老後2,000万円問題が騒がれて以降、投資を始めた人が増えたそうですが、投資のつもりで投機をしている人が多いように感じます。
投資で突然のクビや老後に備えるつもりならば、値動きでもうけてお金を稼ぐ=投機ではなく、利回りで定期的にいくら稼げるのかを基準に考えなければいけません。
投資のつもりが投機をしている?
ITmediaビジネスの「 投資をしている人が4割突破 反面、老後2000万円問題の功罪も 」によると、ここ5年間くらいで投資をする人の割合が急速に増え、ビジネスマンの中で投資をしている人が今では40.5%もいるそうです。
ですが具体的にどういったものへの投資が増えているかというと、ファンドへの積立という形が増えているそうなので、「投資」というよりも、どちらかというと昔でいう数パーセントの高い利子が付く定期預金をしているような感覚とほとんど同じようなものなのかもしれませんね。
記事によると株式に投資をしている人の数は多いながらも、投資対象全体の中での比率はじわじわと下がっていて、代わりにファンドに入れる人が増えているとありますから、「○○に出資をして定期的に〇%もらう」という本来の投資をしている人の割合は減っているようです。
投資信託の中には毎月分配型と呼ばれる運用成績とはあまり関係なく事前にある程度決められている額の分配金が元金から取り崩されてでも毎月支払われるタイプのものもありますが、今ある多くのファンドは「最後に解約・売却するときに、それまで積み立てていたものの価値が確定する」タイプのものが多く、定期的にいくらかを稼ぐというものとは異なるので、これを「投資」として見るべきものなのかもちょっと微妙な感じもします。安く買って高く売る、は確かにお金を儲けるための基本で、商売での鉄則でもありますが、投資での鉄則かというとちょっとちがうような…。
基本的には値動きで儲けることしかできない構造のため、思惑通りに行かず損をして終わる人も出て売るでしょう。例えば今回のコロナ禍で経済が痛んでしまっている状況下では含み損を抱えてしまうので、将来に備えるつもりが逆に「資産額が減少した」人もいるとあります。
投資でももちろん可能な限り原価を抑えて仕入れるに越したことはありませんが、「本来の投資」は長期で事前に決められた額/料率を稼ぎ続けるためにやるものなので、もし仕入れたときの原価が高くても、長く時間は掛かりますが、トータルで見ればちゃんと利益も出るので、それほど買ったものの値動き自体を毎日気にする必要がありません。
でもこれをやるには、先程の記事中にもあるとおり、ある程度のまとまった資金が必要とされるので、この本来の投資をする人は増えないようです。本来の投資をせず、結果どうなっているかというと、もし仮にこのファンドへの「投資」である程度の額のお金を例えば老後資金として準備できたとしても、結局お金に関する不安を消せずに居ます。
理由は簡単で、現金は一度使ったら手元から消えて無くなってしまうものだからからです。使えば消えて無くなってしまうものは、いくら積み上げても安心を得ることができません。
お金が減ることが怖くなって使うことができなくて、実質何も持っていないのと変わらないような状態の人もいます。使えないので、やりたいことはガマン。何だかもったいない人生です。
仮にもし老後に2,000万円必要だとしても、現金の塊が必要とは書かれていない
昨年6月に金融庁に提出された報告書にある「老後2,000万円」は、
「年金では生活費をまかなえない分の約4~5万円×12か月×余命約30年くらい」
として算出されたものですが、多くの人はこの金額を聞いて、あたかも「少なくとも2,000万円を現金の塊として持っておかないと老後を乗り切れない!」と誤解してしまい、「お金のプロ」たちもその考えに沿ってとにかくお金を貯めろと提言していたりします。
おそらくこれまで「お金に働いてもらいお金を稼いでもらう」という経験がないため、現金を貯める⇒出費に充てるの発想しか浮かばないのかもしれません。
ですが、老後準備に「現金で2,000万円必要」とは書かれていません。毎月4~5万円不足するであろうとあります。つまり、現金の塊を持っていなかったとしても、何かの方法で毎月4~5万円を稼げばよいだけです。
毎月4~5万円でいいのであれば、中古の戸建ての不動産を二つくらい持つあるいは高配当が付く株式であれは1,000万円分くらい買い付ければ、毎月平均でそれだけ稼げます。
しかもその上りを毎月生活費の不足分に充てて使ったとしても、家賃や配当を稼いでくれる不動産や株式は、現金のように消えて無くなるようなことはありません。何度でも使えます。
現金を作るために投資したファンドも結局は現金の塊と変わりません。解約して受け取った後に、使ってしまえば消えて無くなります。
2,000万円分貯められたから安心なのかといえばそうとも限りません。うっかり長生きしてしまえば足りなくなりますし、もし足りたとしても年老いてだんだんと減っていく現金の残額を見続けていれば、あと何年生きられるだろうと不安になるはずです。
せっかく安心を得るためには誰かの助けを期待するのではなく自分で備えなければならないと気づいて始めたのですから、将来お金に関する不安を感じなくて済むようにするためにも、「投機をしてお金を作る⇒それを取り崩す」ではなく、「長期でお金に働いてもらいお金を稼ぐ・お金を稼ぎ続けてくれるもの自体を増やす」を実行していきましょう。