つまるところ、老後不安というのは、結局「働く」「貯める」「取り崩す」という発想で居る限りは、どういった職に就いていようが、現金の塊をいくら持っていようが、逃れられない問題のようです。
老後にお金の心配をしたくないというのであれば、何でどれくらい働くか・いくらお金を貯めるかどうかよりも、生身の自分以外がいくらお金を稼いでくれるのかを意識しないといけません。
どの職でも不安が残るのは同じ
イメージ的にわりと堅いとされている地方公務員の場合は老後も安泰かというと意外とそうでもないらしく、幻冬舎ゴールドオンラインの「2000万円前後の退職金があっても…地方公務員の老後は悲惨?」によると、 定年時に2,000万円前後の退職金が支給されるので、計算上は一昨年6月に騒がれた「老後2,000万円問題」をこの退職金を受け取るだけで楽にクリアできているように見えるものの、これでもなんと老後の生活が立ち行かなくなる可能性があるそうです。
ただよく見ると…その理由は、老後ももしずっとゆとりある生活を送り続けたければ毎月の生活費が約35万円掛かるからとあります。ここでも何度か根拠が薄すぎるので気にする必要もないと触れてきた生命保険文化センターの「ゆとりある老後生活費は平均36.1万円」とやらに真面に取り合った場合は、というアレです。
「老後2,000万円問題」のほうは、まだ統計などをもとに老後の毎月の生活費不足分は約5.5万円と算出されているので、もう少し実態に近い数字が示されていると言えますが、「ゆとりある…」とやらは、少しぜいたくに暮らしたかったらこれくらい使いたいという希望額を示しただけなので、現実離れしていて大きくなるのも当たり前です。しかも本気であまりお金を気にせず生活をしたいのであれば、毎月35~36万円程度では足りません。
もしかしたら何か意外な盲点があって、堅いとされる公務員であっても老後は厳しいと言っているのかと思いきや、間違った前提条件に基づいての計算なのでガッカリですが、少しだけフォローをしておくと、自治体にもよりますが公表されている数字を見る限りでは地方公務員であれば高給というわけではないので、他の職業の人たちと同じようにいわゆる普通の生き方・お金の使い方をすれば、定年時の手残りもそれほど多くはならないでしょうから、雇用不安が無くても老後のお金について心配が残るのは同じとなります。
退職時に2,000万円ももらえるならば一応はそれだけでも現金の準備は済んでしまうので、現役時に貯めて残しておいたものがあればそれも合わせると、民間で勤めていた人よりは、将来取り崩せる額自体は大きくなりますが、「老後2,000万円問題」の前提条件である余命約30年以上に長生きしてしまえば、貯めていた金額だけでお金が足りるかどうか…と不安を感じることからは逃れられません。
そうならないために老後も働き続けて備えておこうにも、先程の記事中にもあるとおり民間と同じように定年後の再雇用では給料は大幅減となるとあり、60代で健康で居られるという保証も無いので、「働いて何とかする」は頼りないところがあります。
生身の自分以外の収入源があるかどうか
どのような職に就いていようが、いくら貯め込んでいようが、結局のところ働く・貯める、だけでは老後の安心を得ることは出来ません。
現金が持つ「使えば手元から消えて無くなる」という特性自体は誰にとっても変わるものではありません。消えて無くなるものは、いくら貯めておいても少しでも減れば不安になるし、無くなるのが怖くなれば使うこともできません。使えなければ人生を楽しむこともできません。
では体に鞭打って働き続ける・お金を貯め込む代わりに、お金を稼いでくれるもの自体を持つとどうなるでしょう。
お金が「減る」「無くなる」をあまり心配しなくて済むようになります。一度使えば消えて無くなるものに対し、例えば不動産や株式など定期的にお金を生んでくれるもの自体は、何度使ってもそれ自体が消えて無くなることは無いからです。病気になる、あるいは歳を取り徐々に身体の自由が聞かなくなってきたとしても、それらは代わりにお金を稼ぎ続けてくれます。
労働や貯金は老後の安心をくれません。しっかりと自分の代わりにお金を稼いでくれるもの自体を増やしていきましょう。