勤め先から高い年収を得ているからといって老後が安泰なわけではありません。老後がどうのどころか、働き手はいつでも勤め先の都合次第で仕事を失う可能性があり、歳を重ねるごとにその可能性は高くなります。
「高収入(働いて得る給料)=老後も安泰」とはなりませんが、「高副収入=老後も安泰」なら図式は成り立ちます。
もらった分だけ出てしまう
マネープラスの家計相談の例( 「年収1200万円でも老後破産の危機!43歳独身女性の家計のどこが問題?」 )などを見ていると、ここでもよく触れている「もらった分だけ使ってしまう=いつまで経っても生活が楽にならない」というパーキンソンの法則どおりの暮らしをしている人が多いと感じます。
毎月の手取り額約60万円に対して貯金は6万円とあるため、家庭を持っていなくてもこうなるわけですから、二人暮らしあるいは子供がいれば手残りがもっと少なくほとんど貯金ができない家庭が多いのもある意味納得です。
FPによると独身ゆえにライフイベントが少ないとはいえ何かと出費があるので今の状態では心配とありますが、それよりも本当に警戒すべきはクビのリスクです。
コロナ禍による影響が出始めるのはまだまだこれからですし、経営が苦しくなったら人件費は削られる対象になるので、給料の高い人ほどコスパを厳しく見られます。そうでなくても 昨年くらいからどこも生き残りをかけてパフォーマンスの落ち始めた人員の雇用負担を軽減するために予防的に大量整理を始めていたりします。早ければ30代から対象になっているところもあるので明確に何歳からというのはありませんが、40代なら対象に入る可能性大ということになります。
ただ周りを見ていると、べつにこの女性に限らずわりと多くの人が同じような感じで居て、あまりそういったリスクを気にせず35年ローンを組んでいたり高額な出費をあまり気にしていない様子だったりしますが、自分だけは絶対にクビになることはないだろうという強い自信はどこから湧いてくるのでしょうか。
明確な答えを持っている人はいない様子なので、もしかしたら根拠なんて無いのかもしれません。不安を感じないために、自分がそうなる可能性は無いと思い込むようにしているのかも。
ですが事実として、どうしても人間でなければ/その人でなければ…という部分は減ってきているので、老後どころか先にまずクビへの備えが必要です。
給料一本は危険すぎる
自分で持っている会社でもない限り、給料一本で生きようとするのは危険です。
ここではいつもゼロからのスタートを想定して試算していますが、幸いこの女性の場合は、収入に対して少ないとはいえそれでも毎年90万円貯めてきたこともあって手元にはすぐにでも収入源を作れるだけの資金があります。
これをいつもの中古の戸建てではなく集合住宅に向けるとどうなるか。たぶん10年掛からずに、そこそこ安全なところまで行けると思います。
まずはいきなり1,000万円程度で年収200万円程度稼いでくれる利回り高めの集合住宅を買います。満室にするまでに長ければ半年程度掛かるかもしれませんが、軌道に乗れば、毎月16~17万円の家賃収入が入ります。
これに合わせて、先程のFPが推奨する通りに支出をしっかりと絞って例えば毎月20万円「貯める」=投資用の種銭を作るを実行すれば、約3年程度で次の2棟目となる同じような物件が買えます。
そこからは2棟分の家賃+毎月の貯金となるので、3棟目を買うのは2年も掛かりません。ここまで6年もあれば何とか50歳前で到達できる計算になります。
3棟からの家賃の上がりで年収600万円ともなれば、女性の平均年収とされる300万円弱を大きく上回るので、もし仕事をクビになっても生活できないなんてことは無いはずです。
現金がないと心配であれば、この後ももし雇い続けてもらえるようであれば、ここから現金に近いもの=株式などに投資し直すのでも十分に間に合います。
3棟からの家賃の上がり+毎月の貯金の継続で、毎年800万円近くを新たに投資に回せるわけですわけですから、これを年利換算で4~5%の高配当が付く銘柄の株式の買い付けに回した場合、毎年すくなくとも毎月2~3万円分の配当収入を積み上げていくことができます。実際には複利の効果が付くのでもっと早く増やせると思いますが、これを数年やるだけで現金に近いものの積み上げも十分なレベルに達します。
50代に入ると役職定年で収入が激減したり、あるいは最悪クビになったりもあるでしょうが、ここまでくれば給料がどうなるかはもう問題にはならないはずです。
単純に働き続ける・お金を貯める、ではこういった安心を得ることは出来ません。クビ対策・老後対策には、他人の都合に左右されずしかも無くならずにずっと稼ぎ続けられるものを持つことが重要です。