人手不足だからということで、老後不安がどうのといっても働き口はあるから大丈夫!と考えてしまう人もいるようなのですが、少し甘いかもしれません。働き口はあるにはあるけど、現役時と同じようお金がもらえるわけではないからです。
求人案件に目と通すと、高齢でも可というものには清掃、警備、保守、接客などアルバイト的なものが多かったりするので、マネープランを組む際に「ずっと働く」一本をあてにするのは危険です。
働き口はあるにはあるけど
老後資金が準備できなくても生涯現役で働く覚悟があれば大丈夫!という考えも、ある意味間違いではありません。というのも、老後不安については昨年「2,000万円問題」として騒がれましたが、5~6年前に消費動向の実態調査をもとに行われた別の研究では、本当に足りない老後資金は月1万円強くらいでしかないと出ています。
また、ビジネス+ITの「今後起きる「シニア争奪戦」、企業側の勝負は「これから2~3年」だ」( https://www.sbbit.jp/article/cont1/42985 )にも、人手不足により高齢者の求人案件は十分に有るのでそれほど心配はないとありますが、果たしてそんなに簡単に行くものでしょうか…。
これらを見るかぎりでは、確かに働けば何とかなると言えなくもありません。それに実際に70歳代と思われる人たちが早朝働きに出ているところを見ると、年金収入で生活費をまかなえない部分は、週4~5日くらいのバイトをすれば何とかなるようです。ただ、彼らは何とかそれで生きていけるという状態で、少し貯えを残したりというのは難しいようなので、働けなくなった後にはどうなるのか分かりません。
確かに昨年70歳定年法が可決されたり、働き手が高齢に達しても働き続けられるように法整備自体は進んでいるのですが、雇う側の人たちはその動きとは真逆に、同じく昨年半ばくらいから大手はすでに将来の高齢者雇用の義務化を見越して40代以上の人員を大量に整理して将来の負担軽減を図るという形で先手を打っています。
先程の記事中には、高齢者を雇用し続ける「義務」を果たさない企業はこれからは選ばれなくなるとありますが、雇う側はあまり気にもしないでしょう。高齢に達しても現役時とあまり変わらない条件で雇い続けてもらえそうな仕事は、普通の人が簡単には身につけられないような特殊技能を持つ技術系の人だけじゃないでしょうか。
技術職の人(すべてではないかもしれませんが)であれば、高齢でも若い世代の人たちの中で十分にやれるので同じ職場で活躍し続けられる可能性は高そうですが、デスクワークの場合は、幻冬舎ゴールドオンラインの「「みんな迷惑してるぞ…」定年延長、再雇用は誰も得しない?」などにもあるとおり、同じ職場で働き続けようとしても、あまりいいことはなさそうです。
いわゆる普通のデスクワークであれば、若い人にある程度の期間教え込むことで、大体何とかなります。どうしても慣れた人でなければという仕事はそう多くありません。
「生涯賃金」とかいう言葉もあてにならない
歳を取ると収入が減る可能性があるという部分についてはあまり考えてこなかったのか、~70歳くらいまで返済期間があるようなローンを組んでしまって、老後を待たずして既に苦しんでいる50代くらいの人たちも出始めているようです。どういう前提で返済計画を組んでいるのか分かりませんが、定年近くまでそこそこ高い給料のはず、という前提で組んでいるのではないでしょうか。
50代になれば役職定年で給料が大きく落ちますし、それどころかすでに40代で整理の対象になったりするのですから、60・70代になったらどうのどころではありませんね…。
「人手不足」を過信しすぎるのは良くありません。労働人口はたしかに減っていて求人案件もあるにはありますが、本当に人が足りないところは超高度な技能を必要とする分野や、あるいはそれとは真逆にいわゆるキツい仕事でなかなか人を集められないから、という案件だったりします。加えて、機械も「普通の仕事」を奪い始めているので、働く意欲さえあれば大丈夫と考えるのは安易すぎるかもしれません。
もしかしたら働けなくなるかもという想定の下、働く以外の手段でお金を稼げるようにしておくことも重要です。