あまり自分が知りもしないことを無責任に勧めることは出来ないからなのか、予期せぬ危機への対応策としてしっかり現金の塊を作っておこうといったアドバイスをまたよく目にするようになりましたが、危機に備えるという意味においては「お金を貯める」はスタート地点にすぎず、目的地ではありません。
お金は貯めても使えば無くなるので、本当に安心を得たければ、稼ぎ続けるにしておく必要があります。
「貯める」は安心をくれない
徐々に落ち着きそうな兆しは見えているものの雇用へのコロナ禍による悪影響は少し遅れて効いてくるので、職を失う人たちが増えてきています。お金のプロたちは、そうした場合に備えてお金を貯めておこう・貯めたお金を取り崩せばそれで生活破綻を防げるとしきりにアドバイスしているようです。
しかも彼らによると現金の塊が大きければ大きいほど安心であるらしく、とにかくまずは1,000万円貯めよう的なものが一番多く目につきますが、なぜ1,000万円なのかというと、とりあえずはこの額まで到達できればその後も貯め続けられるからということのようです。
ひとつのやり方として、そういうのも在りかもしれません。でもこれには一つ大きな欠陥があります。
それは何かというと当たり前のことながら、「お金は一度しか使えない」という点です。必要とするモノやサービスを買ったら、手元から消えて無くなってしまいます。
消えて無くなってしまうものは、いくら積み上げても安心はできません。一昨年行われた意識調査などでも、仮にもし1億円以上持っていたとしてもまだ不安を感じるという人が約半数も居ると出ていたことから、「お金を貯める」は、危機への対応策・お金に関する安心を得る方法としては実は効果が薄いようです。
もちろん貯めたお金はそれなりに役に立ち、何かの危機を迎えて長ければ何年かをそれで何とかしのぐ策としては確かに機能します。ですが先程も触れたとおり使えば消えてしまうので、あまり時を置かず次に何か別の危機を迎えたらもうその時は助からないということになります。
人生において大きな危機は一度だけとでも決まっていれば良いのですが、残念ながら何度迎えるかはその人の運次第です。まだ若ければ、危機から立ち直ってまたゼロからお金を貯め直して次の危機に備えることもできますが、歳を取れば取るほど雇用は不安定になるので、「貯める⇒取り崩して何とかする」は繰り返せなくなっていきます。 「貯める⇒取り崩して何とかする」 考えで居る限りは、安心を得ることは出来ません。
稼ぐもの自体を持つ
でもお金を貯めることに意味がないのかというと、もちろんそんなことはありません。貯金は安心を得るためのスタート地点として必要なことです。目的地としてそこで終わらせてはならないというだけです。
お金についての不安がなかなか無くならないのは、お金が減る⇒無くなる⇒生きられない、という恐怖があるからです。積んでも減れば怖くなるので、いくら積んでもきりが無く、使って減るのが怖ければ、積むための苦労も全く意味がありません。
では貯め込む代わりに、お金を生んでくれるもの自体を持つとどうなるか。お金自体は使えば消えますが、お金を生んでくれるもの自体=例えば不動産や株式やwebメディアなどは、それらから上がってくるお金を使っても、それら自体が消えて無くなることはありません。繰り返し使うことが出来ます。
お金を生んでくれるもの自体を持てば、お金の塊を持っていなくても生きていくことが出来ます。 そうするにあたって難しいことは何もなく、単純に貯めたお金を、お金を生んでくれるものに持ち替えればよいだけです。
そう言うとほぼ必ず「給料が少ないとそんなことできるわけない!」と言う人がいますが、それこそ貯金だけを勧めているもので例えばAll Aboutマネーの「これならできる!「1000万円貯蓄」がある人の習慣4つ」などを見ても分かるとおり、お金を生んでくれるもの自体を買うための貯金をするにあたって、収入の多い少ないは関係ありません。とりあえずはまとまった額(1,000万円くらい)まで貯めると決めたら不必要なものにお金を使わないということを徹底できるかどうかだけです。
貯められたら次のステップ=お金を生んでくれるものに持ち替える、を実行するだけです。
貯めたお金はその場をしのぐために使ってしまったら二度と使えません。ですが、お金を生んでくれるもの自体は何度でも使えます。
減る・無くなるが怖いなら、自力でそれをただ積み上げるのではなく、供給し続けてくれるもの自体を増やしていきましょう。