最初から最後まで働くだけでそこそこ幸せに生きようとしてもそれは難しい、現役でいられる期間=「お勉強を頑張った」を使える期間も太陽光発電用パネルと同じ程度まで短くなる、と言ったとおりの状況になりつつあります。
苦しい人を見かけることが多くなっただけですから、当たってもうれしくありません。ですが、「だから言ったのに…」という思いはあります。
労働一本で生きるのが真っ当な生き方というイメージがあるようですが、労働一本はもろいので、他の道を持っておくことも重要です。
労働が安全なものであるというのは誤解
もし勤め上げて現役を終わりたいと思っていてもなかなか叶わなくなるだろうと見てはいましたが、思っていたよりも早くそうなってしまった印象もあります。
BUSINESS INSIDER JAPANの「「会社に残ってもあなたに仕事はない」と告げられた50代社員の証言。社員50人が退職を強いられた会社のいま」などを見ると、昨年秋には一旦事態が収束しかかったこともあり、起こるとウワサされていたリストラは起きないだろうと思っていたところに、突然退職奨励や解雇の通告を受けて職を失い、その後苦労している人が多いようです。
コロナ禍が起きたばかりの頃は非正規雇用の人たちが最初にその影響を受けて職を失ったことが報道され、正規雇用で働く人たちの中には何とかそれで済んでくれればと祈っているような雰囲気もありました。ですが雇う側としては、すでに切ると決めていて、直接の接触が制限されている間は色々通告を出しにくいということで一旦保留にしていただけだったようです。冬頃になると大量整理の報道が相次いだので、今回も何とかやり過ごせたからこの先も何とかなるかも…と安心していたところで通知を受け、ショックは大きかったでしょう。
今まで尽くしてきたのにと怒りを感じる人も当然いるでしょう。でも先程の記事によると、希望退職の勧めや整理の通告をどんなに拒んだとしても、結局は残りにくいようです。
希望退職の勧めがあるならまだマシかも知れません。割増しで手切れ金を出してくれるのであれば、あまり強くは抵抗せずに何ならもっともらえるよう交渉し、もらえるものがあるうちに泥船から脱出したほうが再起を図りやすいかもしれません。
残れたら幸せ、でもありません。それまでより少ない人数で業務を回さなければならないので仕事はキツくなり、仕事が増えるからと言ってすぐに給料が増えるわけでもありません。
出された後も本格的な再就職までに長ければ数年掛かると周りではよく聞いていましたが、それがわりと普通なのも分かりました。記事中にもあるとおり、雇う側も働き手を出すにあたってキャリアコンサルタントを付けるなどして支援をするそうなのですが、40・50代の求人案件は少ないので給料を半分以下に落としても見つからず、そのうちエージェントからの紹介案件も減っていき…と書かれていた通りの状況に本当になるようです。
長引けばもらった退職金もローンの支払いで消えてしまうので、そのうちそれも払いきれなくなり、高給をもらえる頃に買った格好いい住まいも引き払うことになります。引き払った後に残るのは、売ってもまだ消しきれなかった借金と贅沢を楽しめたという思い出だけ。
働いてきたという実績やそれまでの生活の思い出が、リストラされた後も何かを生み続けてくれれば良いのですが、そういったことはまず望めません。
労働一本で生きる、の問題点はそこにあります。再利用して半ば自動的にお金を稼ぐといったことが出来ないという点です。働いて頑張ることは良いことながら、それをどんなに多く積み上げてもそれらはふつう全て雇われ先のものになってしまいます。
それ以外にも、労働には大きなリスクも潜んでいます。働ける間は定期的な収入が得られるという意味において、わりと安全と見られたりしますが、「働く」を頑張り過ぎると病気になることもあるし、職種によっては大きなケガをすることもあります。そのための保険もありますが、身体を壊したらその後の収入は大きく落ちてしまいます。病気やケガ以外にも、誰かの失敗に巻き込まれて責任を負わされることもあります。労働は決して「投資や起業と比べて安全」ではありません。
雇われているだけの状態から抜け出すと
雇用環境が年々厳しくなる中、労働市場で生き残るためにはもっと自分を鍛え続けるべしといったアドバイスを目にすることがありますが、どんなに鍛えても雇う側の都合次第で放り出される可能性自体は消えないし、優秀でも景気次第では移る先が無いこともあり、結局いつでも無収入になるリスクにとりつかれ続けるので、根本的な解説策にはなりません。給料がゼロになり暮らせなくなるリスクに備えるのであれば、給料以外のお金を稼げるようにすることが重要です。
給料を得続けられるかは、常に環境や誰か他の人の都合次第ですが、それに対してたとえば投資をして得られる家賃や配当は、投資対象が人から必要とされるものであれば、外からの影響にあまり左右されずに得続けることが出来ます。
どこかに雇い続けてもらえる社会に出てからの20年程度を大事に使い、給料の一部を毎月必ず先取りで貯めて投資の種銭を作り、ある程度の額に達したらそれをお金を生んでくれるものに持ち替えます。投資先から上がる収益と毎月の貯金を合わせることで、さらに収入源自体の数を増やしていけば、労働への依存度は大きく下がります。
経済が低迷しているときに、一度失った働く機会を探し続けても、なかなか見つかりません。 弱った「働く」を「働く」でカバーするのはとても困難です。ですがそういう時に備えて、働く以外の収入源を持っておき労働への依存度を下げておけば、突然のクビにも慌てずに済みます。