老後2,000万円が「発覚」して以来、 老後を生き抜くには自助努力が必要と認識できたのはよいものの、実際毎月いくらくらいの金額で準備をしておけばいいのかよいのか分からないという人も多いかと思います。
悩むのも当然と言えば当然です。使えばなくなる現金はいくら積み上げたとしても、「これだけあれば大丈夫」とはなかなか思えないからです。
ですが、老後は貯めたものを取り崩して何とかするものという思い込みを抜け出ることができれば、老後問題はそれほど怖くありません。
毎月約5.5万円ずつ貯めなければならない??
老後資金を準備するにあたってもっとも手っ取り早くてポピュラーな手法はまずはお金を貯める、次がファンドを買うといったところではないでしょうか。
どちらも何もせずにいるよりは遥かにマシですが、基本的に引退時までに現金の塊を作る⇒年金収入で足りない部分にそれを充てる(取り崩す)という前提です。
「老後2,000万円」も引退後の余命を約30年と想定して試算されたものなので、この考えでも計算上はほとんどの人は普通に暮らしていれば何とかこれで老後もやっていけるということにはなります。
消費動向の統計などを見るかぎりでは本当は500万円程度もあれば十分という論文もあるので、2,000万円も必要ないかもしれませんが、もしこの2,000万円をベースにして、しかも貯金だけで作るのであれば、毎月いくらくらい貯めればよいのかを算出するのは簡単です。
先程の「老後2,000万円問題」を逆回転させればよいだけで、30代から毎月約5.5万円を30年近く貯め続ければよいということになります。
投資は怖い・怪しい、からなのでしょうか。実際に自然とそう動いている人も多いようで、LIMOの「老後資金のために、みんながひと月に確保している金額はどのくらい?」などにも、すでに準備を進めているという人たちの中で、毎月充てている金額が5~10万円という人たちは約38%と最も多く、毎月1~3万円という人が約25~26%とあります。
順調に行けば、計算上はこのように一応老後を十分に乗り切れそうなのですが、それでもお金についての不安が消えないという人が多くいます。
それもそのはず。使えば消えて無くなってしまうものは、いくら積んでもなかなか安心を感じにくいからです。積んだものに頼ってしまうと、それが少しでも減ったら不安を感じてしまいます。すでに引退している人たちの話を聞くと、歳を取ったらもっと心細くなるので、その不安はさらに強くなるようです。それに90歳前後で寿命が来るかどうかも誰にも読めません。
減った分を働いて取り戻そうにも、歳を取り過ぎてからだが言うことを聞かないかもしれません。
毎月3万円でも大丈夫
そうした不安を減らすためには、「貯める⇒取り崩す」の一歩先へ行く必要があります。貯めては使うの繰り返しではなく、お金に働いてもらいお金を稼ぐという考えを持てば、お金が減る・無くなることへの不安は和らぎます。
しかも、「お金に働いてもらう」は、それほど大きな資金が無くても始めることができます。毎月先取り貯金で3万円を投資の種銭つくりに回すだけ。そこからでも十分に大きくしていくことができます。
まずはこの毎月3万円を6年貯め、状態の良い(*立地が全てではない)中古の戸建ての不動産に持ち替えます。買った不動産を賃貸に出して入居者が付けば、毎月3万円以上の家賃を得ることができます。
上がってくる家賃と毎月の貯金を合わせれば、次は最初の半分の3年程度でまた同じような不動産が買えます。そしてまた同じように賃貸に出せば、さらに家賃を稼げます。2件の家賃と毎月の貯金3万円を合わせれば、始めてから10~11年で3つめの不動産を買うことができます。
さらに数年掛ければ不動産の数=家賃収入をさらに増やすことができるので、ある程度の数になったところで今度は投資対象を現金に近い年利換算で3~5%の高配当が付く株式などに変えれば、流動性も確保しつつ配当収入を得られます。
全ての不動産からの上がりと継続している毎月3万円の貯金を合わせれば、毎年、毎月1万円分くらい(*6月・12月に集中しがち。複利が働くので実際はもう少しスピードも速く)の配当収入を積み上げていくことができるでしょう。
こうして20年くらいの期間でお金を稼いでくれるものを積み上げれば、家賃や配当などを合わせた副収入の額は毎月20万円くらいになっているはずで、現金という形ではないにしても資産額もかなりの額になっているでしょう。
毎月5.5万円も掛けていないのに、老後2,000万円を難なくクリアです。
何より重要なのは、これらがお金を稼ぎ続けてくれるという点です。リフォーム・リバランス・リニューアルなどに必要な経費を差し引いた後の残りをぜんぶ使ってしまったとしても、もちろん必要もない段階ではそんな勿体ないことをするべきではありませんが…、もしそうしたとしても収入源自体が無くなることはありません。現金の塊とはちがって、何度でも使えて、お金を稼いでくれます。
いくら積んでも安心を得られないのであれば、引退時までにいくら積み上げられるかはそれほど重要ではありません。「いくら稼ぎ続けられるか」にもっと目を向けましょう。