経済的理由で学業を諦めたというのをみると心が痛みます。でも学業を修めないと幸せになれないなんてことはありません。「みんなそうしているから」に惑わされず、視野を広げれば他に幸せになれる道はあるので大丈夫です。
無理に子どもに借金を背負わせてはならない
奨学金というと借金・優秀な人にとってだけタダというイメージがあるのですが、 幻冬舎ゴールドオンラインの「哀れ、新卒社員の末路…2割が「奨学金返済義務」を知らず」によると、人によっては返済義務があることを知らないなんてこともあるそうです。
これによると、親の収入だけで子供を大学に行かせてやれる家庭は全世帯のうち約38%くらいしか無いらしく、多くの家庭では子ども自身が将来借金を背負う形で進学しているというのが実態のようです。
返済も大変らしく、最近よく困窮し返せなくなった人が続出といった報道を見たりもします。大学卒業後に子どもが背負う貸与型の奨学金の総額は300万円以上で毎月の返済額は平均すると1万7千円弱となり、完済までは14~15年も掛かるとあります。
借金を背負うことになっても無事学業を修められばその後が安泰というならばまだ良いのですが、卒業直後の初任給は月20万円前後のところが多く、いまは長く勤めれば給料が上がり続けるという感じでもありません。完済する30歳代でもやっと平均で月30万円くらいとあり、そこまででも上がってくれればまだ良いものの、ここでも何度か触れたとおり何歳になっても給料はほとんどずっと変わらずというケースも多いので、その中から毎月1万7千円近くを長期で捻出し続けるのは重荷のはずです。
卒業後の雇用自体についても以前とはちがい、ずっと雇い続けてくれる環境ではなくなっているので、途中で返しきれなくなる人もいて、完済できても結婚や資産の形成でも苦労を強いられたとあるので、子どものためにと思って借金をしてでもやれと強く勧めたものが、その子を逆に不幸せにしてしまっているようにも見えます。
まだ経済に大きな伸びしろがあって何も考えずともただ長時間一生懸命働けばよかったころとは違い、今は一部の先端分野を除いて人間の労働力を高く買ってくれるところは減ってきているので、働くだけでは経済的には幸せになりにくくなっています。
子どものためを思うならそういう現実を直視して、もう「一生懸命お勉強をして使いもしないようなことを少しでも多く脳みそに詰め込む」が通用しなくなったとそろそろ認め、別の道を示してやるほうがいいのかもしれません。
困窮して学業を諦めるケースが増えると国の将来にマイナスなので救済を、という声も聞かれますが、それについては一部の人も言うとおり簡単にすべてを救ってしまうと何でもがタダだと勘違いをしてしまい、ほしいものには対価の支払いが発生するという原則が学べなくなってしまう可能性もあります。それに今まで払ってきた人たちにとっても不公平になってしまいます。
お勉強パワーの劣化は子どもに教えてあげるべき
たとえ途中で学業をあきらめざる得なくなってもそれで終わりではないので大丈夫です。無理して変な深みにはまらず軌道修正ができたと思えばよいのです。
将来就きたい/就かせたい仕事と聞いて、どこかの都市で毎日オフィスに通ういわゆるデスクワーク系の格好いいとされる仕事を思い浮かべる人が多いようなのですが、世の中にはそれ以外にもいろいろな仕事があります。
格好よくて高給がもらえそうに見えるものでも、実は機械に取って替わられ始めていて、未来がなかったりします。まだ定年までずいぶん時間があり長く働き続けなければならないのに格好いい仕事が新技術の導入で突然無くなり放り出され大きなローンだけが残り途方に暮れている人を今まで周りでも多く見てきてました。
今の状況を見ると、一生懸命お勉強する必要があったものほど簡単に機械に置き換えられていて、いくつかの動作があって物理的に動き回らなければならないものや技術系のものなど置き換えるにはコストが掛かるもののほうが、頭脳労働とかよばれているものよりも長く必要としてもらえそうです。
就いた仕事で仮にもしずっと給料が上がらなかったとしても大丈夫。働く以外に目を向け、毎月もらう給料の一部を必ず先取りで貯めておき、それが一定額になったところで不動産や株式などお金を生んでくれるものに持ち替えて、そこから上がる収益も再度投資をしてさらにその数を増やす…をやれば、いいお給料とやらを得られなくても経済的に幸せにはなれます。
学歴やお勉強パワーを信じすぎたら待っているのは悲惨な未来だけと教えてあげるのも親の責任です。