ここ熱海に来てそろそろ4年になります。最近新しい世代の人たちの中でFIRE( Financial Independence, Retire Early )という言葉が流行っているようですが、いきなりリタイヤしてしまうとその後に何をやっても飽きてしまうし、だからといってずっと働き続けるだけでは身体を壊したり自分の時間をどんどん他人に取られるだけ終わってしまいます。
上手くこれを実現するには、じっくりと時間を掛けて準備を進める必要があります。
若い頃から慣れておいたほうが良い
マネーポストWEBの「悠々自適は退屈と背中合わせ 「早期リタイア」の理想と現実」によると、「休む」ことに慣れていない人がいきなりリタイアしてもその生活にすぐ飽きてしまい、結局また忙しく働く生活に戻ってしまうケースも多いのだそうです。
今思い出すと49で引退した父も祖父もそんな感じのところがあったかもしれません。早めの引退を果たしたけど、ゆったり過ごすことには慣れていなかったので、平日には毎日ゴルフを入れて年間200日以上回るなどしたりして過ごしていたものの数年もすると普通の人の一生分プレイしたことにもなるので飽きてしまい、やることが無くなり適当な期間分だけ暇つぶしも兼ねて海外へ出たりとしていました。ところが仕事を引き受けて働くとなると、適当にやるわけにもいかないのでとつい現役の頃と同じようにやって疲れることもしばしばあったようです。
現役自体に忙しく働く中で、趣味をやったりと充実はしていたようですが、引退後どう過ごすかを具体的にはイメージしきれてはいなかったらしく、暇を持て余していたようなところがありました。日本人らしいと感じる一方で、同時に見ていて少しもったいない気もしました。
先程の記事中にも、試しに休みを取らせて遊ばせてみたら、今度は逆に遊び慣れていなくて疲れてしまうようなので、加減を調節して両方を上手く…ができる人は少ない印象です。たぶん何に関しても任されたからには必ず責任をもってこなすべし、せっかくやり始めたことならとことんやるべし、と教えられて育ってきたからという部分も大きいのかもしれませんね。
結局「働く」で忙しくなる道に戻ってしまう、でも引退したいと夢を見続けて…と手に入らないものを永遠に追い求めているような印象を受けます。
長い時間を掛けて自分のスタイルを確立する
セミリタイヤ生活がどのようなものか具体的なイメージがわかない人も多いようで、ときどきここでどのように過ごしているかを聞かれることがあります。暇のように見えて時間はわりとあっという間に過ぎてしまいます。
特に1~3月は移動が制限されていたこともあり、あまり頻繁に移動するといろいろ言われるかと思い極力移動回数を減らしていました。こちらでの時間の過ごし方もだいぶ慣れてきたし、何よりゆったり過ごせて快適なので、一週間続けて居続けてみたりと適度に色々やりながらです。
早朝温泉に入り昼間仕事をし、早めに切り上げて散歩をしてリフレッシュ。管理・運用・仲介をお願いしている会社さんからメールをもらい、いくら上がってきているかをチェック。空いている時間に海~中心部を散歩をして、新たに知りあった人たちと話をし、帰ってまたゆっくり温泉に入ります。
市内の公共の交通網が整っており待ち時間も短いので移動も便利ですし、必要なものは大体何でも一通り手に入ります。こういう状況下でも観光客はかなりいるし、高齢の人が多めですが住んでいる人の数も適度にあるので寂しくありません。それでいて排他的な雰囲気もないのが魅力です。しかも自然も豊かで山と海の両方の風景も楽しめる。ここに居ると生活はシンプルですが煩わしいことを忘れて過ごせます。
リタイアが退屈と隣り合わせなのは確かです。ですがじっくりと時間を掛けて給料以外の収入源を増やしつつ、その間に将来どこでどう過ごすかを決めて準備を進めておけば、目立つところを離れても適度に忙しく充実した時間を過ごして人生を楽しめます。