よくある働き手の勤め先年収ランキング。多いものもあれば少ないものもありますが、ずっとその額が支給され続けるわけではないので、現時点でいくら稼げているかを見比べてもあまり意味はありません。
長期で安定的にたくさん稼ぎたければ、自分独自の収入源を持ちそれを増やしていけば良いのです。
経済力ゼロ同士を見比べても…
勢いがあるものはその時々で変わるし、強いものが10年後にはガラッと入れ替わるといったことはよくあることなので、仕事を選ぶ際には今どこが強いかを基準にし過ぎないほうが良さそうです。一昔前まで隆盛を誇っていた銀行などの今のランクを見るとそう思います。
でも今は苦しいのはどこも大体同じかもしれません。東洋経済オンラインの「10年で「年収がガクンと減った」会社ランキング」などをみるとコロナ禍の影響もあって、特に資格学校やアパレル系が苦しいとありますが、その他も同じように苦しい様子です。ここには載っていませんが、新聞の大手だって部数を大きく減らしていますし、ネットに押されテレビ視聴も減っているので、メディア系も相当落ちているはずです。
ただ一方ではバブル崩壊後にずっと冷え込んでいた建設系が昨年くらいまで勢いがあったりと、希望がないとかいわれていたものがサイクルで復活することもあり、他には例えば電機⇒エンタメと全く別の業種で意外に大きく伸びたりもするので、下がっているからといって避け過ぎるのも良くないかもしれません。結局、不満があるのであれば頑張って後で他に移ればよいだけですから。
こうしたランキング表をあまり気にし過ぎなくてもよいもう一つの理由は終身雇用の崩壊です。一昔前のように最初に入った勤め先で最後まで勤め上げるような社会であれば、それぞれの収入を一生分で見比べると大差が付きますが、いまは40歳前後で突然放り出されるのもわりと普通です。
今でも時々「生涯賃金を見比べると…」という言い方が使われるときがあるようですが、それを見ても心配は要りません。高給をもらえるようになったかと思えば次の年にはゼロになることも。競争環境が大きく変わり余裕がなくなっているので、どこも生涯にわたって雇い続けてくれる気なんてありません。
給料の比較がほぼ無意味である理由は、さらにもう一つあります。それは経済力ゼロ同士を比べてもほぼ意味がないという点です。個人が持つ経済力の強さというのは、「どんな事態になっても、必要とするモノやサービスを手に入れられる力」を指すそうです。つまり、給料が多かろうが少なかろうが、給料が唯一の収入源である限りは「経済力はゼロ」ということになります。
給料は堅い収入源のように見えて、稼げるかどうかは環境や勤め先の都合次第の部分が大きくて、実は非常に不安定です。先程も触れたように多くもらえるようになったかと思えば、次の月(それが言いすぎなら次の年)からゼロになるなんてこともよくあることです。自分ではほとんど何もコントロールができないし、いつでも簡単に断たれてしまいます。「どんな事態になっても」かせげる力ではないので、給料としての年収がいくらであろうが経済力はゼロです。
プラスにカウントされる数字を積み上げよう
たとえば年収1,000万円というと高給という一つの指標のようなものになっていますが、それに対して、もし給料が年間100万円程度だったとしてもその他に年収200~300万円分くらいのもっと堅い収入源=社会情勢や景気の動向にあまり関係なく安定的に稼げるものがあれば、0対200~300ということで、数は小さくてもその人のほうが給料が高い人よりも経済力があるということになります。同じ年収1,000万円同士を比べたら圧倒的な差が付きます。
昨年~今年前半にかけて、その意味を実感した人も多かったのではないでしょうか。年末の報道番組の街頭インタビューで「勤め仕事一本という生き方がこれほど辛い不安定なものであるとは思わなかった」としみじみ語っていた人がいました。
簡単にゼロになるもの同士を見比べても意味はありません。もっと別の外からの影響を受けにくい自分独自の堅い収入源を増やす=確実にプラスになる数字を増やしていくことを意識していきましょう。