「老後資金は2,000万円現金で必要!」あるいは「ゆとりある老後生活を送るには毎月36万円の生活費が掛かる!」といったことを聞いて、老後が心配になってしまった人も多いかと多いかと思います。
ただ、色々な調査結果や統計の中から「平均」を見るかぎりでは、騒がれているほど深刻なことにはならず、そんなに心配しなくてもいいと思うのですが、年金収入だけでは生活費を完全にカバーすることができず、少なくとも平均で毎月1万円強は足りないというのは間違いではないようなので、額はそう多くはないのですが、何らかの形でこの不足分を埋める準備をしておかないといけません。
50代は老後に備える大きなチャンスかも
老後の生活に備える上で、50代というのはたぶんとても重要な準備期間になるかと思います。子どもがいる人であれば年齢的には彼らも独立する頃でしょうから、また夫婦二人だけになれば資産を増やす最後の大きなチャンスとも言えます。
昨年6月に金融庁に提出された報告書には、老後の生活費を年金でまかなえきれない部分は月額4~5万円ほどになるので引退後の余命を約30年とすると合計で約2,000万円足りない、と示されていたことから、もうすぐ50代あるいはすでに50代ゆえに「まだ準備ができていない…」と思ってしまった人もいるかもしれません。
ですが、
LIMOの「55歳の人の年金額はいくらになる?~老後リスクに備えた資産形成~」(https://limo.media/articles/-/18041)によると、今現在50~59歳の人たちの世帯当たりの貯蓄額の平均は約1,700万円で、それに対してローンの残債などの負債額は約650万円と、純資産額は約1,050万円ほどのようです。
記事によると、この純資産額に、むかしより少なくなってきているとはいえ、いくらかは支給される退職金を足せば、多くの人は大体これをクリアできるとあります。勤め先に退職金の制度が整備されていればではありますが…。
このように、統計を見るかぎりでは実はそれほど心配は無いようです。ただしこれらの数字はあくまで平均なので、「退職金も出ないし、実は足りてないんだけど…」という人もいるかもしれませんが、その人たちもそんなに心配しなくて大丈夫そうです。
実は前述の「老後2,000万円問題」が騒がれれる以前に、すでに2015年の段階で研究者らが老後の生活費の不足額がいくらになるのかを検証をしたらしく、彼らの研究によると、消費動向の調査結果を分析したところ実際には年金収入で足らない部分は毎月1万円強くらいにしかならない、と分かったそうです。
つまり、2,000万円問題のベースとなった「毎月4~5万円足らない」がそもそも盛り過ぎだったようです。「ゆとりある老後生活を送るには毎月36万円必要」のあおりと似たようなものだったのですね。どちらもファンドを売る業界から出されたものですから、もっと買い付けてもらうために発表された内容だったのかもしれません。
とはいえ、先程も触れたとおり、前述の2回の提言がウソっぽくても、今の時点ですでに引退済の無職の高齢夫婦の世帯を平均すると月額で1万円強足らないのは事実のようですから、この部分は何らかの形で埋める手段が必要です。
もっとも手っ取り早いのは、元手も掛からない「アルバイトをする」ですが、健康寿命が昔と比べて延びたと言われる今でも、これは意外とキツいと今働いている高齢者の人たちは言います。
しかも体が衰えればいつかは雇ってもらえなくな働けなくなるため、ずっと頼れる収入源としてはカウントしにくいところがあります。
現金であれば実は500万円もあれば十分(毎月1万円強ずつ取り崩して生きられる)、というのも先程の2015年の研究結果のとおりではあるのですが、これも思わぬ長生きで足りなくなってしまう可能性があります。
現金の塊を持つ、や「働く」はあまり安心をくれません。
では代わりにどうすればよいかというと、投資をして働く以外の収入源を持てばよいのです。
投資をすると言っても、年金収入で生活費のほとんどはまかなえているので、高額の投資をする必要はありません。仮にもしですが、老後2,000万円問題の発端となった報告書どおりに、毎月4~5万円の収入が必要ということであれば、中古の戸建てなどの不動産を1~2戸持つことで毎月3~6万円の家賃収入を得る、もしくは高配当が付く銘柄の株式であれば、こちらはもう少し元手が掛かってしまいますが、約1,000万円もあれば毎月平均で4~5万円の配当収入を得られます。
これらは現金と異なり、何度使っても消えて無くなってしまうことはありません。一度軌道に乗れば継続的にお金を稼いでくれるので、貯金や労働よりも頼りになります。
安心を得たければ、「貯めて取り崩す」という考えは捨てて、「継続的に稼いでくれうrものを増やす」ことを意識していきましょう。50代からでも十分に間に合います。