報道などを見ていてもローンの支払いに行き詰ってしまった人が多くなったという印象を受けます。多少誇張も入っているでしょうが、それでも年末にかけて周りを歩いてみるだけでもまるで駆け込みで引越しをする人を例年以上に多く見かけました。ここ最近、収集所に出されるごみの量も明らかに減ったので、生活に困ってかあるいは生活コストを抑えるために東京を出た人はかなり多かった様子です。
リーマンショック後も同じような光景をよく目にしましたが、ずっと同じところに雇い続けてもらえるという前提で借金をして大きな買い物をするのは避けたほうが良いのかもしれません。
それがお金を稼ぐためだったのであれば少しは意味がありますが、自分で使うため・ただ持つためだけのためにそうするのはあまりに危険すぎます。
持つためだけに大きな借金を背負ってしまうと
もう11年近く経ちますますが、リーマンショック直後にも自宅近くで、普通の引っ越しシーズンではないためおそらくローンの支払いに行き詰ってか、現役世代の夫婦がまだ築年数の浅い家を引き払い、その後すぐ売出しの看板が設置されるのを見かけました。そこだけでなく周囲の然程古くない住宅も数件売りに出されたため、似たような事情を抱えていたのかもしれません。
そして去年・今年です。コロナ禍とは関係なく進められていた部分もあるようですが、規模が大きめの人員削減が進められて、自宅を手放さざる得なくなった人も周りで続出しました。年末の報道番組などで取材に応じていた人たちの負債規模は大きくても3,000万円くらいで、もちろんそだけでも十分大きい額ですが、彼らの場合はもっと湾岸エリアなどのハデなところに買ってしまったばかりに借金の額が大きすぎ、解雇時に支給された手切れ金を全て支払いに充てたとしてもなお数千万円規模の借金が残る=追われ続けるというので、手の打ちようがありません。
40代以上で出されれば、同じような高給で雇ってくれるところなどまず見つかりません。出された人たちのその後を見ると、「いい仕事」が二度と見つからないままか探し続けて数年経つのも珍しくはないようなので、支払い続けていくのは難しく、結局手放すことに彼ら自身も分かってはいるようです。今回の事態では国から金融機関には借り手に猶予を与えるように指示が出ているようですが、元々の支払いが大きく毎月の収入が激減すれば、多少軽減されても払いきれません。
NEWSポストセブンの「コロナ禍のマイホーム売却 年収700万円以上世帯でも大量出現か」などにも、来春以降には無理をして高額なローンを組んだファミリー層が泣く泣く自宅を手放すケースが増えるだろうとありますが、来期を待たなくてもそれはすでに始まっています。
それなのに記事によると世帯年収多めとはいっても1,000万円くらいのファミリーが賭けに出て、今の年収で審査が通るうちに駆け込みで無理に借金をして買おうとしている人たちもいるようです。 五輪を控えて景気が良かった頃までは勤め先にも余裕があり高給をくれていたので、毎月もらえて当たり前のものと思っていた人も多いようですが、今回のコロナ禍がそれは大きな勘違いと気付かせてくれたはずです。 周りを見渡せばいい教材がいくらでもあったのに、彼らの失敗から何も学べなかったのでしょうか。
それとも根拠は分かりませんが、じぶんは大丈夫とでも思いたいからなのでしょうか。そう思いたい気持ちは分かりますが、残念ながら誰でもいつでもクビになり得るので甘すぎます。
どうせお金を借りるなら
コロナ禍が起きる前から既に雇う人たちのトップは、働き手全てを一生雇い続けらることはできないし、定期的に給料を上げるのもムリと宣言しているので、給料はずっともらえて当たり前という前提で借金をして大きな買い物をするのはかなり危険です。
買ったものが苦しい時の助けにでもなってくれれば別ですが、最後に自分の手元に何も残らずただ支払いという重荷を背負うだけならば一体何のための出費なのか・誰にとって得になるのかを、買う前によく考えたほうがいいでしょう。
どうせ同じリスクを背負って大きなお金を借りるなら、ただ何かを消費するか持つためのためだけでなく、せめて何かお金を生んでくれるもの/ことに使うほうがもっと意味がありそうです。じぶんのための大きな買い物をするのはその後のほうが良いかもしれません。