一家の働き手の数を増やせば収入自体は増えますが、手残りはあまり増えず、外からの影響への耐性も上がりません。経済情勢などに左右されず安心して生きていきたいのであれば、労働以外の収入源を持たないといけません。
危機に弱いもの×2では不安が残る
一人だと常に不安定だけれど二人で働けば安心、といったアドバイスを信じきって他に何もしないままで居るのは、かなりキケンです。
社会情勢次第では、当然二人同時に給料を減らされるあるいは雇用を切られるといったケースもあるだろうと思っていたら、今回のコロナ禍でもやはりそういうことが起きているようです。
キャリネコニュースの「コロナで夫婦揃って収入減という都内30代女性「夏冬のボーナスが100%カット。金銭的に余裕がなく、離婚の危機に」」などによると、コロナ禍の影響で勤め先の財務状況が厳しくなり、毎月の給料とボーナスが大幅減となり百万円単位で収入が下がり、お金に余裕がなくなって以来何かと揉めることも増えて夫婦仲が悪くなった人も居るのだとか。 10年前のリーマンショック後にもよくあったことです。
当時自宅すぐ近くでも、おそらく40代くらいの夫婦がまだ築年数がそれほど経っていない家を引き払うところを見ました。片方の勤め先が倒産して職を失ったため、途中でローンを払えなくなったという話も聞いたりしました。
もともと一人分の生活費で二人が暮らしていて、その上で二人で働いて稼いでいたというのであれば、経済危機のあおりを受けてどちらかが仕事を失ったとしても、そのままの生活を続けていくことは出来ますが、なかなかそんな風に支出を抑えることは出来ません。多くの場合はパーキンソンの法則どおりに入ってきたお金をあてに生活レベルを引き上げてしまうので、じつは手残りもそれほど増えないし、どちらかが稼げなくなったら生活は立ち行かなくなってしまいます。
稼ぎ手が複数居ても危ういのには他にも理由があります。ここ最近急速に進められている機械の導入もそのひとつです。人間同士だけで勝負をしていればよかった時代には、職を失っても時間を掛ければ何とか他に移れる先が見つかっていましたが、年々それが難しくなってきています。
ものによって職種自体が消えつつあり、わざわざ高い人件費を払って生身の人間を雇わなくてもよいので、実際出されてしまった人たちの話によると、今居るところを出されてしまった後にはたとえ給料を半分以下に下げても希望する職には就けず、何かみつかったとしてもそれは全く別のもので、慣れない環境で安く働くしかないようです。
一見すると危機に強そうな給料×2人の構図も、このように意外と脆いようです。
危機に強いものを持ち増やせばよい
働き手が使い続けてもらえるかは、結局のところ環境や勤め先/雇い主の事情次第です。大抵これらは働き手がどうにかできるものでもないので、一家の働き手の数を増やしても、何かが起きて突然生活できなくなるリスク自体はほとんど下げることが出来ません。
ですが、外からの影響を受けにくい「働く」以外の収入源を持っている場合はちがいます。例えばエッセンシャルワーカーが住んでいる中古の不動産、実需の堅い事業をやっている企業の株式、あるいはそうした事業やモノを紹介するwebメディアなどを持っていれば、景気が良くても悪くてもある程度安定した稼ぎを得続けることが出来ます。大きく儲けるといったことはまず不可能ですが、その代わりこれらから上がる収益は、持ち主の雇用状況や健康状態などと連動していないので、特に今のように世の中全体が苦しい時には心強い味方になってくれます。
持っている数が十分に多ければ、仮に二人ともクビで給料がゼロの状態でもそのまま暮らせます。しかも現金とはちがって、上がってくる収益を使ったからといってそれらが消えて無くなることはありません。
無収入という危機が怖いのであれば、労働=もともと危機に弱いものを強化しても助からないので、あまり意味はありません。ですが危機に強い労働以外の収入源を増やしていくと、その不安を小さくすることが出来ます。