理想と現実の差は大きいもので、それはお金に関しても当てはまり、歳を取れば取るほど、理想の貯蓄額と実際の貯蓄額の差が大きくなるものなんだとか…。
でもその差をあまり気にする必要はありません。多く貯められたとしても、今度はそれを失うのが怖くなり使えなくなることもあるようで、「貯めこむ」では結局お金に関する心配は消えないからです。
なぜお金を貯めるのか?
大きな額のお金を貯める理由としては不測の事態への備えとしてお金をもっておきたいというのが大半かなと思い調べてみたところ、マネーポストの「 理想と現実の貯蓄額の差は60代で最も大きくなるという過酷な現実 」などを見てみるとやはりその傾向は強いようです。
年齢別に見れば、20~40代の人たちは子育てや教育あるいは自分の趣味のためだったり、中高年の場合はじぶんたちの老後のためにと、わりと目的がはっきりとしているものもありますが、全年齢層を含めた共通の傾向としては、不測の事態への備えとしてが5割近くと、何かがあった時には貯めたお金を取り崩して何とかするつもりでいることが分かります。
大半の人はこのように「貯める⇒取り崩す」で何とかなると思っているので、取り崩せるお金のプールが大きければ大きいほど安心と考えてしまうのも無理はありません。ですが記事によると、60代の理想の世帯貯蓄額は3,000万円と考えている一方で、実際の貯蓄額は平均で1,200万円と、昨年騒がれた「老後2,000万円」にも届かないし、差額もあまりに大きすぎるので、人生後半のステージでもうあまりお金を貯められない状況の中で、この先も生きていけるのだろうかと不安を感じてしまう人も多いかもしれません。
運用すれば、大きな現金の塊を持っていなくても大丈夫
ですが、手元に1,200万円もあればそれほど心配はありません。これを例えば中古の戸建てなどの不動産や高配当が付く銘柄の株式などに持ち替えて運用することで、定期的にお金を稼ぎ続けることができるからです。
若ければ全額を不動産に振り分けることで、毎月二十万円近くの家賃を稼ぐこともできますが、年齢を重ねるにつれて何かとお金が掛かることもあるかもしれないので、少しは現金近い株式にも振り分けないとならないため、家賃と配当を合わせて毎月十数万円くらい稼ぐのが現実的なラインかもしれません。
ですが、年金収入あるいはまだ年金が支給されない60~65歳であれば勤労収入に加えて、副収入として毎月十数万円が入ってくれば、かなり助かるはずです。
現金はこうした安心をくれません。一度使ったら、ただ消えて無くなるだけです。
ただお金を貯めてそれを取り崩す、つもりでいる人があまりに多い理由としてはおそらく、昔は現金を持っているだけでも、それにある程度の利子が付いていたからというのも一因かもしれません。
バブル期よりも前の何十年前のことにはなってしまいますが、ただ定期預金としてお金を預けているだけで、毎年5%以上もの金利が付いた時代もあったようなので、働く⇒お金を貯める⇒取り崩す、で何とかなるという考えは、その頃の名残なのでしょう。
でもいまは預金にはほとんど利子は付かないので、現金をそのまま多く持ち続けるメリットはそれほど大きくありません。 昔のようにそれ自体が何かを生んでくれるという時代ではないからです。
「Cash is king」という言葉は今でもある意味そのとおりの部分はありますが、現金が力を発揮してくれるのはたった一回だけです。
お金よりも、収入源自体を増やしていこう
なぜお金(現金)が救世主となってくれないのか、もう一つの例で説明すると、
例えばですが、ある毎年の生活費が約400万円掛かる30代後半~40代の人が、仕事をクビになって退職金として約2,000万円くらいを積まれて急に勤め先を出されてしまったとします。
その人が生きていくには毎年400万円掛かりますが、2,000万円をもらえたので、失業保険が切れてからも5年くらいは何とかそれだけで生きていくことができます。生活水準を下げられれば、年数を延ばすこともできます。
ですが、仮に再就職までに3年くらい掛かったとしたら、それまでに掛かった生活費分だけ貯蓄は減ります。3年だと1,000万円くらい飛んでしまいます。
長くても数年で何とか最就職先を見つけているようですが、 失業期間が長ければ長くなるほど再就職は難しくなる傾向にはあるので、結局何年経っても再就職できないままというのもめずらしくはありません。そうなるともらった2,000万円は、全部消えてしまいます。
そのあとに何とか再就職できたとしても、まずは次の危機たとえばリーマン級の経済危機あるいは今回起きたコロナ禍の影響による失業のリスクに備えて、お金を貯め直すところからの再スタートとなります。
まだ若ければ何とかこれを繰り返して生きていくこともできますが、歳を取れば取るほど再出発はキツくなります。
それに対して、もしこの手切れ金2,000万円を現金ではなく不動産や株式などべつのものとして持ち続けていたらどうなっていたでしょう。
元手は2,000万円もあれば、毎月の家賃収入や配当収入を合わせて、少なくとも20万円近くは稼げます。もともとの毎月の生活費は400÷12か月ですが、その大半をカバーできているため、仮にもし希望する再就職先がぜんぜん見つからなかったとしても、もうアルバイトで生活していくことが可能です。
入ってくる家賃や配当を生活費に充てたとしても、持っている不動産や株式は消えて無くなりません。現金とは違って価値は上がったり下がったりしますが、買ったモノ自体はずっと持ち主と共に在り続けてくれます。
なかなか再就職先が見つからないままで、さらに数年後に次の経済危機などが来てしまったとしても、もうあまり大きな影響は受けません。景気が悪すぎて、もう一度希望する仕事に就くということはもしかしたらもう完全にあきらめなければならないかもしれませんが、収入面については、実需の堅い銘柄や物件からの家賃や配当の上がりを得続けることが出来るので、相変わらずバイト仕事でも生活していくことはできます。
繰り返しますが、現金として持ち続けていたならば、こうはいきません。ただ全部を使い切って失い、数年経ったら生活基盤を維持することもできないし、再起を図るのも難しくなっていたでしょう。
消えて無くなるものをいくら多く積み上げるても、安心を得ることは出来ません。お金を稼いでくれるもの自体を増やしていけば、たとえ手持ちの現金がほぼゼロで生身の自分自身の稼ぎが落ちたとしても、必要な分のお金が入り続けるので、安心して生きていくことができます。