独り身で「何かがあった時のための備え」としての手持ちが乏しい人は多いそうなのですが、お金を貯めたりそれを増やすにあたって、独り身だからといって不利だなんてことはありません。
むしろ二人以上で居るよりも意思決定が速い分だけ少し有利なはずなので、そうした「余裕」があるからこそ逆にゆるみやすく、ついついお金を多めに使ってしまい、手持ちが少ないという人が多いだけなのだと思います。
一人分なら何があっても働けば何とかなる!と思ってしまうかもしれませんが、現実はそう甘くありません。歳を取れば人はどうしても衰えるし、雇用に関してもこの先は歳を取れば取るほど不安定に…が当たり前となりつつあります。
せっかくじぶんを邪魔するものが何もないのですから、そのアドバンテージを活かして、早めに安全圏に行ってしまったほうがより人生を楽しめるかもしれません。
数字を見ると備えがないという人は確かに多く居るようで…
多いだろうなと思ったらやはりそのようで、Trillの「独身も老後に2000万円が必要?今こそ貯蓄ゼロから脱出を!」によると、独身世帯の実に38%が将来に備えた貯蓄がゼロの状態にあるそうです。これは50代も含めての数字なので、二人以上の世帯と比べるとかなり高い割合で存在しているようです。
単身者世帯の平均貯蓄額を見ると、645万円とあるので貯蓄額の平均も二人世帯に比べると少ないようにも見えます。
とはいえ、知るぽると(金融広報中央委員会)の調査サンプルには高所得の人も対象に入っているので、独り身だから収入自体の面で不利とかは無く、おそらくストッパーとなる存在がない分どうしても多めに使ってしまいがちなので、手残りが少なくなってしまうということなのかもしれません。
それに対して2人以上の世帯の場合は、世帯年収が同じ収入レベルであったとしても、家族のだれかが歳を取れば自分の年齢も意識せざるえないので、ついでに、歳を取る=老後への備えが必要ということを認識できる可能性が高いのかもしれません。
ですが一人であったとしても歳を取るのは同じこと。自分で何とかしなければ、誰かが無条件に助けてくれるなんてことはほぼ望めないのですから、誰でも歳を取るというあ当たり前のことは認識して、できれば早めに備えを始めることが大事です。
ただ貯めるだけでは意味がない
これらの数字だけを見ると何だか将来が心配になってしまうかもしれませんが、一人だとしても大丈夫。老後やクビによる無収入へのリスクに備える方法はあります。
単純にお金を貯めるだけでは将来の安心を得ることは出来ませんが、自分が持つお金にも働いてもらうという手段を持つことで、加齢やクビに備えることが可能になります。
よく家計のプロの人たちから推奨される「○○円貯めて備えましょう!」がなぜ備えにならないのか。答えは簡単です。現金は一度使ったら消えて無くなるからです。
例えば老後を待たずして40~50代くらいで仕事をクビになって無収入になった際に、貯蓄があればそれを取り崩して何年か持ちこたえることができるかもしれません。
ですが、その間たとえば年間300万円の生活費が掛かる人であれば、何年か無職でいる間に軽く1,000万円以上が吹っ飛ぶことになります。何年も無職なんてありえないと思うかもしれませんが、大幅な給料ダウンを受け入れたとしても「何年も仕事が見つからない」は現実に起きていることです。無職・無収入の期間が長くなるほど再起も難しくなるし、貯金が尽きれば身動きが取れません。
貯蓄を取り崩せば時間を買えますが、結局このようにその場しのぎにしかなりません。 再就職できたとしても、まずは次の同じような危機に備えてまた貯め直しからのスタートになります。
それに対して例えば同じ1,000万円を使って、高配当が付く銘柄だとしても株式では資金規模と利回りがまだ不足=月額平均で得られる配当が少ないので難しいですが、中古の戸建てなどの不動産をいくつか持っていれば月に十数万円の家賃が入ります。
例えば先程の年間300万円の生活費であれば、そのうち月15万円近くを副収入が埋めてくれれば残り10万円分を稼ぐための仕事ですむので、何とか見つけることはできるかと思います。これであれば、ずっとそのままのその状態であったとしても生きていくことは可能です。
現金だけであれば、こうはいきません。しかも消えて無くなるものは、いくらため込んでも安心を得ることができません。例えば、あるじゃん!の「一人暮らしの「老後の心配」は貯蓄の多さで変わる?」などに、その証拠が見られます。これによると、一人暮らしをして将来に備えるためにたとえ何千万円か貯めこめたとしてもまだ4割~半数近くの人が将来が心配と答えており、決して安心は得られないと出ています。
使えば無くなるものなので当然といえば当然です。歳を取ってからであれば、働いて何とかするのも難しくなっていくのでその不安はさらに大きくなります。減るのが怖くなれば、人生を楽しむのも難しくなります。ですから、単純にお金を貯めこむだけでも将来への備えとしては不十分と言えます。
まずは、じぶんもいつかは必ず歳を取ると認識すること。そして給料の一部を先取りで貯金をして、じぶんのために定期的にお金を生んでくれる資産を買うための種銭を作るうこと。種銭を作って投資を始めたら、「貯金」を続けて上がってくる収益も再投資に回すことで、トータルでの収入をさらに増やせます。
そうすることで、老後どころか現役でいる間の「クビで無収入」のリスクやダメージを減らすこともできますし、副収入を給料以上に大きくすれば、いつかは老後を待たずして引退することだって可能になります。そこまでたどり着くことができれば、独りであったとしても少なくとも金銭的には心配ありません。
生きていくためにはもちろんお金以外にもずっと付き合っていける友人など必要なものは他にもありますが、それでも人生を通しての悩みごとの中で大きなウェイトを占めるお金の部分だけでも心配事が無くなれば、気持ち的にはかなり楽になり前向きになれるはずです。