様々な暗号資産が日々登場していますが、中でも2017年の誕生以降高い注目を浴び続けているのがファイルコインです。スタンフォード大学をはじめ、有名投資ファンド・投資家もファイルコインに投資しており、価格も上昇しています。そんなファイルコインとはどんな特徴を持った暗号資産なのでしょうか。ここではファイルコインの特徴や将来性について解説します。
ファイルコインは分散型ストレージサービス
ファイルコイン(Filecoin)は分散型クラウドサービスです。スマートフォンやパソコンに保存しているデータが、本体のストレージに保存しきれなくなったとき、AWSやGCPなどのクラウドサービスを利用するでしょう。このようなクラウドサービスは管理者が一人でデータの管理を行うので中央集権型と言われます。中央集権型のクラウドサービスだと、管理者側にトラブルが発生した際に、データが消えたり、流出したりなどといった問題が起こることが考えられるでしょう。それに対してファイルコインは複数の管理者がストレージを提供して、データを分散させて管理する分散型クラウドサービスなので、万が一1人の管理者にトラブルが起こっても、他の管理者がデータを管理していることで問題なくサービスを運用し続けられます。また、ファイルコインではデータを分散させて管理していることから、万が一データが流出しても、何のデータなのか特定できないというメリットもあります。
・ファイルコインの仕組み
私たちはスマートフォンやパソコンなど様々な電子機器を日常生活で使用しています。しかし、そのうちの約50%は使われていない状態と言われています。そこで、みんなで空きストレージを共有してクラウドとして運用することで、使っていない空きストレージを活用するのがファイルコインの特徴です。仮想通貨では、複雑な計算を行って、暗号を解読することをマイニングとしたでしょう。ファイルコインのマイニングはこの方法とは異なり、「ストレージマイニング」と「リトリーブマイニング」の2つの方法があります。ストレージマイニングとは、自らのストレージを提供する方法、リトリーブマイニングとは、分散しているデータを集めて引き出せる状態にする方法のことを言います。
マイニングを行うことで、FILという独自のトークンを報酬として得ることができます。ただし、ストレージを差し出すだけでは、管理者が万が一データを無許可で削除するなどの心配が出てくるでしょう。そこでファイルコインでは、定期的にデータを保存していることを証明することで、安全性を確保しています。またファイルコインでは、FILを支払うことで、ストレージを利用できます。ちなみにストレージの価格は誰でも自由に設定することが可能です。現代のクラウドストレージサービスはAWSなどの大手が独占している状態となっています。そこで自由に価格を設定できるファイルコインによって価格競争を刺激、クラウドストレージサービスの料金の低下が期待されています。
・ファイルコインの開発目的
ファイルコインは元々、開発元のProcotol Labが開発した新たなプロトコル「IPFS」のために開発されました。私たちはインターネットを利用する際、URLを入力してサーバーにアクセスする「HTTP」というプロトコルを用いて情報通信を行っています。しかし、この方法だとサーバーが一つに集中しているので、常時管理者がサーバーを安定稼働させなければいけず、急激にアクセスが増えたときにサーバーが耐えられないなどのリスクが考えられます。
そこで新たなプロトコルIPFSでは、複数のサーバーで情報を管理することによって、万が一たくさんあるうちのサーバーの一つの調子が悪くてアクセスできなくなったとしても、他のサーバーから欲しい情報を手に入れられます。ただし、IPFSを実現するためにはたくさんのストレージが必要でしょう。そこでファイルコインを開発し、ストレージを提供してくれる人に対して報酬を支払うことで、IPFSを実現しようとしているのです。
・ファイルコインはどうやったら手に入る?
ファイルコインは開発当初は総資産1億ドル以上などの条件をクリアした一部の投資家しか手に入れられないものでした。しかし、2020年10月についに上場を果たし、現在ではBinanceなど海外の取引所で購入可能ですが、日本国内では2021年1月現在、まだ取り扱っていません。また、先ほど解説したとおり、自分のストレージを提供してマイニングを行う方法でもFILを手に入れることができます。
ファイルコインの将来性ってどうなの?
ファイルコインは年々価格が上昇していますが、暗号資産としての将来性はどうなのでしょうか。ファイルコインはたくさんのストレージを必要とするため、特に初期段階は高い報酬が設定されていました。そこからマイナーが増えるにつれて報酬が下がっていく仕組みとなっています。ファイルコインは2017年に開発が始まり、2020年上場という暗号資産の中でも新しいものなので、マイナーもそれほど多くありません。そのため、マイナーとして参入するなら早いに越したことはないでしょう。
また、ファイルコインの取引価格に関しては比較的緩やかに上昇している傾向があります。暗号資産の中でも価格変動は安定しており、余程のことがない限り暴落する気配もないので、長期の資産運用目的で投資するなら、ファイルコインへの投資を検討してみると良いでしょう。
ファイルコインが将来的に活用されるかどうかに期待!
ファイルコインはクラウドストレージサービスの独占状態や、アクセス集中によるサーバー落ちなど現代のインターネットにおける様々な課題を解決できる手段としても注目されています。現在価格は緩やかに上昇している状態ですが、今後さらに技術の需要が上がれば、それに伴った価格の上昇も期待できるでしょう。ただ、ファイルコインで用いられている技術が普及するには時間がかかりそうなので、今後の動向に注目です。