不測の事態への備えとして、とにかくお金を貯めこむというのも一つのやり方かもしれません。でも現金は一度しか使えません。使えば手元から無くなります。消えて無くなるものは、いくらため込んでも安心を得ることは出来ません。
仮に一億円以上貯められたとしても、今度はそれが減るのが怖くなり、使うことができなくなります。そうなると、結局は何も持っていない状態とあまり変わりはなく、人生を楽しむこともできません。
お金に関する不安を減らしたいのであれば、ただお金を貯めこむだけではあまり意味がないので、お金を稼げる収入源自体を増やすしかありません。
貯め込むだけでは意味がない
単純に節約をしてお金を貯めこもうとするだけではなぜダメなのか、 あるじゃん(All Aboutマネー)の「節約が没落のもとに?「稼ぎ力」をつけたい理由」によると 、「守りに入ると発想が貧困化し、ますます収入減少になるから」= 楽な方法で手っ取り早く済まることに慣れてしまうと、それ以上考え無くなり何の発展もないからとあります。
お金に関しては、その通りかもしれません。
ここでもいつも、まずは「収入-支出」の差額を広げて、その差額を積み上げたものを使って資産(お金を生んでくれるもの)を買おうと提言していますが、たしかに収入を増やすほうが大変で、支出を削るほうがまだ簡単です。なのでまず調整するとなると支出のほうからになりがちです。
先程の記事によると、この「支出をケズる」という部分が発想の貧困化を招くとありますが、でもだからといって、これどおりにピンチにあるときでも全ての支出を手つかずのまま放っておくのは賢明ではありません。不必要なものにお金を使わないのは、個人単位だけでなくビジネスでも普通のことです。
苦しくてもお金を稼ぐために必要なものであればそれにお金は使いつづけるべきで、もっと稼げる見込みが堅ければむしろもっとそれにお金をつぎ込む、お金を生んでくれない支出については削るという形で、単にケチになるのではなく、お金の使い方にメリハリをつけるべきです。
収入と支出のどちらかだけをいじるのではなく、収入を増やしつつ不必要な支出を減らすと両方やれば、「収入-支出」の差額を最大化ができて、より多くのお金を投資に回せます。
ただ単にお金を貯め込むだけではダメなもう一つの理由は、先程の記事中では特に触れられてはいませんでしたが、現金はお金を生んでくれないからという点にあります。
正確には預金としてどこかに預けていれば0.000…%とごくわずかな金利が付きますが、実質ほぼ何も付かないようなものです。今の金利では利子収入だけで生活するのはほぼ不可能と言ってよいでしょう。
加えて冒頭でも触れましたが、現金は一度しか使えません。先程も記事中にもありますが、お金は悩みや問題の多くを解決してくれますが、解決してくれるのは一度きり。使ったら消えて無くなるので、つぎにまた何か別の問題が起きた際には、手元にお金がなければそれへの対処は難しくなります。
人生において危機が訪れるのは一回だけとか決まっていれば貯金だけでも何とか切り抜けられるかもしれませんが 、残念ながら何時/何回来るかは分かりません。
過去の記録から経済について何とか超大雑把に予測できる範囲で言えば、例えば大きな経済危機は10年くらいの周期で起きていたりしますが、そうした経済危機が起きるたびに雇用に影響が出る=働く人の多くが無収入になるリスクに直面します。
もし毎回それらに対して準備していた貯金をして何とか乗り越えるという感じの人生だったとしたら、お金を貯める⇒取り崩すという同じ苦労を約10年ごとに繰り返すだけで終わってしまいます。
若い頃はまだそれでも何とかなるかもしれませんが、歳を取ったらたぶんキツくなるはずです。一般的には歳を重ねるごとに再就職も難しくなるので、同じ苦労を繰り返すことさえできなくなる=生きられない可能性だってあります。
何度でも使えるものを持つ
そうした苦労で一生を終わらせないためにも、将来の危機に備えるというのであれば、お金にも働いてもらって、一度だけでなく定期的に何度でも繰り返してお金を稼げるようにしておくと良さそうです。
例えば不動産や株式などは、定期的に事前に決められている額/料率の家賃や配当などを稼いでくれます。お金が入ってくるのは一度だけではありません。誰かが住んでいてくれるかぎり、あるいは投資先が稼いでくれるかぎりは、収入が入り続けます。いくら稼げるかは大体事前に取り決め/発表があるものなので、爆発的に儲けるといったことは出来ませんが、使って消えて無くなることはありません。
それに、雇われ仕事とはちがって、基本的に誰かから突然やめろと言われて収入が止まるようなこともありません。いつ始めるか/止めるかは自分自身で決めることができます。
クビや老後が怖いし、誰も助けてくれるわけではないので、とにかくお金を貯めこまないと…と心配になる気持ちは分かります。じぶんで何とかしようという心掛け自体も立派で重要なことです。
でもただお金を貯めこむまでに留まってしまうと、やりたいことをやれずに人生が終わってしまうかもしれません。
お金にも働いてもらうという発想を持ち、繰り返しお金を生んでくれるものを積み上げていけば、お金を使う(失う?)ことも怖くなくなります。
一度きりの人生ですから、色々適度に楽しんでおきたいですよね。