正規雇用で高収入×2の夫婦を指してパワーカップルとか呼ぶそうなのですが、「雇われている」にいくら数字を掛けたとしても、何かあればわりと簡単に吹き飛んでしまう弱さは変わらないので、「パワー」にはなり得ません。
選ばれし者と勘違いしてはならない
勤め先から貸し与えられているだけのものを自分のもの=パワーと勘違いするのはキケンです。
でも雇われた先からお金を多くもらうようになると、 プレジデントオンラインの「「世帯年収1500万からの大減収」住宅ローン“月57万”返済不能の大誤算」の例のように、 そう勘違いする人が多いような気がします。雇われるまでの競争を勝ち抜いたじぶんは選ばれし者とか思わせるのかもしれません。
調べてみると夫婦ともに給料が700万円以上ずつとなると、全世帯の中の1%くらいしかいないらしいので、そこまでの競争を勝ち残った少数派となると、たとえ雇われ仕事の対価だったとしても、じぶんは選ばれし者とか思いたくなる気持ちも分からなくはありません。
選ばれたのは事実です。でもあくまで使えるコマとして選ばれたにすぎず、雇われ先のビジネスはじぶんのものではありません。ビジネス自体も、雇われ先に捧げた頑張りも、他人のものです。
雇う側が苦しくなれば、もらえるものも少なくなりますし、必要無くなればいつでも切られます。もらえるお金も基本的には与えられた任務への対価なので、何かを自由に選ぶ・避ける・決めるといったこともほとんどできません。なのでそれをベースにじぶんの人生設計をすることは危険なのですが…
先程の記事中FPに相談を寄せた夫婦は38歳・36歳の高年収のサラリーマン夫婦で、世帯年収は合わせて1,500万円。コロナ禍の影響を受けて収入が4分の1ダウンし月24万円も減収とあります。よくやりがちなイメージどおりに6,000万円の住宅をローンで購入したため毎月17万円もの重い返済にも追われつつ、しかもこれまでパーキンソンの法則どおりにもらった分だけお金を使い果たしてきたらしいので、減収後の生活が苦しいようなのですが、給料を貰えて当たり前のお金=じぶんのものと見事に勘違いした結果と言えます。
それでもこの夫婦の場合は減収だけで済みまだ幸運だったかもしれません。30代だからなのか何とか減収で済んだようですが、先日も触れましたが、コロナ禍が続いて影響により、高収入だった人が一気に無収入になる、が至る所で起き始めています。周りでも年齢に関係なく突然解雇を通告され、一か月後に出されることになり、多額のローンを掛けて途方に暮れている人を多く見ます。資産運用を指南してくれと言われることもありますが、「元手は?」と聞くと、「ほとんどない」と答えるので、これから職を失うとなると融資も引けないので、それでは助けようがありません…。
早ければ30代で、40代・50代なら誰だっていつでも簡単にクビになり得るのに、なぜ「自分はずっと雇い続けてもらえる」と思えるのでしょうか。
クビになった後にローンが支払いきれず家を失い、しかも給料を半分以下に落としても再就職まで何年もかかる人が多くいるのをこれまで見聞きしているはずなのに、明日は我が身と危機感を持つどころか、 毎月ほとんど使い切っても次の月にほぼ当たり前のようにお金が入ってくると、その自信はどこから湧いてくるのか不思議です。
雇われ仕事ではなく、じぶんのためにお金を稼いでくれるものこそパワー?
他人のものである雇われ仕事に対して、じぶんのためだけにお金を稼いでくれる収入源、たとえば不動産や株式などはじぶんのもの=パワーと見て問題ないでしょう。
雇用のように誰かの都合で突然もう投資を止めろとか言われるようなことはまずないですし、一度軌道に乗れば、持ち主がどういう状態にあろうがそれとは関係なくお金を稼ぎ続けてくれます。
給料一本の状態で居るかぎり、もらう額が幾らであろうが、クビにより一発で無収入になる脆さは変わらないので、基盤は常に不安定です。
強固な基盤を持つにあたっては、まずは雇われ仕事はじぶんのものではないとしっかり認識することろから始めなければなりません。そのうえで、本当に自分のもの=じぶんのためにお金を稼いでくれる資産を増やし続けていき、夫婦どちらかが働かなくても良いくらい稼げるところまで到達出来れば、何か外からの影響を受けても簡単には吹き飛んだりしないので、その状態を「パワー」カップルと呼んでいいのか分かりませんが(どちらかがサラーマンだとまだ不安定?)、少なくとも、いつでも無収入になり得るサラリーマン×2人よりはるかに強固なのは確かです。