労働市場での自分の市場価値を高めるという意味での自分磨きにお金を使いすぎないほうが良さそうです。磨いた分だけ必ず報われるのであれば、多額につぎ込んでも何も問題は無いのですが、残念ながらそうはなりません。
いくら鍛えても簡単に突然捨てられることもあるので、生身の自分磨きよりも、自分の代わりづくりに力を入れたほうがより効果的と言えるでしょう。
自分を鍛え続けたとしても
20~65歳の現役の期間を生き抜くにあたって綿密なキャリアプランとやらは果たして必要なのかは、働いて上を目指すもしくは少なくとも何とかそれで一生食いつないでいくことを勧めるキャリアコンサルタントたち自身も怪しいと見ているようです。どんなに鍛えてもクビになってしまう人が多い今の現状を知らないわけがなく、無理があると分かっている人もいたようです。
大手小町の「コロナで崩れた「自分の市場価値」と「キャリアプラン」の幻想」などにも、むやみやたらとスキルアップしようとするのは得策ではないとあります。向上心があることは素晴らしいことながら、不得手なことに時間を使うのはもったいないとあるとおり、やり過ぎるのは考えものです。
なぜなら雇用というのは自分の事情や状態だけでどうにかできるものではなく、雇ってくれる相手があるものなので、 前述の記事中にもあるとおり、 どんなに綿密にキャリアプランを組んで、それに沿って自分を鍛えていったとしても、多くの場合は予期せぬことが起こり計画が狂いそれ通りには進むことは少ないからです。
多くの時間とお金を努力を支払って不得手なことを克服あるいは身につけたとしても、それがもはや必要とされないことだってあります。使う機会が与えられなければ無駄になってしまいます。
頑張った分だけ報われる時代ならば、生身の自分を鍛えるは有効です。でもいまは残念ながら、生身の人間を高く買ってくれるところは少なくなりました。機械の進歩のスピードもすさまじいので、価値の下落は続くので生身の自分の強化にお金をつぎ込むのではなく自分の代わりを数多く持つべしと言い続けても、なかなか信じてもらえませんでしたが、40代以上になると簡単に人が捨てられる今の流れを見ると、だから言ったのにと言いたくなります…。
個々のスキルを見てみると、例えば英語などもそうです。身につければ意思疎通のスピードは速くなるものの、じぶんで出来れければスマホの自動翻訳/通訳を使えばよいだけのこと。商売の才能が有れば言語がダメでも、スマホ一つを片手に日本語も英語も通じない地に渡ってビジネスをすることだってできます。
このように、時が経つと役に立たないとまでは行かないものの、価値が落ちてしまうことがあります。業界によっては、常に変化に対応し続けて新たに学び続けなけれなならないので、ついて行くだけでも大変です。それでITの世界から引退した人のこともときおり聞きます。
現物のほうが頼れる時代
そうしたいつまでも苦しい状態から抜け出るにはどうしたら良いか。自分の代わりにお金を稼いでくれるものを増やせばよいのです。
科学が進歩し続けても、人が住むところは必要とされます。ですから不動産はまだしばらくは堅く家賃を稼ぎ続けてくれるでしょう。株式も、実需の堅いモノやサービス提供に関わる銘柄であれば、配当を稼ぎ続けてくれるでしょう。しかも直接経営をするわけではないので、持ち主自身は業界のことを広く浅くでも知っておけば事足ります。サイトも普遍的なジャンルを扱えば、安定的に広告料を稼げます。季節性がある=売上にばらつきが出そうであれば、落ちる季節をカバーできるものを他に組めばよいだけです。
投資家/実業家の山本一郎氏だったでしょうか、お勉強さえすれば食えるといったようなことは無くなったと知ることこそが知性とか言っていたような。新しいからといってすぐまた使えなくなってしまうかもしれないものや細かなものをおとにかく数多く無理矢理に自分に積めこむよりも、そういったもっと本質的なことを知ることのほうが、いまの生身の人間には大事なのかもしれません。