年金不安のせいで、将来のためにいくら貯めればよいのか・みんなどれくらい貯めているのかと気になるかと思うのですが、「貯める」に固執する必要はありません。
「働く」「貯める」「貯蓄を取り崩す」にとらわれて続けているかぎりは、例え1億円以上貯め込めることができたとしても、不安がなくなることはありません。
平均が約1,200万円で中央値は約600万円だとか
ハルメクWebの「50代夫婦の平均貯蓄額は?老後資金を貯めるためにすべきことをFPが解説」によると、50代夫婦の世帯の平均的な貯蓄額は約1,200万円で、中央値はその約半分の600万円くらいだそうです。
これではとてもじゃないけど昨年6月に騒がれた2,000万円に届かないとパニックになった人も多かったようですが、金融庁に提出されたあの報告書よりも5年前に発表された別の論文によると、本当は2,000万円も掛からないとも示唆されているので、一応この額でも老後を乗り切ることは出来そうではあるのですが、どうしても大きな額の現金の塊がないと、不安を感じてしまう傾向があるようです。
金融庁に提出された「老後2,000万円問題」報告書は、平均的な毎月の年金受給額-平均的な毎月の老後の生活費×余命30年近く=毎月約4~5万円×30年間で計2,000万円掛かると試算しており、一方で先程触れた2015年発表の論文には、毎月の生活費不足額は、実は1万円強でしかないので、×30年としても500万円もあれば十分とありますが、どちらも官公庁が公表している統計に基づいて試算されているものなので、どちらを信じればよいのやら…というところではありますが、より安全に行くとするれば、毎月4~5万円足りないと思っておいたほうが良いのかもしれません。
そうすると合計で2,000万円必要になるわけですが、多くの人がこれを何が何でも引退時までに現金の塊として持っておかないといけないと勘違いをしているようです。あくまで毎月分を30年分合計するとそれくらい掛かるであろうということですから、本当はべつに「貯蓄」でなくても良いわけです。
楽観視し過ぎもまた良くはない
別のところでの掲載時には「今は共働き家庭も多く、そうすると年金収入も多いはずだから、貯蓄無しでも大丈夫では?」といったコメントもありましたが、これはこれで見方が楽観的過ぎるかもしれません。夫婦共働きであれば、標準世帯の年金受給額毎月21~22万円に対して、毎月26~27万円くらいもらえるとありますが、それは夫婦が二人とも定年までずっと「いい勤め先」に雇い続けてもらえればの話です。
いまのご時世、40代でクビになることは珍しくなくなっています。昨年くらいから、本格的に人員の大量整理が始まり、仕事ができる出来ないにあまり関係なく切られる可能性が高くなっており、ずっと同じところに雇い続けてもらえる前提で試算することが難しくなっています。働かなければ生涯賃金〇億円分が損、とかいう本や記事も色々と出てはいましたが、誰でも簡単にクビにされてしまうようになってしまったので、この「生涯賃金」とかいう言葉もあまり意味をなさなくなりつつあります。
ならどうすればよいかというと、お金にお金を稼いでもらう手段を持つのがかなり有効です。
「年金-生活費」で毎月4~5万円足りないというのであれば、その数万円を何とかすればよいわけですから、例えば不動産であれば中古の戸建てなどを二つくらい(1.3~1.5戸なので)、もしくは年利で4~5%の配当が付く銘柄の株式であれば1,000万円分くらい、を持てば家賃なり配当なりで十分にカバーできます。
現金で2,000万円も必要ありません。何とかしてそれだけ積み上げられたとしても、歳を重ねて残り少なくなった残高を見れば、日々不安しか感じられなくなってしまうでしょう。仮に1億円貯められたとしても、それがだんだんと減っていけば不安になります。 他にお金を稼ぐ手段を持っていなければ同じです。
現金の塊や「働く」は安心をくれません。お金に関する不安を軽くするためには、もしもの時のために自分の代わりにお金にも働いてもらうことを学ぶことが重要です。