2021年時点で暗号資産(仮想通貨)の数は減るどころか、未だに増え続けています。暗号資産は基本的に将来的な価値の上昇を期待して取引されていますが、それぞれの通貨が生み出された目的は異なるのが特徴です。Energi(エネルギ)は、数ある暗号資産のなかでも特殊な目的を持って作られた通貨であることを知っているでしょうか。この記事では、Energi(エネルギ)が生み出された目的や特徴、将来性などについて紹介していきます。
Energi(エネルギ)が目指す方向性と特徴って?
Energi(エネルギ)は2018年4月に運用が始まった「暗号資産(仮想通貨)が普及することを目的にして作られた」暗号資産です。一般的に暗号資産はブロックチェーン技術を利用して、各国の政策銀行が関与できない独立性が魅力のひとつとなっています。地政学リスクや各国の金融政策に左右されない安定性のある通貨として世界中に普及すれば、現在はまだそれほど価値の高い通貨でなくても大幅な価格上昇が期待できます。ビットコインなどの初期の暗号資産はそのような目的を持って作成されたものです。
しかし、ビットコインが誕生した2009年から10年以上が経過した現在においても、世界的で手軽な決済手段として普及したとはまだ言いづらい状況が続いています。そうした状況に目を付けたトミー・ワールド・パワーという人物が考案したのがEnergiです。暗号資産の普及率が9年後であっても0.5%にとどまっていると予測し、「10年後には1%にする」という目的を持って作成しました。
Energiの特徴は、暗号資産の作成には珍しいぐらいの大規模な財団が後押ししていることが挙げられます。暗号資産はさまざまな企業が取り組んでいますが、実際に普及にいたった例はあまりなく、なかには途中で開発資金が尽きて頓挫してしまうケースも珍しくありません。Energiは、DashやPIVXなどに比べて4倍もの資金力を誇るうえ、ICOによる資金調達も行っていないのが特徴です。つまり、資金力が潤沢であり、プロジェクトの途中で中止されるリスクの少ない暗号資産だといえます。
実際にあらかじめ定められていた計画は、2019年11月まで順調に進んでいます。当初の計画どおりEnergi3.0のバージョンアップも終了し、当初は40円程度しかなかった価格が270円程度(2019年11月時点)まで上昇しているのです。この理由としては、暗号資産としてビットコインに次ぐ規模の時価総額を誇るEthereum(イーサリアム)との互換性が向上したことが挙げられます。Energi3.0になったことで、Ethereum用のアプリとの取引が簡単になるスマートコントラクトプラットフォームとして利用可能になったからです。結果的に、ユーザーが決済手段としてEnergiを利用する機会が増加し、普及に向けて大きく一歩前進したといえます。
Energi(エネルギ)の懸念点と将来性について
Energiのプロジェクトは2019年末時点までは順調ですが、発行されたのは2018年4月であり、実績としては数年程度しかありません。財務状況は万全の体制を取ってはいるものの、時価総額ランキングで75位付近と、決して高いとはいえない状況が続いています。まだ通貨が発行されてからそれほど時間が経過しておらず、ユーザーの認知度が低いという点を考慮する必要はありますが、時価総額の低さは気になる点のひとつです。
また、利用できる取引所の数が少ない点も気を付けなければいけません。2019年時点で利用できる取引所は、「KuCoin」「QBTC」などの6カ所だけです。取引所の数が少ないということは、ユーザー数の増加にとって大きなデメリットだといえます。ただし、Energiは将来的に手数料無料で利用できる「Energi X」という自らの取引所を立ち上げることを目標にしており、プロジェクト通りに進めば比較的早期に解決するかもしれません。実際に、2020年の第二四半期にはEnergi Xの公開テストを予定していて、無事に稼働すればこれまで以上に使いやすくなり、一般ユーザーに普及する可能性も高くなるでしょう。
そのほかの気になるポイントは、安定した価格を実現するためのステーブルコインである「Energi Gold」と将来的に互換性を強化することが計画されている点です。この計画自体は素晴らしいのですが、金価格と連動性を保つためには、実際に担保として金を用意しておく必要があります。金価格は上昇傾向にあるため、財団のサポートを受けているとはいえ、実行する段階で資金が十分にあるかは不透明です。万が一、担保となる金が準備できなくて、出金停止のようなトラブルに見舞われたら、通貨価値が暴落する恐れもあります。
Energiの将来性は、「計画通りに進めばメジャーな暗号資産になる可能性がある」というレベルでしょう。現時点では計画通りに進んでいますし、財団のサポートも受けているので、多少のトラブルがあっても乗り越えられる可能性は高いです。Energi Xが無事に取引可能になれば利用しやすくなって、一気にメジャーな通貨になる可能性だってあります。ただし、まだ現時点では時価総額や知名度が低い状態が続いているうえ、すでに手数料無料の取引所であるBitmexが存在するのは懸念点だといえます。いかに知名度を上げてユーザーを取り込んでいくかが成功のカギになるでしょう。
Energi(エネルギ)は独自色の強い仮想通貨!大化けする可能性も!?
Energiは暗号資産の普及を目指して作られている点が特徴です。普及しやすいように、手数料無料で使える取引所の創設や価格の安定化のためにステーブルコインとの連動性を高めていく予定になっています。知名度や時価総額が低いという課題はありますが、裏を返せばユーザーの認知度が上がることで自然と解決される問題でもあります。大化けする可能性のある通貨なので、将来性に魅力を感じた人は取引してみてはいかがでしょうか。