よく「資産運用で老後資金を準備しよう」=お金の塊を作ろう系の記事を見ると、運用期間中の想定利回りは5%前後に設定されていることがあります。これについて、マネープラスの「資産運用でよく出てくる「年率5パーセントで運用」は実現可能なのか?」の考察によると、過去の市場の動きをベースに考えれば、年利5%はそれほど現実離れした数字ではないようです。
ですが、将来の値動きを予測することは簡単ではありません。運用成績を利回りで評価あるいは予測したいのであれば、最初から利回りで測れるものをベースにする必要があります。
値動きを頼りに想定利回りを設定するのはギャンブルとほぼ同じこと
先程触れた記事によると、過去10年間の市場の推移を見ると、その間にもし例えば日本株に投資をしていれば毎年平均で約7.3%のリターンを、先進国債権であれば毎年3.3%のリターンを得られたになるため、二つをさらに平均すれば5%になるため、資産運用期間中の利回りを5%として試算してもそれほど問題はないそうです。
ですが記事中にもあるとおり、景気拡大が続いた後にはほぼ必ず何らかの要因で経済危機が起きているので、運悪くその年に当たるとそれまでどこかに預けていた運用資産が一気に半減したりすることがあります。そうなるとそれまで順調に積んだ含み益も簡単に吹き飛びます。始めた時期が悪ければ、含み益が飛ぶだけではすまず、元本割れしてしまいます。
かと思えば、経済が回復すれば短期間で一気に戻るものもあるので、長期で運用していると毎年の利回りにはかなりのばらつきが出るので、こうした値動きをベースにした平均は頼りにならない部分があり、ややギャンブルに近いと言えます。
もとから利回りが出せるものをベースにすると
それに対して、最初から利回りで計算できるものをベースにすると、将来の運用成績の予測は信頼性が増します。
不動産から上がる家賃をベースに利回りを算出する場合は、今現在得ている賃料や今までの家賃の下落幅などをもとに、ある程度堅い将来の予測を立てることができます。どの部屋をどれくらい埋められるか・空室になった場合にそれを再稼働させられるかは、持ち主の力量次第のところはありますが、少なくとも、○○という好立地にある物件の転売による売却益が○○年頃にはいくら見込めそうか予測する+それをベースに平均利回りを算出するよりは、はるかに簡単です。
株式から上がる配当も同じようなもので、実需の堅い銘柄であれば、毎年どれくらいの配当が見込めるかは事前に発表もされていますし、事業の将来性などを見ればある程度は予測が立てられます。それに元々高配当が出る銘柄は事業が成熟していることもあり、株価の動き自体も緩慢なので、景気にモロに連動していたり新しい産業の銘柄が将来いくらくらいまで上がりそうかを予測する+それをもとに利回りを割り出す、よりは簡単です。
Webメディア関しても大体同じです。サイトの場合は元々アップデート次第で大きく影響を受けてしまうところがありますが、例えば数年以上の運営実績のあるものであれば、どの時期に多く需要があってどういったことが起きることで広告料を得られそうかはそれまでの成約実績からある程度パターンが見えてくるので、あるサイトもしくはドメイン自体を転売すると、将来いくらくらいのリターンが見込めそうかを予測するよりは、堅い予測が得られます。
年利5%と想定して、現金の塊を作ろうとするのは、先程の記事にあるとおり、たしかにそれほど無理な話ではないのかもしれません。ですが、値動きを予測するということは、何かの人気投票の結果を予測のとほぼ同じようなものです。
投資の運用益で食べていくために年利換算で見て、毎年どれくらいの上がりを見込めるか、ある程度現実的な予測を立てたいのであれば、将来どう動くか分からない値動きに頼るのではなく、最初から利回りで換算しやすいもの例えば毎月の家賃、半期ごと~期末ごとの配当、月ごとの成約実績×単価などをベースにして予測を立てたほうが安全です。