ただ壁を高く厚くして守ろうとする。だから不安に駆られ続けるのです。
お金に関する心配を減らしたければ、使うたびに消えて無くなるものを積み上げ続けようと努力し続けるよりも、お金を稼いでくれるもの自体を増やすほうが効果的・効率的です。あまり意味のないことをやり続けても疲れるだけです。
守ってばかりでは不安になり疲れる
老後への備えが十分かどうか不安を感じるという人たちに対して、お金のプロたちのアドバイスはいつも大体決まって、頑張って働き続け、貯蓄を増やせ=壁を厚く高くして最後まで守れ、です。
マネーポストWEBの「老後破産リスクを回避せよ! 「お金の人生設計」を見直す方法」などにも、老後に備えるならば40・50代のうちからじぶんが何をどれだけ持っているかを把握して、少なければ節約して貯金額を増やし、老後もとにかく働いて貯えが減るのを可能な限り先延ばししろとあります。要するに、築いた壁の中に閉じこもり、それで最期まで何とかやり過ごせと。
気付いた壁が壊れもしない強固なものであれば、それで全然問題は無いのですが、残念ながら「働く」「貯め込む」だけでは、そこまで強固なものは築けません。
お金の壁は、ただのお金の塊にすぎません。使えばその都度消えて無くなるので、いくら積んでも安心を得ることが出来ません。
それでも働け・貯めろと言い続ける理由も分からなくはありません。全く未経験の人がいきなり起業や投資をしても成功する率が低いから勧るわけにもいかない、だから元手がほとんど掛からず手っ取り早くすぐやれるものを勧めるしかないというのもあるでしょう。
でも少しフォローもしておくと、毎月の給料の中から一部を先取りで避けておくことは有効で重要でもあります。給料はもらえて当たり前のものではありません。環境全体や勤める先の都合次第でいつでもゼロになり得ます。ですから、その一部をただ貯め込むだけでは意味が無くても、それを使って先へ行くための起点になります。ただの貯蓄は意味が無くても、元手が無ければ何もできないので、不必要な支出は避けて、将来必要なものを思い切って買うために、一時的に貯める必要はあります。
もうひとつの「働き続けろ」についても、不安定・不確実すぎるので当てにしすぎてはいけないとこれまでも触れてきましたが、それでも月額いくらくらいになるかは就ける仕事があるか・どんなものか次第ではありますが、少額でもひとつの収入源として少しは助けになってくれるかもしれません。
期待し過ぎないほうが良いのはなぜかと言うと、最近制定された「70歳定年法」なども実質あまり意味のないものになっているからです。働き続けられる環境が整いつつあるから働けとはいっても、雇う側は歳を取った労働者をずっと抱えておくつもりはないらしく、既に昨年くらいから将来の雇用負担を減らすために30代後半以上の人員を大量に整理し始めています。先程の記事中にも同じところに残り働き続ければ、年収が半減~それ以上に激減するがそれでもないよりはマシとありますが、それさえも期待しにくくなっています。歳を取っても仕事はあるようですが、現役の時と同じようなものはまず望めません。
稼げば減るのは怖くない
お金に関する不安が無くならないのは、ただ減る・無くなるのを待ち続けているからです。人生後半のステージでは守りが大事とか言われていますが、たしかにむやみに知らないものにまで手を出したりといったことはしないほうが良いものの、よく知られているお金を稼いでくれるものまで否定すべきではありません。
お金は使えば無くなるので怖いから使えなくなるのは分かります。でも必要なもの・コトには使わないと生きられません。ケチり過ぎれば人生もつまらないものになってしまいます。
生活を適度に楽しみつつあまり不安を感じずにいきるためには、単なる貯め込みではなく、無くなるものを供給し続けてくれるものをもつほうが安心できます。
例えばお金も代わりに不動産や株式など(webメディアは難しいかもしれないのでとりあえずはこの二つを)を持っている場合、それらは一度軌道に乗れば繰り返し定期的にお金を生んでくれます。一回使って無くなるようなことはなく、持ち主をずっと助けてくれます。継いだものに関して言えば、元持ち主がもうこの世に居なくてもいまだに助け続けてくれているくらいですから、持てばその強力さが分かります。
よく聞く「大きな出費が発生したら…」には、まずは保険などで備えることもできます。その上でこうした定期的にお金が入るものを持っていれば、後から対処はできます。現金の塊しか持っていない状態だと、大きな出費が発生する度に貯めた塊が小さくなっていくのを見ながら、さらに不安になっていくだけです。
ことお金に関しては、壁よりも武器のほうが安心をくれます。