ひとはどこかの「家族」に生まれ落ち、育つ。その家族成員の誰かが障害をもっていたり、途中で障害をもつことがある。そして進学、就職などの機会を得てそこを離れ、他人と生活を築いていくかもしれない。
新たなパートナーが障害をもっていたり、途中でもったり、障害のある子どもが生まれてくることもあるだろう。
だれもが「障害者の家族」という立場になりうる可能性を有している。
そんな、家族らの意見をまとめてみました。
・指導員としての心がけ
私には障害のある弟がいるため、幼いころから将来の夢は障害のある人や、
そのご家族の力になる仕事をすることでした。
資格を取り、放課後デイサービスの指導員として様々な障害のある子どもたちと関わってきました。
子どもさんを預かっている間、ご家族にリフレッシュしてもらえ、まさに自分の夢が叶いました。
ただ子どもと遊ぶだけではなく、どんな声掛けがいいのか、この対応は間違っていないか等、毎日勉強でしたが、
子どもたちと共に、私自身も成長させていただきました。
声掛けで一番心掛けていたのは、大人都合にならないよう、話す前に一度考えてから声を掛けることです。
障害のある子どもも健常者と一緒で気持ちがあります。言葉として発信することが難しい子の場合は、
目線や動きから指導員が気持ちを汲み取ろうとする努力が必要です。
長く時間をかけ、一人一人とゆっくり関わっていくことで、少しずつ
「あ、この子は今これをしたくないのだろうか?」
と分かってきます。
子どもたちとの日々の変化や成長を発見すると、わが子のようにうれしく、
刺激を受けていました。
今は自分の子育てのために退社しました。指導員として働いていた日々が一番大変でしたが、
一番充実していました。
また落ち着いたら障害のある人にかかわる仕事がしたいです。
・物づくりを通じて喜び感じる
息子が4歳4か月の時に
「自閉症」
の診断を受けました。
外見的には健常者に見えるのですが、周囲との環境になじめず、
どこに行っても何をしても泣いてばかりで、オウム返しに言葉を発していました。
当時は地域の保育園に通い、週一回は療育の生活でした。印象に残っているのは、
保育園の先生たちが息子に目線を合わせるため、しゃがみこんで挨拶を交わしてくださったことです。
我が家では、IQ(知能指数)よりもSQ(社会的指数)の向上を心がけ、
息子には登山、キャンプ、ランニング、風船バレー、陶芸、切り絵など、たくさんの体験を積ませました。
中でも、切り絵は今も趣味の一つで部屋に飾ったり、コンクールに応募したりとチャレンジ精神は尽きません。
切り絵の作品を一人でも多くの方に見てもらうことが、彼の自信や喜びにつながっています。
それは、福祉作業所での仕事や日常生活においても同様です。
彼の笑顔が、我が家の太陽になっています。
障害のある子どもを育てる「親」、障害のある親に育てられた「子ども」、さらには「兄弟」や「配偶者」・・・障害者のそばには、
本人とともに暮らす家族の存在があります。
こうした家族は、さまざまな悩みや葛藤を抱くことが多いといわれています。「障害をどう受容すればいいのか分からない」「本人中心の生活で、自分は二の次」「差別や偏見を恐れて誰にも相談できない」…。
さらには、こうした辛さや大変さを一人で抱え込んだりすることも多く、抑うつ状態に陥ったり、自己肯定感を持てなくなったりするケースが少なくありません。
しかし、障害者本人の陰に隠れ、こうした家族の抱える問題が取り上げられることはほとんどありませんでした。そのため、社会の理解は進んでいるとはいえません。
障害者本人だけではなく、家族も孤立しないような状況を作っていくと同時に、支援制度や福祉サービスなどの必要な情報が届くようにしていくことが求められていますね。