FPに寄せられていた家計再生の相談例の中に、こうなる前に対策を…という事例がありましたので、今回はそれについて触れたいと思います。
これまでも触れてきた通り、給料一本に頼るのはとても危険です。突然の失職あるいは大幅な給与減で生活が成り立たなくなることは本当によくあることなので、そうした事態に備えるためには、他の収入源を持っておくことが大切です。
40代に入るとこうしたリスクが
社会に出たての人たちにしてみれば聞いて知ってはいてもなかなか実感が湧かないかもしれませんが、30代後半~40代に入ると突然のクビや給料減などのリスクが上がります。コロナ禍の発生とは全く関係がなく昨年くらいから、パフォーマンスが落ち始める年齢の人員が大量に切られるといったことがわりと普通に起き始めているので、そうしたことはいつでも起こり得ます。
All Aboutの「40歳夫の収入が半分に。子ども用の貯金50万を取り崩す」(https://allabout.co.jp/gm/gc/463344/)に相談を寄せた家庭の場合、一家の稼ぎ手である夫が40歳手前で転職をして、それまで毎月手取りで40万円近くあった収入が一気に毎月19万円にまで減ってしまったそうですが、おそらくは、切られて無収入になる前にどこかに移らざる得なかったのかな…とか思うのです。
収入半減から既に1年以上も経つのに、いまだに月収40万円の頃の生活を続けて毎月10万円近くの赤字とありますが、かなり危機的な状況の中、能天気すぎる印象もありますが、一度それなりの生活レベルで暮らしてしまうとそうなってしまうものなのでしょうかね。
結局のところFPとしても、この収入に合わせて大幅に生活費を削る・妻に働いてもらい収入を何とか確保する、くらいしかアドバイスのしようが無かったようですが、たしかにこうなると状況を打開する案が浮かびにくいので、代わりに「こうなる前にどうすべきか」を示しておくと、
とにかくこうした大幅な収入減に備えるには、給料以外の収入源を持っておくことが有効です。
原資はどうするか・どう収入源を増やすか
その収入源を作るための原資はどこから来るかというと、この家庭の場合は、車のローンと車両保険の毎月約5~6万円+学資保険の毎月2~3万円という部分です。
家賃五万円台で四人家族とあることから、たぶん暮らしに車は欠かせないようですし、子供が二人いることから、いずれのし掛かってくる教育費に備えたいという思いも分かります。ですが、車は移動の手段としてコスパだけを重視して、教育費はいずれ別の手段でまかなうと決めれば、投資の種銭を作ることができます。
この毎月7~8万円の部分を、もっと前から投資の種銭として貯めて活用していたら今頃どうなっていたでしょうか。簡単にするために、スタート地点では貯蓄がゼロで毎月の「貯金」は何とか無理なくやれたはずの7万円とします。
毎月7万円もあれば、2年半で200万円貯めて、どこかに最初の1つめとなる状態のいい中古の戸建てなどの不動産が買えます。これを賃貸市場に出せば(最小限のリフォームを施して、広告費を払い客付けをしてもらい入居者が付けば)手取りで毎月3万円以上の家賃が入ります。
その後は毎月7万円の貯金と家賃を合わせて、今度は2年掛からずに2つめの不動産が買えます。そしてそれもまた同じように賃貸市場に出します。そうすることでまた家賃収入が毎月3万円以上増えるので、増えた収入も利用してさらに数を増やします。
3つ目はもっと早く、1年半掛からず(15カ月くらい?)に買うことができます。そしてまた同じように賃貸に出すことで、さらに家賃収入を増やせます。投資用の種銭を作るための毎月の貯金額が大きいため、ここまで約6年くらいしか掛かっていません。
4つくらいあった方がリスク分散にもなりますから、ダメ押しで4つめを手に入れるとすると、毎月7万円+全ての家賃で、ほぼ1年ちょうどくらいで買える計算になります。
ここま約7年ですが、子供もいることから教育費を準備し始めるためにということで少し現金に近いものも必要でしょうから、そこからは株式への投資に切り替えます。
毎月平均で1万円分の配当収入を得るには、240~300万円の原資を年利換算で4~5%の配当が付く銘柄に入れる必要がありますが、毎月7万円の貯金と4件全ての家賃を再投資することで、1年強~1年半ごとくらいに、毎月1万円分の配当収入を増やし続けることができます。
再投資し続けると複利の効果が出るので実際にはもっと早く出来ますが、単純計算でも、40歳に到達するころまでには、家賃と配当の上がりを合わせると「転職により手取りで毎月19万円に下がってしまい…」と同額くらいの規模になっていたかもしれません。
そうした給料以外の収入源があれば、状況はずいぶん違っていたはずです。
働く道一本だけでは生活破綻リスク軽減はできないので、お金にも働いてもらうという考えをしっかりと学んでいきましょう。