以前、お金を貯めるにあたって「キャッシュレス決済を駆使しよう!」はあまり意識しないほうがいいかもしれない(=お金を使いすぎてしまう可能性があるので)と触れましたが、シンプルな結論として、お金を貯めるために何も難しいことをする必要はありません。ただムダを削るだけで投資用の種銭を作ることは可能です。便利なツールや新しいシステムを使えば割引きやポイント還元を得られますが、そのためにお金を使いすぎたら元も子もありません。
昔ながらのアナログなやり方でも十分で、ただムダを削るだけで投資用の種銭を作ることは可能です。
便利なものが家計管理の助けになるとは限らない
一家に働き手が二人いて、合わせればそこそこの稼ぎがある場合、ついつい毎月の収入をほとんど使い果たしてしまいがちなようです。プレジデントオンラインの「「世帯月収50万円でも赤字」DINKS浪費の現況はPay系とコンビニ飯」(https://president.jp/articles/-/36338)などでも、そうした夫婦が老後の生活に不安を感じてFPに相談を寄せたりしていますが、
まず家族構成や財務状況等を見てみると、夫40歳・妻39歳の共働き夫婦で、それぞれ手取りで毎月29万円+20万円もらっているということですから、世帯年収は額面で750万円くらいでしょうか。頑張ればかなり貯められそうにも見えるのですが、ときどき赤字になる月もあるとか。
特に無駄な買い物をした覚えはないようなのですが何故かお金の減りが早い原因が分からないようなのですが、ふだんどうお金を使っているかを問いただされると、結局のところ原因は、とにかく便利なキャッシュレス決済を使いすぎていたことのようです。
キャッシュレスならポイント還元もあってお得とか割引も得られますというのは、ウソではないのですが、そういった特典が得られるからと言っていつもスマホ決済などで済ませていると、逆に毎月の予算の残高を意識しづらいのかもしれませんね。
この夫婦の場合はとりあえず無理なく減らせる範囲では、コンビニ飯を減らし、被服費・娯楽費・日用品代・交際費などをケズり毎月約8万円を貯金できるようになったとあります。ローンが11万円とあることからこれは固定で動かせませんが、ただ内訳を見ると他にも夫婦それぞれの小遣いが5万円・4万円の計9万円もあって、ここからまだ少し削れそうな気もするのですが、二人で働いていれば、それくらい掛かってしまうものなのかもしれませんね。
何にしてもとりあえずは毎月約8万円を貯められるということで、二人が目標としては貯金ゼロ状態は抜け出し、二人がもし定年まで仕事をクビにならないとすれば、年間100万円弱×20~25年ということで、昨年6月に騒がれた「老後2,000万円問題」は何とかクリアできることにはなります。
8万円を投資用の種銭として貯めて使っていったらどうなるか
この二人のもともとの貯金は240万円しかないそうなので、いきなり投資を始めることは出来ません。いつもここで紹介するように毎月お金を貯めて種銭を作るしかなさそうです。とはいえいつもの毎月3万円よりも多いので、楽に行けるとは思います。
基本的に40代では突然のクビに備えて不動産を買って収入自体を増やすことにフォーカスし、何かとお金が掛かることも出てくるであろう50代に入ってからは現金に換金しやすい株式への投資に切り替えます。
20年もあれば、単なる貯蓄と比べて2,000万円以上は差がつくはずです。
まずでは毎月8万円を貯金し、2年強掛けて200万円くらいの資金を作ります。これを元手にまず最初の1件目となる状態のいい(=最低限のリフォームで賃貸に出せる)中古の戸建てなどの不動産を購入します。そして広告費を払い地元の仲介業者さんの協力を得て、入居者を付けてもらいます。
すると毎月3万円以上の家賃を得られるようになるので、そのあとこの家賃も毎月の貯金に合わせて再投資します。毎月計11万円ですから、今度は1年半くらいで2件目となる不動産を買えます。そしてまたこれも同じように賃貸市場に出して、入居者を付けてもらいます。そうすることで、また毎月手取りで3万円以上は収入を増やせます。
このあともさらに毎月の貯金と2件の不動産から上がる家賃の再投資を続けます。貯めるスピードは加速して、こんどは1年2か月ほどで3件目となる不動産を買うことができます。そしてまたこれも同じように賃貸市場に出して、入居者を付けてもらうことで、毎月の家賃の上がりを増やします。3件あれば、妻のもともとの手取りの約半分。ここまでわずか5~6年です。
50代まではまだ数年ありますから今のうちにクビに備えてさらに収入を増やします。ここからは毎月17万円貯められるので、わずか1年で次の4件目となる不動産を買えます。そしてまた同じプロセスを繰り返し、さらに毎月の手取り収入を3万円以上増やします。
ここまでくると多少もたついても毎年1つは増やせますから、仮に3年でさらに3件増やしたとします。投資総額は経費なども合わせると1,500~1,600万円くらいというところでしょうか。夫の50歳時点には、毎月の家賃収入総額が21万円になり、仮にどちらかがクビになってもそのまま暮らせます。もし現金がゼロだったとしてもほとんど困りません。
ですがさすがに現金ゼロのままというわけにはいかないので、50代以降は流動性も確保しておくために、ここからは年間約4~5%くらいの配当が付く銘柄の株式への投資に切り替えます。
毎月の貯金8万円+家賃収入21万円を全力で投資に向けた場合、毎年約350万円分の株式を買い付けることができます。仮にこれを10年積み上げ続ければ少なくとも3,500万円分くらいになり、しかも毎月平均(多くは6月・12月に集中するので)で見た配当収入も10万円以上に増えているはずです。
簡単にするために毎年定額で単純計算していますが、本当はこれには複利の効果が付くので実際には配当収入ももっと増えています。
いずれにしてもそうすることで60歳時点で、家賃収入21万円と配当収入10万円を毎月得られるようになり、資産の総額も不動産1,000万円分以上+株式3,500万円分と、総資産額をもし貯蓄一本で積み上げてきた場合と比べたら、2,000万円以上は差が付きます。
勝ったのは、積み上がった総額だけではありません。それだけを見るのではなく、何より大事なのは、毎月もし何もしなくても得られる収入額です。一旦の定年を迎える60歳時に毎月30万円もの上りがあれば、再雇用を拒否されることも、さらに歳を取ることも怖くはありません。
便利なものを使えば自然とお金が貯まるわけではありません。また、ムダを削って貯金をしただけでは不測の事態への備えとしてはまだ不十分です。昔ながらのやり方でよいので、ムダを削り、先取り貯金で種銭を作り、貯まったものを使い投資を続ければ、このように最後に「安心」が手に入ります。