老後にもし年金が唯一の収入源である場合、支給額が減るのを想像したら怖くなるというのは分かります。でも年金機構が発行するパンフレットには、年金だけで引退生活をしている人は全体の中で51%もいるとあることから、楽ではないのかもしれませんが、減ればその分切り詰めるなどして何とか暮らしてはいけるもののようです。
ただ、そうは言っても元から受給額がそれほど多くない場合は、もらえる額が減れば心細く感じてしまうはずです。お金のプロたちはそうした事態に備えて貯蓄を増やしておくようにとアドバイスしてたりしますが、お金の塊を持っていてもそれがだんだんと減っていくのを見れば心配になるのは、合計でいくら持っていても変わらないようです。ですから「取り崩せるお金を増やしておく」はそんなに有効ではありません。
老後の生活費の心配を少しでも無くしておきたいなら、収入源を持っておくことのほうがもっと重要で効果的です。
遺族年金に切り替わると受給額は少なくなる
幻冬舎ゴールドオンラインの「夫婦合わせて20万円だったが…夫亡き後の「年金額」に妻絶句」によると、65歳以上の高齢者夫婦で、元々サラリーマン×専業主婦の場合、夫の厚生年金&国民年金+妻の国民年金で月額平均で約20万円受給できるものが、夫の死後も妻がそのまま全額を受給できるものと勘違いしている人が多いそうです。
遺族年金に切り替わると受給額が月額5万円も減り、困窮してしまうかのせいもあることからお先真っ暗という人が多い、とあるのですが、総務省統計局が公表している統計などを見ると、高齢単身者の平均的な毎月の支出額は14~16万円くらいと載っていることから、月額15万円もあれば何とか生活はしていけそうにも見えます。
ですが記事中にもあるとおり、もっとさらに齢を取りもし健康状態が悪くなり国民健康保険を使っても上限とされる毎月5万円台の医療費が掛かってしまうような状況になれば足りなくなる可能性はあります。ただ、先程触れた統計にはそうしたケースも含めての平均として支出額とされているはずなので、もしかすると言われているほど毎月の不足額が大きくはならないかもしれません。
FPが書いたものではないので、お金が足りないなら足りないで「ではどうしろ」という提案が無いのですが、お金のプロたちであればたぶんこういうケースに備えてお決まりの「貯蓄を増やしておこう」とかアドバイスするでしょう。
医療に限らず何か大きな出費があったとしても現金の塊があればそれを取り崩し続けていくことで、何とか乗り越えられるというあれです。現役世代向けにも同じように、貯蓄をしておけば無職になってもしばらくそれで乗り切れる的に勧められたりしていますが、「貯める⇒取り崩す」は危機の乗り越え方としてはあまりいい方法ではありません。
現金は一度使えば手元から消えて無くなります。使えばそのとき助かってもお金があまり残っていない状態で次の危機を迎えたらどうにもなりません。
若ければ働いてお金を貯め直すという繰り返しも可能かもしれませんが、歳を取れば、働ける時間ももらえる額も少なくなるので、蓄えを作り直してまた次に備えるのはほぼ不可能です。だからこそ数千万円規模の大きな現金の塊を作って置こうということのようですが、消えて無くなるものはいくら積んでも安心は得られません。
例えば「老後2,000万円問題(年金だけでは足りないであろう生活費毎月約5万円×12か月×余命約30年)」のベースとなっている余命30年という前提条件が誰にでも「保証」されていればよいのですが、思わぬ長生きをしてしまう可能性もあります。そうなると2,000~3,000万円あっても足りなくなるかもしれないし、足りたとしても、歳を取りじぶんが弱っていく中で減っていく預金額を見ればどうしても不安になるはずです。
多くの場合、不安になる一番の要因は、年金と預金以外にほとんど頼るものが何もないことです。冒頭で引退生活をしている人の51%は年金だけで生活をしていると触れましたが、残り49%の人たちの多くはそのほかに収入源があるとはいってもそれは労働に頼っている部分が大きいようです。働いて何とかしていたとしても、歳を取れば取るほどキツくなるので、最終的にはほとんどの人は皆同じように頼れるものは年金と貯めた現金のみの状態になります。
お金が減る心配を減らしたいのであれば、より多くのお金を積もうと頑張るよりも、お金を生んでくれるもの自体を少しでも多く持つほうがもっと効果的です。
持ち主の状態や抱えている事情とは関係なくお金を稼いでくれる例えば不動産や株式などからは、入居者が付いている・事業が軌道に乗っている限り、お金は入り続けます。現金のように一度使ったら消えてしまうわけではありません。何度でも使えます。
長期にわたって持ち主を助けてくれるので、源泉=稼いでくれるもの自体を増やしていけば、減る/無くなるのは怖くありません。