もしかしたら年金制度そのものと将来支給される予定の年金収入自体は、騒がれているほど心配ないのかもしれません。それよりも、現役でいる間の収入をどう得続けるか…のほうがもっと難しい問題です。
老後(65歳以降)は、年金があるのでそれほど心配はないのかも
LIMOの「みんなの年金額と、老後に必要な生活費はどれくらいか?」(https://limo.media/articles/-/18072)によると、老後に必要な生活費は平均して、最低でも22.1万円掛かるらしいのですが、厚労省のホームページなどによると、平均的な年金の受給額も月額で20~21万円となっていることから、現在は最低限必要な生活費の大部分は、年金収入によってまかなえていると言えます。
また、ここでも以前何度か紹介したことがある消費動向の調査結果にも同じように、今現在すでに引退している人たち(夫婦二人の世帯を例に)の実際の生活費を調べたところ平均は約22~23万円でそれに対して年金収入も約22万円、とあることから大体この数字で間違いはなさそうに見えます。
つまり、老後の生活で足りない生活費は月額にしてわずか1万円強くらいでしかないので、実はそんなに怖くわないかもということになります。
残り30年近く生きるとしても合計すると500万円くらいで済むという論文が2015年に発表されていたことを以前紹介しましたが、何にしても、
昨年6月に金融庁に提出された報告書に示された「老後2,000万円問題=月額にして約4~5万円不足する」、または、それよりも一足先に流行った「ゆとりある老後の生活を送るために必要となる生活費は月額にしておよそ36万円」は、いずれも少し根拠が弱い部分があり、しかもまるでその額が用意できていないと老後は生きていけないかのような変な誤解を生むだけのものでしかなかったということになります。
財源について調べてみると、積み立てて運用されている年金基金の規模も160兆円と世界でもトップの大きさらしく、年金の支給は国費も半分入っていることから、かなり堅いようです。騒がれたほどは心配はないようで、担い手が減るということで将来の年金支給額は今の水準からは下がる可能性はありますが、それでも生活費の大部分をまかなってくれるということには変わりはなさそうなので、「頼りにならない」とか「つぶれるかも」といったうわさだけで判断をして、年金保険料を納めないでおくと、もしかしたらそれを受給できずに損をしてしまうかもしれません。
老後よりも、その前の~65歳までがもっと心配・深刻かも
よく「将来が心配」「老後が心配」といった何十年か先の不安について色々聞くことはありますが、もっと現在すぐそばにある問題についてはあまり触れられません。
考えると怖くなるからなのか分かりませんが、老後よりもこちらのほうがもっと注意と準備が必要です。いまのところ年金は基本的に保険料を25年以上払い続けて(失職していても申請をして免除されていれば、その期間も半分くらいはカウントしてくれるらしく)65歳になれば受給できるようですが、はたしてそれまで働き続けることができるかどうか。勤め先は自分を雇い続けてくれるだろうか、のほうがもっと予測が困難、ということについてです。
昨年くらいから45歳定年といった言葉が聞かれ始め、大手の企業が相次いで40歳以上の人員を大量に整理し始めています。コロナ禍とは関係ない状況下ですでに起きていたことです。
老後に向けたマネープランなどではよく生涯賃金といった言葉が使われたりしますが、このように、一生を通してずっと面倒を見てくれる勤め先というのがだんだんと消えつつあるため、この言葉の意味も無くなりつつあります。ですから併せて、「給料の中から長期で貯金をして老後に向けて現金の塊を作る、そして老後はそれを取り崩す」というプランも成立しにくくなっています。
40歳以上になればクビのリスクが出始め(早ければ30代でリストラ候補に挙がるとか)、50歳前後で残っていても役職を解かれて収入も激減し、その程度で済めばまだ幸運で、最悪の場合は出されてしまう…と、とにかく雇われ続けて収入を得ること自体が難しくなっています。途中で出されて収入源を失ってしまったら、老後の心配がどうのどころではありません。
そうしたリスクを軽減するためにはどうすればよいかというと、生身の自分以外の収入源を持つことが有効です。
具体的に言うと、不動産や株式やWebメディアなど、家賃や配当や広告料を生んでくれる自分の代わりに働いてくれるものを指します。そのほかに印税を生んでくれるものでも何でも、とにかく働いて得る給料以外の、仕組みによって半ば自動的に収入を得られるものです。
給料は、基本的に自分自身がどこかで働き続けないと得られませんが、これらの資産はオーナーがどういう状態であろうが、一度軌道に乗ればお金を稼ぎ続けてくれます。
上がってきた収入も、じぶんがまだ働ける間は無駄に使ってしまったりせずに、再投資することで、さらに収入を増やすことができます。投資にクビはないので、自分自身がもう面倒くさいので止めた(=売却する)と決めるか人をダマしたりといった何か悪いことをしない限りは稼げます。
投資で作った収入源は、若いときにはクビ対策として機能して、歳をとってからは年金収入の補助としても機能します。父の場合は、補助どころか家賃や配当などがメインの稼ぎになっており、仮に年金が支給されなくても生活が可能です。その父に続き、自分もこうして熱海で半分リタイア状態。
安心をくれるのは、景気動向や勤め先の事情に影響されない収入源です。