終の棲家探しは慎重に…。大事な資金を生活基盤自体にオールインしてしまうと、その後身動きが取れなくなってしまうことがあります。
住処(生活基盤)にすべてを掛けるのはキケン
少し前に有料の高齢者専用施設に入るといったことが流行りましたが、これ一本に掛けてしまうのはちょっと危険かもしれません。
現代ビジネスの「 貯金3000万円で「海辺のリゾート」に引っ越し、すべてを失った夫婦の悲劇 」によると、とある男性が高い頭金とランニングコストを払って海辺のリゾート地にある高齢者施設に入ったものの、わずか3年後で出るしかないような状況に陥り、結局払った頭金が戻って来ずほぼすべてを失いその後生活が行きづまってしまったとありますが、もしかしたら見たことがある施設かもしれません。
数年前に第2の拠点を探していたところ、一部屋が0~10万円くらいと極端に安い部屋がわりと多く検索で上がっていましたが、よく見るとそういった施設の一部屋だったりします。部屋自体の価格とは逆に管理費が毎月7~10万円近くと普通の物件と比べると極端に高いので、サービス料を含めての額のようで、しかもそれ以外にも別途費用が掛かるところもあったので、おそらく先程の例と同じような案件でしょう。
当時拠点探しを手伝ってくれた業者さんに興味本位でついでに案内してもらったところ、その時はまだ施設自体は稼働していたものの、運営者自体が度々変わったり、サービス内容が変更されたりと、高齢者施設とはいうものの、重病になれば出されてしまうこともあるので、実はそこでは死ねないとのことでした。決してわるい所ばかりではないとは思うのですが、高齢者福祉は儲けにくいので経営が行き詰まってそうなる傾向が強いのかもしれません。
久しぶりに売出中の案件を見てみるとまだ残っているので、0円でも買い手がつかないというのは言われていたとおりで、出て他で暮らすにしても、手放せるまではおぞらくランニングコストも掛かり続けるでしょうからどうにもなりません。高齢者施設ではないものの寒冷地リゾートの住処も持ってしまったらおそらく似たような悲劇が待っているのでしょう。
先程の記事中の男性の場合、最初に支払った頭金の3,000万円以外に掛かっていた月11万円のサービス料×2人分はおそらく年金収入でまかなっていたのでしょうから、退去後はそれを向けて何とか生活はできているのでしょうが、それにしても、他に収入源がない状況で現金の塊も失ってしまったのは大きな痛手です。
慣れた環境に住み続けて、必要な分のお金も稼げる方法はある
そんなことになるくらいなら、代わりに最初から3,000万円をお金を生んでくれるものに向けていれば、高齢でもし未経験のため多少失敗をしたとしても、年金以外の副収入を持つことで、余裕のある生活ができたかもしれません。
稼いだ副収入を使って、時々人に来てもらい身のまわりのことをしてもらうこともできたでしょう。ローンなしで所有している自宅ならば、災害に遇ったり等しなければ、住み慣れたところにずっと居続けられるし、変に贅沢をしていなければ、上がってきた副収入を少し使っていても、残りを積み上げて少しでも稼ぎを増やすといったこともできたはずです。
生活の場を変えずとも、人に迷惑を掛けずに慣れたところで自活し続けらる道はあるので、高齢になってから本拠を移すことに大きなお金を掛ける必要があるのかは慎重に検討したほうが良さそうです。
無理に環境を変えずに慣れた人たちと関わり続けるほうがストレスが少ないかもしれないし、元手も現金という形ではない別のものになっているかもしれませんが、少なくとも自分の手元には残ります。