コロナ禍がなかなか収束しないためローン破綻も増えてきている様子です。一人で返すのが大変だから二人で頑張って返すつもりというなら理解できますが、二人いるからと大丈夫だろうと安易に考えてさらに大きな借金を背負って苦しんでいる人も多いようです。
そんなに大きなリスクを背負ってまでして資金を調達したのであれば、それをお金を生んでくれる何かのためにでも使わないと、せっかく集めたお金があまりに勿体なさすぎるようにも見えるのですが…。
お金を生まないもののために大きな借金をしてしまうと
数的に共働きが主流になって以来、夫婦でローンを限度額までパンパンの状態で組むのが流行りのようです。
ファイナンシャルフィールドの「共働き夫婦が知っておきたい! 住宅ローンの「収入合算」と「ペアローン」」によると、この「夫婦で借金を背負う」には大きく分けると二種類あり、ひとつはメインの借り手が居てそれに連帯保証人兼収入を大きく見せるためのサポートが付く「収入合算」型、もうひとつは最近よく聞く夫婦両方が借り手となり平等の義務を負う「ペアローン」に分かれるそうですが、どちらにもメリット・デメリットがあるようなのですが、いずれにせよお互いを縛りリスクがあるのは同じです。
一人で借りられる限界額を一人で背負えば苦しいが、通常よりも速いスピードで返済したいから二人で頑張るというのであれば、共働きにも苦しむ期間やリスクを半減できるメリットがあります。本来はそういう目的で二人で頑張るはずだったとは思うのですが、売り手やお金の貸し手にはそんな事情や思いなど関係ありません。取れるだけ取ろうと動くだけです。二人でお勤めなら大丈夫とか、あなた方ご夫婦にはこういった住まいがふさわしいとか色々言って、少しでも長く絞れる方向にもっていきます。
今まで見た例からすると、借りるほうもそれができることが格好いいと勘違いをして、多少キツイ・やや無理かも…と感じながらも何とかなるだろうと自分に言い聞かせて話を進めてしまった人もかなりいるようです。
SPA!の「妻が雇い止めでローンが返済できない。6300万円のマンションを購入した40代の後悔」なんかにもそうした事例が出ていたりしますが、貸し手は借りれそうな人には必要以上に貸そうとするときもあるので、背負う必要が無いものを背負わないためにも強い意志を持って「これ以上は必要ない」と断らないといけません。
35年ローンとやらの完済は、もともといろいろ奇跡が重なることが前提となってしまっているので、無理をすべきではありません。
先日、ローンの完済時の平均年齢がなんと73にまで上昇したとの報道がありました。35年とは言うものの、実際には平均すると32~33年で返せているらしいのですが、それにしても長いことには変わりません。苦しいながらも今まではそれでも何とかなってはいたようです。
でもこの先はそうも行きません。「長期で同じところに勤められる」前提条件は、徐々に崩れてつつあります。少し前まで高給を得られていた職種に生身の人間があまり多くは必要なくなってきた等環境も変わってきていて、40年近くずっと安定的に働き続けられる社会ではなくなっています。早ければ30代で、40~50代なら突然放り出されるのも今では普通です。そのため、以前ここでも触れましたが、最近「生涯賃金」とかいう言葉も聞く機会が少なくなりました。雇用が不安定なのが当たり前なのに、「ずっと勤め続けられた場合は」の数字を出しても意味がありません。
勤め続けられたとしても、歳を取れば給料が下がるのも一般的です。60代でどこかで働き続けたとしても収入は大きく下がっているはずなので、返済も難しくなります。
人数が増えれば二馬力で有利かと思いきや、そうでもなさそうです。結婚観や家族観も変わってきていて、夫婦3組のうち1組は関係が上手く行かなくなるので、「二人が一緒に居続けることが前提」も徐々に崩れています。関係破綻後の売却処理も中々大変と聞きます。
何とか諸条件をクリアして完済できたとしても、その頃には73歳。そこまで時間が掛かってしまうとなると、返済でかなり力を使わされてしまうので、その間生きていくのが精一杯になり、手元にはあまりお金は残らないでしょう。「老後2,000万円」と金額を聞いただけで心配になる人が多いのも分かります。
稼ぐために借りると
ここまで35年ローンの危険性について触れてきましたが、べつに借金を全否定しているわけではありません。経済を回すためには「誰かがお金を借りる」が起点になっている部分があるので、お金を借りることは悪いことではありません。必要なことです。
ですがそれをお金を生んでくれる何かのために使わないと、単純に借り手が無駄な苦労を一生背負うだけで終わってしまうのであまりに勿体なさすぎると言っているだけです。
せっかく大きなリスクを背負ってお金を借りるなら、何か自分のためになること・ものに使うほうが有意義です。単純に何かを持つだけ・自分で使うためだけのためにお金を借りるのでは、その金が増えないし、生活も良くなりません。
借金を背負ったとしても、そのお金がさらにお金を生んでくれるのであれば、単純に働いて生きるよりもさらにお金に余裕を持つことが出来て、よりよい生活ができます。
お金を稼いでくれるものを持つためにお金を借りる場合、金利は少し高くなってしますが、それを活かして金利以上に稼ぐことはできます。
先程のSPA!の事例をベースに考えると、6,300万円を何か自分で使うもののためだけに使ってしまうと、毎年給料以外に手にできるお金はゼロのままです。ですが、同じ6,300万円を使ってお金を稼いでくれるものを持った場合、毎年1,000万円以上稼いで元金の返済と金利の支払いを差っ引いた後でも数百万円手元に残りそれを積み上げるといったこともできます。
自分で使って贅沢をするだけのためにお金を回すのは、借りたお金でまず先にもっと稼いでからでもいいのではないでしょうか?