ビットコインは暗号資産として最も注目を浴びており、2021年3月には600万円台を推移するようになっています。2020年下半期から急速な高騰を起こしてきていますが、今後も同じ動向が続くのでしょうか。近年のビットコイン高騰の背景を確認しつつ、これからの推移にどのような影響を及ぼすかを短期的・長期的視点で考えてみましょう。
ビットコインの2020年10月から2021年3月までの動向
まずは、ビットコインが2020年末から2021年3月にかけて値上がりを続けてきた背景を確認しておきましょう。同じような傾向が継続するならビットコインは値上がりを続けると期待されますが、大きく傾向が変化する可能性がある場合には暴落に転じる可能性もあるからです。
*ビットコインがゴールド類似の立場を獲得
ビットコインの値上がりが続いてきた背景として、最も大きいのは投資家が暗号資産の価値の認識を新たにしたことです。法定通貨とは違ってゴールドに近い性質の資産として捉えられるようになり、法定通貨の価値が低下する際のリスクヘッジとして暗号資産に交換するケースが増えてきています。暗号資産が流通し始めた当初は価格が不安定で、法定通貨との値動きの違いについても明確な傾向が見られていませんでした。しかし、世界的に投資家や企業が暗号資産に目を向けるようになり、バーチャルの世界にあるゴールドのような立場が確立されてきています。特にビットコインは流通量が多く、支持する投資家が多いことからリスクヘッジ先の資産として活用されるようになっています。
*コロナの影響拡大によるビットコイン高
ビットコイン高が起こっているのには、コロナの影響があることも考慮しなければなりません。新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、さらに感染力の高い変異体も登場して世の中を恐怖に陥れています。社会不安や経済活動の継続的な停滞の影響で通貨価値の低下の懸念が大きく、リスクヘッジとしてビットコインの購入が進みました。そのため、コロナの影響から解放されるまではビットコイン高が続くと考えられるでしょう。
*有名企業による購入が相次いだ
2020年後半から有名企業によるビットコインの購入が相次ぎ、関連するサービスの開始のコメントも出ています。テスラやマイクロストラテジーなどによるビットコインの購入が進み、価格の高騰を起こす引き金となりました。特にテスラは車の購入にビットコインを使えるシステムの導入を検討するという発表をして、大きなビットコイン高を引き起こしています。他にも、有名な決済サービスのPaypalが暗号資産に関連する決済サービスを開始する発表をするなど、有名企業がビットコインにただ関心を持つだけでなく、サービスの展開まで行うようになりました。このトレンドを見て今後に期待を抱き、ビットコインを買う投資家も増えたのです。
ビットコインは今後も上昇を継続するのか
ビットコインの近年の状況を踏まえると、今後も価値が上昇し続けると考えられるのでしょうか。重要な観点を2つ確認した上で、短期的・長期的な見通しを考えてみましょう。
#コロナの影響を排除できない
ビットコインの今後を考える上では、コロナの問題が終焉を迎えるかどうかが大きなポイントです。感染拡大の問題が収まり、企業活動が活発に進められるようになるとビットコインを保有している投資家が法定通貨に資産を切り替える可能性はゼロではありません。それまでの一時的なビットコイン高だと考えると、コロナ関連の動きからは目が離せないでしょう。
*他の暗号資産の人気も伸びている
ビットコインだけでなく、他の暗号資産も注目されている点には留意が必要です。例えば、VISAでは決済にステーブルコインを利用する計画を立てています。ビットコイン以外にも特徴のある暗号資産が次々に生まれ、運用実績も積み上げられてきています。そのため、ビットコイン以外の他の暗号資産に注目する企業が増える可能性も十分にあり得る状況になっています。
*ビットコインの短期的・長期的な見通し
ビットコインは法定通貨の価値の低下に対応するためのリスクヘッジの手段として選ばれた影響で、2020年後半から2021年3月にかけて価値が上がりました。この動きを受けて新たなビットコイン利用システムの導入も進められると考えられます。急騰を起こした直後ということで投資家の利益確定に伴う一時的な反発は受ける可能性がありますが、、短期的にはビットコインは上がるでしょう。ただ、長期的に見るとコロナの影響が薄れることや他の暗号資産への注目度が高まることが想定されます。そのため、長期的な視野で考えるとビットコインは現状と同程度の価格で推移するか、価値が低下する方向に動いていくことも考えられます。今後、ビットコイン関連サービスの充実が進むかどうかによって長期的な値動きは大きく左右されるでしょう。
ビットコインの今後の動きに注意しよう
ビットコインは2020年の終わりから2021年の初めにかけて高騰してきました。ビットコインに注目する投資家や企業が本格的にビットコインの活用を始めたのが背景にあるため、短期的にはビットコインの価値上昇が起こると考えられますが、コロナの動向や他の暗号資産の影響も加味して見極める必要があります。ビットコインの今後の動きは要チェックです。