どこかに雇われて最後までしがみつき何とか生きていこうにも、寄生木自体が苦しくなり倒れかかれば、どんなに粘っても振り落とされます。今まではたまたま何とかそうして生きてこれた人が多かったのですが、もともとそう生きられるのが当たり前のことではないので、この先はずっと一つの勤め先に依存して生きていけるとは考えないほうが良いでしょう。
勤めへのしがみつきが難しくなる
BUSINESS INSIDER JAPANの「「会社は私たちに辞めてほしいのだな……」希望退職迫るリストラマニュアルの中身」によると、昨年の上場企業でのリストラ件数は一昨年の倍以上・人数にして約2万人弱の規模で、これは11年前のリーマンショック後とほぼ変わらない規模だそうです。
正規雇用の人は無理矢理辞めさせると問題になるため希望退職募集という形をとってはいても、実質ただのリストラです。人によっては無言で抵抗し続ければ居続けられるという人もいますが、あまり通用はしないと思っておいたほうがいいかもしれません。間近で色々見てきた経験から言うと、どんなに労働者の権利を盾に抵抗したところで結局は出されてしまいます。
名前に傷がつくことを何よりおそれているところでも、どうしてもやらなければならないと決まっていれば、人事はお抱えの弁護士集団に相談しながら大きく騒がれることがないように策を打ちながら着実に人員削減を進めていきます。移りたくない・辞めたくないといったところで、所属先自体を解体もしくは残したい人を先に別に移され自分だけが宙ぶらりんで残されて、移る先も与えられなかったらもうどうにもなりません。
変に抵抗して居続けるよりも、割増しでお金をくれるというならばそれをもらって再スタートを切るほうが、残り続けて嫌な思いをしつつ最後に割増しもなしで同じように捨てられるよりもまだいいかもしれません。
勤め仕事へのしがみつきが難しくなるもう一つの理由に、 働き方改革の一環として進められている「同一労働同一賃金」の普及があります。今年4月からは中小を含めたすべての勤め先で正規雇用と非正規雇用の間の待遇差を改めなくてはならなくなりました。
もともとこれは非正規雇用の人たちの待遇改善のために作られたものですが、待遇差をなくすために、正規雇用だけに与えられるもともと根拠が薄く仕事の成果とは無関係の手当などは徐々に削られていくことで「待遇差を改善」することも考えられます。現に日本郵政などではそうした正規雇用の手当削減などが進められいます。正規雇用の人にしてみれば災難ですが、非正規雇用の人にしてみればひとつ格差が是正されたことになります。
業務と業務量がずっと同じままであれば、給料が自動的に上がるなんてことは無くなります。責任や待遇にほとんど差が無くなれば、必要無くなったときに切られるもの同じになります。今の流れが続けば、そのうち正規であろうが非正規であろうが苦しいのは変わらない、となりそうです。
勤めへの依存度を下げておこう
全体的に見ると民間であっても公的なところであっても、どこも働き手を最後まで面倒を見る余裕は無いようです。学業を終えて働き始めて20年近くも経つとそのころにはコスパも悪くなり、どこに居ても切られやすくなります。切られて新たに働く機会を探そうにも40・50代になれば案件は非常に少なくなると聞きますし、世の中全体が苦しければさらにそれが減ります。
そのときに他に稼ぐ手段が無ければどうにもならないので、できれば働き始めてから早いうちに、給料の一部を先取りして毎月「貯金」(*あくまで一時的なもの)して、それがある程度の額に達したら何かお金を生んでくれるものに持ち替えて、上がってくるお金をさらに回してその数を増やし…を進めておいたほうが良さそうです。
人員整理のターゲットになっている40・50代の人たち(早ければ30代でも入ることはありますが)の多くは「頑張ってお勉強をすれば、いいお仕事に就いてそこそこ幸せになれる」と言い聞かされてきているので、今から軌道修正しろと言われても中々できないので少し酷ですが、それに続く世代の人たちは、勤めへの依存によるこの失敗を教訓として活かし、別のルート=収入源も確保しておくと良いでしょう。