知恵です。実際それらのおかげでこうして熱海でゆったりと暮らせるわけですから、子どもにお金とはどういうものなのか・投資とは何かということをしっかり教えることは大事なことです。