どうせお金を借りるなら、そのお金がじぶんのためになるように使えばよいものの、そうする人は多くいません。何かを自分のものにすることをゴールに定めてしまうと、借金はただ他の人を儲けさせるためだけの重荷にしかならず、勿体なさすぎます。
良い借金と悪い借金?
ロバート・キヨサキによると、借金には、お金にお金を生んでもらうための良い借金と重荷にしかならない悪い借金の二種類があるそうですが、この二つには金利差があるので、良い借金よりも悪い借金をする人が圧倒的に多く、不況になると苦しむ人が続出します。
高い給料をもらえるようになると、自分が選ばれし者・自分は絶対にクビになることはないと思ってしまうのか(?)、高めの給料で迎えられて入社から2~3年もすると、年齢も40歳前後で夫婦二人で働いている+住宅ローンは今は金利が1%も行かないこともあってか、二人で数千万~1億円くらいのローンを組んで新築のマンションを買って住み始める人を周りでよく見かけました。
同じ職場にずっと勤め続けられる保証でもあれば、それでも問題は無いのかもしれませんが、そんな保証が与えられることはまずありません。払った分に見合っているのかは常に厳しく見られ、ビジネスが苦しくなれば切られてしまいます。
先程触れた周りの人たちも、残念ながらコロナ禍が続いた影響もあってそうなってしまいました。まだ多額のローンが残っているにもかかわらずこの時期に解雇を通告されてしまい、退職金を全てローンの返済に充てても残債は数千万円規模になるというので、この先どうなるのかと途方に暮れていました。
マネープラスの「キャリア30年の銀行員が語る、コロナで住宅ローンが返せない人が取るべき唯一の道」によると、今回のコロナ禍の影響でローンの支払いができなくなった人たち救済のために金融機関には積極的に顧客の返済条件の見直しに応じるように通達があって、交渉をすればそれなりの期間引き延ばしたり月々の返済を少し軽くできるようです。ですが、もしそうした措置で借金の返済を引き延ばせたとしても、結局は住まいを失い借金が残るだけになってしまうのではないでしょうか…。
今の状況下でわざわざ40歳以上の人員を高い給料で積極的に採用しようとするところが多くあるとは思えません。実際彼らは出された後に再就職まで数年かかっていて、中には今でもまだ次が見つかっていない人もいます。しかも給料については前職の半分~3分の1程度に落としてやっと見つかったとのことですから、今でも当時のローン返済を続けられているとは思えません。おそらくリーマン後によく見た光景=築年数はそれほど経っていないのに突然引っ越して、その後すぐ売出の看板が立てられる、と同じようなことが今回も起きるのではないでしょうか。
買った当時は「いずれ資産になりますよ」とか言われたのかもしれません。立地も良いので資産価値は落ちませんよと言われていたのに、ローンの返済に苦しみ売却するときには安く買いたたかれます。しかも売っても残債が残るので、支払いからは解放されません。これではいったい何のために借金をしたのか分かりません。
同じ金額を、お金を生むものにつぎ込んでいたとしたら
借金をして大きな買い物をしても、多くの場合はこのように資産の形成にはほとんど寄与しないどころか破滅の原因にしかならなかったりします。ですが、もし同じ金額を何かお金を生んでくれるものに使っていたとしたら、どうなっていたでしょうか。
たとえば仮に5,000万円くらいを借りて、それを元手に利回り10%くらいの案件に投資をしていたとしたら(*今は審査が厳しいそうなので、利回りの高めの「古い」案件のためにお金を貸してくれるかどうかは分かりませんが)、計算上は毎年500万円の収入を得ることができるので、その大部分を返済に回し、残りを再投資するために取っておけば、十数年後には返済が終わり(*自宅用ではないので、そもそも十数年くらいしか借りれない)、まずはその収入源が完全に自分のものになり上がってくる収益のほとんどを再投資に回すことができるので、その後さらに収入を増やせます。
始めたのが仮にもし40歳前後であれば、その頃50代半ばでクビのリスクもマックスの状態です。その時に年収500万円稼いでくれるものが自分と共にいてくれたらかなり心強くないですか。
もしかしたら年収500万円だけでは子どもを大学に行かせたり生活費の全部をまかなうことは出来ないかもしれませんが、かなりの部分をカバーしてくれるのではないでしょうか。もし仕事をクビになって再就職の給料が安かったとしても、十分に暮らしていけるはずです。
お金を生んでくれるものを買うためにする良い借金は、前述の住宅ローンや車のローンと比べると金利は高いのですが、その代わりこのように何かがあった時に頼りになる存在になってくれます。
先に触れた住宅ローンについては、何とか最後まで同じ勤め先で勤め上げ借金を返済できたとしても、そのときの平均年齢は今ではなんと70歳を超えているそうです。 70歳までリスクを背負い、得たものは何も生んでくれず、資産になるといわれたものが安い価格でしか売れません。
同じ金額を、お金を生んでくれるものに回していたとしたら、同じ70歳時には、かなりの規模の収入源を作れているはずです。先程の試算では50代半ばでひとつ完全に自分のものとしているので、70歳時には少なくとももう一つ手に入れることができて、それをただ持つだけでなく「活用・運用する」ことで、合わせて年収1,000万円くらいになります。
どうせ同じ借金やリスクを背負うなら、ただ車や住まいを持ってじぶんが満足するためではなく、じぶんのためにお金を生んでくれるようにするために使ったほうが、はるかに得で将来の安心にもつながります。